近年、多くの日用品で見かけるようになった「除菌」「抗菌」「殺菌」といった表示。いろいろな商品がある中で、どの表示を選べば良いか迷ってしまうこと、ありますよね…。今回は、これらの表示にどういった違いがあるのか、洗剤化学のスペシャリストとして有名な、かずのすけさんにお話をうかがいます。
抗菌、除菌、殺菌…。それぞれの言葉の意味は?
「除菌は『菌を対象物から有効数減少させる』、抗菌は『菌の増殖を抑制、あるいは阻害する』、殺菌は『細菌などの微生物を死滅させる』という定義があります。ただし、実は『殺菌』は医薬品や医薬部外品にしか認められない表現。そのため、食器用洗剤などの日用品には、表示されません。つまり、日用品の場合は、『除菌』か『抗菌』かを選ぶことになります」(かずのすけさん)
抗菌…菌の繁殖を抑制、あるいは阻害すること。菌の繁殖を抑制するが、菌の数を減らすことはできない。
除菌...菌を対象物から有効数減少させること。全てを取り去ることはできず、0.1%〜1%程度は残っているので、そこから繁殖する可能性は残る。
殺菌…細菌などの微生物を死滅させること。医薬品や医薬部外品にしか認められない表現で、日用雑貨には見られない。
日用品の表示は除菌、抗菌がメイン。どう違うの?
「『除菌』タイプでは菌を一時的に拭き取ってその場にいない状態にすれば『除菌』と言えるため、何か特殊な成分によって菌を殺している訳ではありません。しかも除菌の試験では菌の減少は1/100までしか計測しないため、1%程度は残っていて、そこからさらに繁殖してくる可能性は十分あります。『抗菌』の場合は繁殖を抑制できますが、逆に菌の数を減らすわけではありません。」(かずのすけさん)
除菌と抗菌の表示にはあまりこだわらなくて大丈夫!
「除菌と書いてあるからといって全ての菌が抹消される訳ではなく、抗菌作用がなければ再度繁殖してしまいます。菌は全てが悪いものではないので、あまり除菌や抗菌にこだわる必要はありません。」(かずのすけさん)
除菌にはあまり期待しすぎないように!
【ここがポイント!】
✔︎除菌は菌を除去すること、抗菌は菌の繁殖を抑えること
✔︎除菌しても菌が完全に死ぬわけではない
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洗剤化学のスペシャリスト
かずのすけ
1990年福井県生まれ。京都教育大学教育学部を経て、2016年に横浜国立大学大学院環境リスクマネジメント専攻を卒業(環境学修士・教育学学士)。専門は有機化学で、大学では界面活性剤とタンパク質の研究、大学院では化粧品リスクと消費者教育に関わる研究を行う。現在は研究活動のかたわらサイト運営や化粧品の企画開発、セミナー講師、執筆業などにも携わる。2013年9月よりブログ「かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき」を運営。過去最高月間500万アクセス。確かな知識を生かした化粧品解析やわかりやすいコラムで、肌・髪に悩む多数の読者の信頼を得ている。著書多数。『オトナ女子のための美肌図鑑』『オトナ女子のための美容化学 しない美容』(ともにワニブック刊)等。http://ameblo.jp/rik01194/