「来年の事を言えば鬼が笑う」とは
「来年の事を言えば鬼が笑う」は、比喩的な意味を込めた慣用表現です。まずは、辞書に書かれている基本的な意味を確認しましょう。
先のことを言っても仕方がないという意味
「来年の事を言えば鬼が笑う」を辞書で見てみると、以下のように記載されています。
来年の事を言えば鬼が笑う
明日何が起こるかわからないのに、来年のことなどわかるはずはない。将来のことは予測しがたいから、あれこれ言ってもはじまらないということ。
引用:小学館 デジタル大辞泉
未来のことは分かりません。来年のことなど分かるわけはないのに、分かったかのようなことを言っていると鬼も笑うであろうというたとえです。
「来年の事を言えば鬼が笑う」の使い方と例文
「来年の事を言えば鬼が笑う」はどのような会話で使うのでしょうか。相手の状況によって忠告にもなり、励ましにもなる言葉です。おもな使用場面と例文をみていきます。

忠告を含んだ使い方
「来年の事を言えば鬼が笑う」は、相手への忠告をするときにも使えます。相手が随分先のことを楽観的に話している場合、忠告が必要な場面もあるでしょう。
先の予定について話すことはよくあるものの、実際には先のことはまだ決まっていません。もしその通りにならなかった場合、不都合が生じるような状況では「先のことを話しても仕方がない」と忠告の意味で使えるでしょう。
前向きな意味での使い方
「来年の事を言えば鬼が笑う」は、前向きな励ましの言葉としても使用可能です。特に、未来のことを心配する相手に対して有効といえるでしょう。
「先のことを考えすぎてもよくない」「もう少し楽観的に考えよう」といった意味を込め、相手を励ます場面で活用するとよいでしょう。
「鬼」が使われたその他のことわざ
「鬼」という言葉を使ったことわざは、「来年の事を言えば鬼が笑う」以外にも複数あります。「鬼」が使われていることわざの意味や、例文を確認しましょう。

鬼の目にも涙
「鬼の目にも涙」は「普段鬼のように無慈悲で冷酷な人であっても涙することはある」という意味を込めたことわざです。
「厳しいと思っていた人が涙している」「冷酷だと思っていた人が優しさを見せている」といったときに使う言葉ですが、相手を鬼に見立てていることもあり、使いどころには注意が必要です。冗談が通じる関係性でない場合、直接伝えることは避けた方が賢明でしょう。
鬼の居ぬ間に洗濯
「鬼の居ぬ間に洗濯」は「鬼のように怖い人・うるさい人がいない間にくつろぐこと」を意味することわざです。
この言葉も、一時的にいなくなった人のことを鬼にたとえています。軽口や冗談で誰かに「鬼の居ぬ間に洗濯」と話すことはあるものの、使い方には注意が必要です。普段の会話で使うときは、相手や状況をよく見極めましょう。
「来年の事を言えば鬼が笑う」の関連語
「先のことは分からない」「あまり先走るべきではない」というニュアンスの言葉は「来年の事を言えば鬼が笑う」だけではありません。似たような意味を持つ関連語と、例文をチェックしましょう。

塞翁が馬
「塞翁が馬」は、古代中国の「塞翁」という人に関する故事から生まれた言葉です。塞翁の飼っていた馬が逃げ出したが、その後立派な馬を連れて戻ったという故事に由来するとされています。
故事のように「人生は悪いことが起きたとしても良いことにつながっていることもあり、逆もあることから、吉兆・禍福が予測しにくいこと」をたとえています。
「塞翁が馬」や「人生万事塞翁が馬」は、幸運や不運はその場で判断できず、一時的な出来事で喜んだり悲しんだりする必要はないという教訓が感じられる言葉です。
三日先知れば長者
「三日先知れば長者」は「わずか先のことでも分かれば富を得られるが、実際には未来を予知することは難しい」という意味を持つことわざです。
「来年の事を言えば鬼が笑う」と同じように、「先のことは分からない」というニュアンスがあるといえます。
先のことが分かれば、ビジネスや投資、賭け事であっても失敗はほとんどなくなります。先見の明を持つことの難しさを意味する言葉でもあるでしょう。
取らぬ狸の皮算用
「取らぬ狸の皮算用」は、まだ狸を捕まえていない段階から皮がいくらで売れるかを計算している様子を表す言葉です。「まだ分からない未来のことを話している」点が「来年の事を言えば鬼が笑う」と似ています。
「取らぬ狸の皮算用」は、手に入るか分からないものを当てにしていることから、金銭やビジネスに関わる内容で使うことが一般的です。
まとめ
- 「来年の事を言えば鬼が笑う」は未来は分からないのだから先のことを言っても仕方がないという意味を持つ言葉
- 忠告や前向きな励ましの意味で使える
- 他の「鬼」が使われたことわざには、「鬼の目にも涙」「鬼の居ぬ間に洗濯」などがある
「来年の事を言えば鬼が笑う」は、先のことを楽観視している人や悲観的に考えている人に向けて使うことが多いでしょう。似た意味を持つ関連語には「塞翁が馬」「三日先知れば長者」「取らぬ狸の皮算用」などがあり、未来を予知することは非常に難しいと分かります。
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Domani編集部
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