「鬼に金棒」の意味と由来
「鬼に金棒」とは、元々強い人が力や道具などを得て、より強くなることを意味します。強さの象徴とされている鬼に由来を持つ言葉で、これまでにアニメや小説、ビジネスシーンなどで耳にしたことがある方もいるはず。この記事では、「鬼に金棒」の詳しい意味と由来をご紹介します。
意味は強さが増すこと
ただでさえ強い人がさらに力を得ることを指すのが「鬼に金棒」です。デジタル大辞泉での解説も確認しておきましょう。
【鬼(おに)に金棒(かなぼう)】
《強い鬼にさらに武器を持たせる意から》
ただでさえ強いものに、一層の強さが加わること。鬼に鉄杖(てつじょう)。
「鬼に金棒」は「鬼に鉄杖(てつじょう)」と言い換えることも可能です。ここでいう強さとは、力の強さだけではなく財力や知力を始めとする幅広い能力を指す場合もあります。詳しい使い方と例文は後ほどご紹介します。
由来は強さの象徴である鬼
言葉の由来は、かつて強いものの象徴として用いられていた空想上の生き物である鬼です。牙や角を持ち、ただでさえ強力な鬼が武器となる金棒を持ったら、人間は太刀打ちできないでしょう。強いものの象徴として扱われていた鬼が、さらに力を得た様子から「鬼に金棒」という言葉が生まれました。そこから転じて、現在ではもともと力や能力がある者がさらなる力を得ることを意味する様になりました。
元の状態でも強さがあることが前提となっている言葉であるため、弱い者が力を得て強くなった場合には適さない点には注意が必要です。
「鬼に金棒」4つの類義語
「鬼に金棒」と似たような状況を指して使える表現として、「弁慶に薙刀」「竜に翼を得たる如し」「虎に翼」「駆け馬に鞭」があります。どれも「鬼に金棒」と同様、強いものがさらにパワーアップする様子を描いた言葉です。
それぞれの言葉の意味や、類似表現との微妙な違いも確認しておくとよいでしょう。
弁慶に薙刀(べんけいになぎなた)
1つ目の類似表現は「弁慶に薙刀」で、正しい読み方は「べんけいになぎなた」です。弁慶とは、平安時代の末期に源義経の家来として活躍した、武蔵坊弁慶のことを指しています。「強者の唯一の弱点」を意味する「弁慶の泣き所」という言葉も有名です。逆にいえば弱点がほとんどないくらい、弁慶の強さは突出していたのでしょう。
弁慶(べんけい)の泣(な)き所(どころ)
[1] 《弁慶ほどの豪傑でも痛がって泣く急所の意》向こうずね。
[2] 強い者の、最も弱い所。ただ一つの弱点。
そんな弁慶が武器として所持していたのが、固い岩を切れるほどの切れ味をもっていた薙刀です。つまり、「弁慶に薙刀」は強い者がさらに力を得ることを意味しています。
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