前世の記憶って本当にあるの?

「前世の記憶」と聞いても、宗教やスピリチュアル分野に詳しかったり、スピリチュアル系のコンテンツに頻繁に触れていたりしなければピンとこないかもしれません。本当に前世の記憶というものは存在するのでしょうか。
実例は報告されている
前世の記憶を持っているという人は、世界中に複数いるとされています。これまでにも研究がなされており、実例も報告されてきました。なかでも知られているのが、アメリカのジェームズ・リーニンガーという少年のケースで、2歳で第二次世界大戦時の戦闘機や搭乗員の名前を語ったことで注目されました。ただし、この事例は主にTV番組やスピリチュアル関連書籍を通じて広まり、科学的に再現・証明されたわけではありません。
彼は2歳のとき、自分が第2次世界大戦時のパイロットだった経験を事細かに語りました。語られた出来事は、具体的な部分まで事実と一致していたとされています。自分が乗っていた戦闘機の種類や空挺の名前、戦闘機に同乗していた友人の名前にも言及しており、これらはすべて実在していたのです。
2歳という年齢では、戦争に関する情報を自分で調べて理解し、人に話すのは一般的に難しいでしょう。彼は本当に前世の記憶を持っていたのかもしれません。
いまだ論争は多い
前世の記憶は、米バージニア大学医学部の故イアン・スティーヴンソン博士らが数千件の事例を調査した分野として知られています。ただし、これらの研究は証拠の再現性や心理的要因の除外が課題であり、科学的に決着した分野ではありません。
「前世の記憶」だとされるものは、子どもの空想や記憶錯誤という声もあります。実際、大人になっても生まれる前の記憶に影響を受け続けている人は少ないようです。
研究に関わる人たちの中には、超能力的なものや「憑依」など、オカルティックな説を唱える人もいます。現状、「前世の記憶」はあくまでも本人の体験がベースであり、明確な根拠や正体は見つかっていない状態です。
申告がうその可能性も
「前世の記憶がある」と周囲に話す人の中には、うそをついている人もいる可能性があるでしょう。前世の記憶があると申告して話題になったものの、実際に調べると、前世として語られていた事実はなかったという例もあります。
ただ、科学的に前世の記憶の有無について検証されているわけではありませんので、全員がうそを言っていると決め付けないほうがよいでしょう。
前世の記憶を持っているメリット
生まれる前の記憶がない人には、前世の記憶がある人がどのような体験をしているのか、なかなか想像できません。仮に前世の記憶というものが存在した場合、持っている人にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
死への恐怖が軽減される
前世の記憶を持っていれば、自然と「生まれ変わり」が本当にあると実感することになります。死んだ後に自分が無になってしまうとは、通常考えないでしょう。次の生があるのだと思えることで、いつか必ず訪れる死に対して恐怖や不安を抱きにくくなります。
身近な人の死についても、同じように受け入れやすくなる可能性が示唆されています。また新たな命として生まれてくると信じていれば、永遠の別れと捉えず「またいつか、どこかで会おう」と穏やかな気持ちで見送れるのかもしれません。

トラウマと向き合いやすくなる
「トラウマ(Trauma)」は本来外傷を意味しますが、精神医学では「強いショックによって受けた、癒えない心の傷」という意で用いられている言葉です。
現在は一般的な会話で「忘れられないような怖い体験」という意味合いで広く使われるようになりました。
スピリチュアル的な考え方では、前世の記憶が現世で抱えるトラウマと向き合う鍵になるといわれています。たとえば高所恐怖症を持っている場合、前世で高いところから落ちた経験があったことが原因だと知ることで「正体のわからない恐怖」が軽減するといった具合です。
前世の記憶を持っているデメリット

前世の記憶を持っている人は、持っていない人にはわからない負の体験もしていると考えられます。前世の記憶が実在した場合、その記憶を持っている人に及ぼすデメリットにも目を向けてみましょう。
前世の恐怖体験が現世にまで影響してしまうおそれも
「前世で命を落としたときの凄惨な記憶や恐怖体験が、現世にも影響する傾向にある」という研究結果も見られます。例を挙げるなら、前世で家事に巻き込まれて亡くなった場合、現世でも火を怖がる可能性が高いということです。
前世で負った傷が、現世で先天的な異常やアザとして現れているのではないかと考える当事者もいます。このように前世の体験が残っていることで、さまざまな影響が現世にも表れてしまう可能性があるようです。
周囲から奇異の目を向けられる
前世の記憶があると話すと、周囲から「噓つき」とからかわれたり、奇異の目で見られたりすることがあります。特に、前世の記憶が残ることが多いとされる幼少期にこのような体験をすると、つらい記憶となり得るでしょう。
大人になってからでも、自分の話を否定される・奇異の目を向けられることによる精神的ダメージは少なくありません。周囲に前世の記憶があると話す人がいる場合、過度に反応せず話を聞くのがベストです。
まとめ

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前世の記憶については研究がなされており実例の報告もあるが、いまだ科学的解明には至っていない
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前世の記憶を持っている人は、死への恐怖が軽減され、トラウマに向き合いやすいとされる
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前世のつらい体験が現世にも悪影響を及ぼす、または前世を覚えていることで周囲との関係に問題を抱える場合も
スピリチュアル的な感覚がない、もしくは現実志向であるという人にとって、「前世の記憶」は懐疑的に思えるでしょう。ただ、事実と一致したとされる事例がある・研究によって傾向が明らかになってきているなど、完全なる空想や妄想としては片付けられない根拠もあります。
前世の記憶を持つという人と接するときは、頭から否定せず、じっくり話を聞くことで興味深い体験を語ってもらえるかもしれません。
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Domani編集部
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