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2026.01.05

「物言えば唇寒し秋の風」の意味とは?由来や似た言い換え表現も解説

「物言えば唇寒し秋の風」といわれても、意味がよくわからないという人もいるかもしれません。本記事では、「物言えば唇寒し秋の風」の意味や、由来となった松尾芭蕉の俳句を紹介します。よく使われる言い換え表現などもチェックして、ボキャブラリーを増やしましょう。

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「物言えば唇寒し秋の風」の意味とは?

寒々しい紅葉の写真
(c)Adobe Stock

まずは「物言えば唇寒し秋の風」の基本的な意味と、その使い方を説明します。また、意味の変化や異説も一緒に押さえておきましょう。

「物言えば唇寒し秋の風」の意味と使い方

「物言えば唇寒し秋の風」とは「余計なことを言うと恨みを買って災難を招きかねない」という意味で、例えば次のようなケースで使用できます。

【例文】
・人の仕事に口出ししていたら、誰も助けてくれずまさに「物言えば唇寒し秋の風」だった
・友人の意見に反対したら口も利いてくれなくなり、物言えば唇寒し秋の風だと思った

「物言へば唇寒し」とも略します。もともとは松尾芭蕉(まつおばしょう)の俳句でしたが、ことわざのように使われています。

物言えば唇寒し秋の風(ものいえばくちびるさむしあきのかぜ)
《芭蕉の句から》人の短所を言ったあとは、後味が悪く、寂しい気持ちがする。転じて、何事につけても余計なことを言うと、災いを招くということ。
小学館『デジタル大辞泉』より引用

「物言えば唇寒し秋の風」の由来

「物言えば唇寒し秋の風」は『芭蕉庵小文庫―秋』にあり、俳句の前には、後漢の学者の言葉「人の短をいふ事なかれ 己が長をとく事なかれ」が添えられています。

「人の短所をあげつらうな、自分の長所を宣伝するな」という意味で、この文脈からは「物言えば唇寒し秋の風」が、悪口や思い上がりへの戒めという風に読めます。

この俳句の解釈変化については諸説あり、「唇亡びて歯寒し」と結び付けられたとする見方もあります。「お互いに助け合う関係では、片方が滅びると残りの片方にも危険が迫る」という慣用句で、言葉選びが似ているところから結び付けられたと考えられるでしょう。

くちびる【唇】=亡(ほろ)びて[=竭(つ)きて]歯(は)寒(さむ)し
互いに助け合う関係にある者の一方が滅びると、他の一方の存在も危うくなることのたとえ
小学館『デジタル大辞泉』より引用

もともとは違う意味だった?

「物言えば唇寒し秋の風」の解釈には、さらに別の説もあります。実は「人の短をいふ事なかれ 己が長をとく事なかれ」という前書きは、芭蕉の書いたものではないという説です。

つまり、「人の短をいふ事なかれ 己が長をとく事なかれ」は後世の編者による前書きで、芭蕉本人の筆ではないとされているのです。

句集に編集される前に書かれた芭蕉直筆の前書きは、「『ものいはでただ花を見る友もがな』といふは、何某鶴亀(なにがしかくき)の句なり。わが草庵の座右に書き付けけることを思ひ出でて」です。

「座右」という単語が教訓めいて聞こえますが、必ずしも教訓を意図したとは限らず、本来はただ秋の情景を詠んだに過ぎなかった可能性もあります。

「物言えば唇寒し秋の風」を生んだ松尾芭蕉と俳句

松尾芭蕉と弟子のイラスト
(c)Adobe Stock

「物言えば唇寒し秋の風」の由来は、松尾芭蕉の俳句です。有名な俳人である松尾芭蕉や俳句の基本情報は、社会人の教養としてチェックしておきたいところです。

「物言えば唇寒し秋の風」を生んだ松尾芭蕉と俳句
  1. 松尾芭蕉は俳句を芸術化した人
  2. 俳句は日本独特の短詩

松尾芭蕉は俳句を芸術化した人

江戸時代前期に活躍した松尾芭蕉(1644~1694)は、俳句を和歌のような芸術にまで高めた俳人で、「俳聖」(はいせい)と呼ばれます。

若い頃は武家に仕えていましたが、後に俳人として身を立てます。41歳からよく旅に出るようになり、旅先の風景や出会いと別れを俳句で詠みました。

約10年にわたる旅の生活から生まれたのが『野ざらし紀行』『笈(おい)の小文・更科(さらしな)紀行』『奥の細道』などの紀行文です。主な俳句をまとめた『俳諧七部集(はいかいしちぶしゅう)』は、芭蕉の作風を知るのに役立ちます。

俳句は日本独特の短詩

俳句は日本独特の短詩で、五・七・五の音型と季節を表す「季語」を入れるのが特徴です。

俳句の原型が生まれたのは江戸時代の初期ですが、芭蕉が江戸に来た頃は笑いやこっけいさを中心とした談林(だんりん)俳諧が流行していました。

それに対して芭蕉が始めた俳句の作風を「蕉風」といいます。言葉の外にある「余韻」によって味わい深さや細やかな感情を表現し、俳句に芸術性を与えました。現在、俳句は世界的に知られ海外の愛好家もいるほど広がりを見せています。

「物言えば唇寒し秋の風」と似た表現

口をつぐむビジネスウーマンの写真
(c)Adobe Stock

「物言えば唇寒し秋の風」の言い換え表現もチェックしましょう。「口は禍の元」「沈黙は金」は、ビジネスシーンでもよく使われるので耳にしたことがあるかもしれません。

「物言えば唇寒し秋の風」と似た表現
  1. 口は禍の元
  2. 沈黙は金

口は禍の元

「口は禍(わざわい)の元」は「うかつな発言が危険を呼び寄せることもあるので言葉は慎重に使うべきだ」という意味です。

由来は五代十国時代の中国の詩といわれており、例えば以下のような使い方ができます。

【例文】
・機密情報を軽率に話したためプロジェクトが失敗し、口は禍の元だと痛感した
・余計な一言が原因で妻と大げんかになり、まさに口は禍の元と悟った

同じ意味の言葉に「口は禍の門(かど)」などもありますが、「口は禍の元」の方が広く使われているので相手に通じやすい表現です。

口は禍の元
うっかり言ったことが災難を招くもとになる。ことばはつつしむべきである。
小学館『ことわざを知る辞典』より引用

沈黙は金

「沈黙は金」は「雄弁さは重要だが、ときには沈黙する方が適切である」という警句です。

正確には「雄弁は銀、沈黙は金」といい、イギリスの思想家であるトーマス・カーライルの言葉「Speech is silver, silence is golden.」から来ています。

【例文】
・不確かな情報は流すべきではないと思い、「沈黙は金」を選んだ
・思わず反論しそうになったが、ぐっとこらえて沈黙は金と自分に言い聞かせた

よく誤解されますが、「雄弁さは評価できるものの、場合によっては黙る方がよい」というニュアンスで「ただ黙っていればうまくいく」という意味ではない点に注意が必要です。

雄弁は銀 沈黙は金(ゆうべんはぎん ちんもくはきん)
《Speech is silver, silence is golden.》雄弁は大事だが、沈黙すべきときを心得ていることはもっと大事だということ。英国の思想家カーライルの「衣装哲学」にみえる言葉。
小学館『デジタル大辞泉』より引用

まとめ

  1. 「物言えば唇寒し秋の風」は松尾芭蕉の俳句から来ている

  2. 「余計なことを言うと恨みを買って災難を招きかねない」という意味で使う

  3. 「口は禍の元」「沈黙は金」とセットで覚えよう

「物言えば唇寒し秋の風」は、詩的で優雅な表現です。日本の空気を読んで言葉を慎む文化をよく表しています。ぜひ、この機会に意味と使い方を覚えて、ボキャブラリーを増やしましょう。

メイン・アイキャッチ画像/(c)Adobe Stock

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Domani編集部

Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けたファッション&ビューティをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれや美容を楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッション感度の高いエディターを通して発信中。
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