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2019.05.11

脳梗塞を起こしたら、2か月以内にしなくてはいけないこと【うちのダディは脳梗塞6】

10代をカリスマモデルとして駆け抜け、20代でデザイナーに転身した佐藤えつこさん。順調にキャリアを重ねていた35歳のとき、父親が脳梗塞で倒れ、華やかだった人生が一変しました。アラフォーにして介護歴は4年。その道のりはけして楽なものではありませんでした。だれにでも起こりうる、けして他人事ではない人生の悲喜こもごもと介護のリアル。今回は、命の危機を乗り越えたと思ったらやってきた、新たなピンチを語ります。

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急に言われても……

ダディが倒れてから2週間がたったころ。点滴や機械治療の医療器具が少しずつはずれていき、数分の間であれば目を開けられるようになっていました。一日、また一日と時間がたつにつれて意識のある時間が長くなるように。

と言っても、まったく言葉を話せない全失語症、右手足のマヒは変わらず。今日明日にどうにかなることはなさそうだ…と、家族の気持ちが少し落ち着いてきたタイミングで、新たなピンチがやってきたのです。

「回復病棟を探してください。脳梗塞を起こしてから2か月以内に見つけて入院しないと、回復病棟サイドが受け入れてくれませんから」。担当医師が面談で切り出したのは、「この病院でやれることはやった、なるべく早く出よ」というお達しでした。

聞いてないよ!

治るまで同じ病院にいられないの? 

ていうか、この時点ですでに、3週間ロスしてますけど!? 

全力でツッコミたかったけれど、ついこの間まで「明日はないかもしれない」「1年以内の生存率は10%」「もう家には帰れない」と言っていた先生からすれば、ダディは奇跡の人。

それに、脳梗塞は発症してから半年以内が最も回復する時期だそうで、その間に徹底してリハビリを受ける必要があるのだとか。回復期リハビリ病棟は、そのための病院なんですね。

焦りながらも、家族としては次のステップに進めたのだと解釈。こうなったら、とにかくダディにとって〝いい病院〟を探したい。でも、そもそも探し方がわからないし、さらに運よく見つけても空いていれば入れるわけではなく、面談をして病院側の許可をもらわなきゃいけないらしい。

まずはソーシャルワーカーに相談すべし、と教えてもらい、その存在を初めて知ることに。

ソーシャルワーカーとは主に社会福祉士や精神保健福祉士といった専門職です。病気やけが、あるいは高齢や障害などを抱える人やその家族に対し、日常生活を送るうえでのさまざまな不安や困りごとを支援してもらえます。

今となってはソーシャルワーカーの役割をよく理解しているのですが、そのときは正直何をしてもらえるのかも、職種の違いも全然わからなかったですね。30代で介護なんて考えてもみなかったから、世の中にこういうサポートがあるとか本当に知らないことだらけ!

ただ、大事なダディの回復を左右する入院先。あとはプロにおまかせ!…という気にはとてもなれず、ネットで鬼のように検索するも、行ってみないことにはわからない実情。さらに予想もしていなかった事態が重なり、病院選びは難航することになります。

イラスト/佐藤えつこ 構成/佐藤久美子

佐藤えつこ

佐藤えつこ

1978年生まれ。14歳で、小学館『プチセブン』専属モデルに。「えっこ」のニックネームで多くのティーン読者から熱く支持される。20歳で『プチセブン』卒業後、『CanCam』モデルの傍らデザイン学校に通い、27歳でアクセサリー&小物ブランド「Clasky」を立ち上げ。現在もデザイナーとして活躍中。Twitterアカウントは@Kaigo_Diary

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