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WORK ことわざ

2025.12.10

【李下に冠を正さず】はどんな意味?由来や使い方の例文を紹介

「李下に冠を正さず」とは、〝他人から誤解されるような紛らわしい行為は慎むべきである〟という意味のことわざです。李下とはスモモの木の下のこと。本記事では、ことわざの由来や使い方、類義語などをご紹介します。

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Summary

  • 「李下に冠を正さず」(りかにかんむりをたださず)は、誤解を招く行動は慎むべきという意味のことわざ
  • 対句の「瓜田に履を納れず」も同じ意味で「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」と使われることもある
  • 「李下に冠を正さず」の類義語には「瓜田李下」や「君子危うきに近寄らず」などがある

「李下に冠を正さず」の意味と読み方

まずは、「李下に冠を正さず」の意味や読み方、由来を確認してみましょう。

読み方は「りかにかんむりをたださず」

「李下に冠を正さず」は「りかにかんむりをたださず」と読みます。

意味は「誤解を招く行動は慎むべき」

【李下に冠を正さず:りかにかんむりをたださず】
人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるということのたとえ。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

「李下に冠を正さず」とは、スモモの木の下で頭の上の冠を直そうとすることは、スモモを盗もうとしていると誤解されるから避けるべきであるという故事に基づいたことわざです。そこから転じて、誤解を招く紛らわしい行為は避けるべきだというたとえになりました。

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政治の世界では戒めとしてよく使われる言葉ですが、ビジネスシーンや日常でも使われることがあります。

すももの木の写真。赤い実がなっている様子
(c)Shutterstock.com

由来は中国の古典詩『君子行』

「李下に冠を正さず」の語源は中国の漢詩の一形態である楽府詩『君子行』の一節に由来します。『君子行』の「君子防未然、不處嫌疑間。瓜田不納履、李下不正冠」という句から取られたものです。

原文の意味は「賢明な人は嫌疑をかけられるような行いをせずに、災いを未然に防ぐものである。瓜の畑に入らず、李下に冠を正したりしない」です。

楽府詩は「がふし」と読み、中国の漢の時代に設立された民間の詩歌を収集する役所に集められた詩歌を指します。楽府詩は楽曲に合わせて歌われる形態の詩で、宮廷の祭りや宴会の席上で演奏されていました。『君子行』は作者不祥の詩集です。

「瓜田に履を納れず(かでんにくつをいれず)」と対句で使われることも

「瓜田に履を納れず」ということわざは、もともと「李下に冠を正さず」と同じ「君子行」が語源となっていることもあり、「瓜田に履を納れず」と対句で使われることもあります。つまり「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」となります。こちらは瓜の畑で靴が脱げても履き直さず、スモモの木の下で冠がずれても直さないという意味。

つまり、同じ意味の語句を2回繰り返す構成ですが、いずれも疑いを招く行為は避けるべきだという同じ教えを示しているのです。足元と頭上という対照的な場面を並べることで、その戒めがより強調されていることがわかります。

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「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」で、紛らわしい行為をすべきでないという意味になります。

【実際の体験談】ビジネスシーンでの「李下に冠を正さず」

ここでは、実際にビジネスシーンで「李下に冠を正さず」を使った際の成功談や失敗談を紹介していきます。

【episode1】ビジネスにおける透明性と誠実さの重要性を教えてくれる教訓

ショートカット女性のシルエット

Aさん(35)

若手時代、私は経費精算のルールにあまり関心がなく、領収書さえあれば大丈夫だと考えていました。ある日、上司に個人的な食事に誘われ、その場で仕事の相談に乗ってもらったことがありました。その際、上司がわざわざ「これは個人的な食事だから、領収書は受け取らないよ。李下に冠を正さずと言うし、君が疑われるような状況は避けたいからね」と言ったのです。u003cbru003eu003cbru003e私はその言葉にハッとしました。u003cstrongu003eたとえ不正がなくても、公私混同を疑われるだけで信頼を失う可能性があるのだと。u003c/strongu003eそれ以来、経費精算はもちろん、取引先から個人的な贈り物をいただいた際も、すぐに上司に報告し記録に残すようにしています。u003cbru003eu003cbru003eあの時の言葉は、ビジネスにおける透明性と誠実さの重要性を教えてくれる、忘れられない教訓となりました。

【episode2】「李下に冠を正さず」は相手を遠ざけるために使う言葉ではない

セミロング女性のシルエット

Kさん(46)

過去に、あるクライアントの担当者と親しくなった時期がありました。相手は個人的な悩みを打ち明けてくれるほどだったのですが…私は「李下に冠を正さず、仕事以外のお付き合いは控えるべきだ」と、一方的に距離を置いてしまったのです。私の意図は「癒着を疑われないようにする」ことでしたが、クライアントは「信頼されていない」と感じたようで、関係はぎくしゃくしてしまい…。u003cbru003eu003cbru003e後から先輩に相談したところ、「君の行動は正しかったが、伝え方が間違っていた。『公私の区別は大切にしたい』と誠意を持って伝えれば、相手も納得したはず。u003cstrongu003e『李下に冠を正さず』は自分の行動を律する言葉であって、相手を遠ざけるために使う言葉ではない」u003c/strongu003eと厳しく指導されました。u003cbru003eu003cbru003eこの失敗から、言葉の選び方一つで、相手に与える印象が大きく変わることを痛感しました。

「李下に冠を正さず」の使い方と例文

李下に冠を正さず」という言葉は、不正と疑われる行為はすべきではないという戒めの意味で使われます。

ビジネスシーンでの例文

ビジネスシーンでは、「清廉潔白さ」や「コンプライアンス遵守」が重視されます。「李下に冠を正さず」は、そうした誠実な姿勢や、透明性の確保を促す際に使われます。

【例文】

・当社ではコンプライアンスを重視しています。【李下に冠を正さず】ということが大切ですから、取引先から接待を受ける行為は控えましょう。
・【李下に冠を正さず】ということわざもありますし、親御さんからの贈答品は受け取らないでください。
・個人的なSNSやチャットツールを使うのはNGです。【李下に冠を正さず】の精神で、情報漏洩の疑いをかけられるような行動は絶対に避けてください。

日常・プライベートでの例文

日常・プライベートでは、友人や家族との会話、あるいは自分自身の行動を振り返る際に、清廉潔白さや誠実さを意識させる文脈で使うのが効果的です。

【例文】

・A君から借りたお金を返すとき、彼の目の前で振込手続きをしたよ。【李下に冠を正さず】っていうでしょ。後で「本当に返したの?」なんて疑われるのも嫌だからね。
・サークルの新メンバーは私の個人的な友人だけど、採用するかどうかは公平に決めようね。【李下に冠を正さず】だよ、私情を挟んで選んだなんて思われたくないからさ。
・夜中に一人で公園のベンチに座ってたら、通報されちゃった。まさかそんな風に思われるなんてね…【李下に冠を正さず】とはよく言ったもんだよ。
・友達の私物を使うときは、必ず許可をもらおう。【李下に冠を正さず】、後で「勝手に使った」と思われないようにするためだよ。

「李下に冠を正さず」の類義語

「李下に冠を正さず」にはいくつかの類義語があります。「李下に冠を正さず」と同じく中国の古典詩『君子行』の一節が語源となっているものが2つ、それ以外にも用心することの大切さを表している言葉があります。主な4つの類義語の意味と例文をご紹介しましょう。

黄色い瓜の写真
(c)Shutterstock.com

瓜田に履を納れず(かでんにくつをいれず)

「瓜田に履を納れず」(かでんにくつをいれず)は、瓜の畑で脱げかけた靴をはき直すと、瓜を盗もうとしていると誤解される恐れがあることから、紛らわしい行為は避けるべきという戒めを示すことわざです。

先述したように、李下に冠を正さずと同じく『君子行』の一節が語源で、対句として使われることもあります。

【例文】

・政治家は【瓜田に履を納れず】で、どんな時も公私混同は避けるべきである。
・買い物をするときも【瓜田に履を納れず】、エコバッグはきちんと閉じて持つようにしましょう。

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