働く女性のピンチを救う!お詫びのお悩みQ&A
Webアンケートに寄せられた〝こんなとき、どうすればいい!?〟に答えるお詫びのレスキューコーナー。今回は、お詫びのマナーに詳しい3人の専門家たちがお悩みに答えてくれました。
増沢隆太さん
ますざわ・りゅうた/1962年、東京都生まれ。経営コンサルタント・産業カウンセラー。ロンドン大学大学院修士課程修了。人と組織にまつわる戦略・コミュニケーションの専門家。テレビや新聞、週刊誌などでコメンテーターとしても活躍中。
林 文恵さん
はやし・ふみえ/1975年、東京都生まれ。上智大学大学院外国語研究科地域研究専攻博士前期課程修了。前職のIT企業を含め、広報歴は15年。現在、風評リスク管理を含む対外広報を担当中。
インタビュー
中川路亜紀さん
なかがわじ・あき/1956年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。出版社勤務を経てビジネス・コミュニケーションの専門家に。『気のきいた短いメールが書ける本』『気のきいたモノの言い方ができる本』(共にダイヤモンド社)など著書多数
お悩み1:社内でのお詫びのマナーについて教えてください。たとえば会議に遅れてしまったときなど、気まずくてすぐに謝ることができないんです。(36歳・金融)
林さん:「会議の進行を邪魔しないために、入室時は軽く会釈してサッと席につきましょう。意見を求められたら初めに『遅れまして失礼しました』と謝ってから発言すればよいと思います。その際、遅れた理由はいりません。なぜかというと“この人が遅れたせいで予定がくずれた”など、場が全体的にイラッとしているわけです。最初にしっかりお詫びをすることで、険悪な空気を正常化させましょう。」
お悩み2:会ってお詫びする場合と、電話やメールでもよい場合の、線引きの目安を知りたいです。上司には「先方に時間をとらせるな」と止められ、先輩からは「手みやげをもって行ったほうがいい案件」と指示が分かれるときに困っています。(38歳・不動産)
林さん:「今はビジネスのやりとりはメールが主流だけに、悩む気持ちはわかります。もんもんとしているうちに時間がたってしまう。でもお詫び案件はスピード重視。会社組織であれば、基本は上司の指示をあおぐのが正しいと思います。責任をとるのは上司の仕事です。ただし、現場の先輩のほうが先方をよくご存じである可能性もありますよね。『こういう場合は先方に出向くとスムーズにいく』とか、先輩には過去の経験の蓄積などもあるはずです。現場の状況を上司の耳に入れたうえで、判断をあおいでみるのがよいでしょう。」
お悩み3:先輩や後輩のミスを代わりに謝罪しなければならない場合。自分もストレスなく、先方にも誠意が伝わるための考え方を知りたいです。(40歳・商社)
増沢さん:「ストレスを感じる気持ちはわからなくもありません。でもビジネスの場ですから、この方がしなければならないのは仕事としてのお詫びです。ここはぜひ明確に認識をしてください。決して自分のせいによるミスではなくても、お詫びするのは『仕事』です。しっかり対応して事態を収拾することによって、仕事が進んでいくわけです。自分の人格は関係ありません。会社を代表して客先と接する仕事であると認識して進めてください。」
お悩み4:仕事柄、電話やメールで謝ることが大半で、顔が見えないぶん伝わっているのかが不安です。誠意が伝わるお詫びメールの文例を教えてください。(37歳・IT)
中川路さん:「まず気をつけたいのは、お詫びの言葉が少しでも早く出てくること。挨拶は省略して、相手にかかった迷惑を念頭に置きながら、言い訳なしで謝ります。文例はショートバージョンなので割愛していますが、経過説明を書く場合も事実を淡々と書きましょう。特に丁寧にしたいときには、最初にお詫びをして、反省のところでもう1回お詫びの言葉を入れてみる。または『誠に申し訳ございません』『心よりお詫び申し上げます』など、謝る言葉を変えて重ねるとお詫びの気持ちがより強調されます。」
メール文例
お悩み5:後輩が必要以上に相手に謝ることがあるんです。仕事である以上、こちらの主張はしっかり通すべき時もあります。どう教えていくべきでしょうか。(35歳・鉄道)
林さん:「どの点を間違えてどの程度ご迷惑をおかけしているのか、明確にしてからお詫びをするよう指導しましょう。『あなたが全部悪いわけじゃない。会社がすべて悪いと思われる』ことを理解してもらって。」
増沢さん:「最近、接客業やサービス業界では、明らかにお客さんに非のある使い方をしたもらい事故のようなクレームには、必要以上のお詫びはしなくていいとされています。内容を見極める指導は重要です。」
Domani2018年11月号「デキる女は“お礼上手でお詫び上手”なんです!」より
本誌掲載時スタッフ:撮影/沼田孝彦(増沢さん)、与儀達久(林さん) イラスト/本田佳世 構成/谷畑まゆみ 再構成/WebDomani編集部