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2019.10.05

まるで別人? 家族も衝撃のビフォーアフター【うちのダディは脳梗塞16】

カリスマモデルとして活躍した後、20代でデザイナーに転身した佐藤えつこさん。順調にキャリアを重ねていた35歳のとき、父親が脳梗塞で倒れ、人生が一変しました。アラフォーにして介護歴はもう5年。なかなかすぐには回復が進まず、今もなお、介護の日々が続いています。けして他人事ではない人生の悲喜こもごもと介護のリアル。今回は、脳梗塞の後遺症で別人のようになった父親のビフォーアフターを語ります。

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怒りっぽい、神経質、無気力、おまけに肉食!?

 

高次脳機能障害は一見しただけではわからず、「見えない障害」とも言われるそうです。我が家のダディも、パッと見は車いすを使っているくらいで、いたって「普通」。でも、性格はすっかり別人になっていました。

以前はポジティブでアクティブな人だったけれど、とにかく急に機嫌が悪くなって怒るし、かと思えば、朝から無気力で落ち込んで鬱々としている日も。在宅介護をスタートすると、日常生活でもその変わりぶりが随所に見られるようになりました。

まず、異常なほどの寒がりに。冬はどんどん着こんでマフラーもぐるぐる巻いています。夏は夏で、長袖を着ておまけに「ブランケットを肩とひざ元にかけろ」「クーラーを消せ」とずっと訴えてくる。汗をだらだらかきながら、それでも「寒い、寒い」と。

さらに、家で家族しかいなくても帽子は絶対にかぶります。人に見られたくないらしく、気分転換に公園に行くときは、サングラスもかけたいと主張。ダディの希望どおりの格好にして出かけると、汗だくの高齢者に厚着をさせて私が虐待しているみたいな光景に(涙)!

ベジタリアンからお肉が大好きになったのも衝撃でした。40代でアメリカに住んでいたころから玄米菜食を取り入れていたダディが、ここに来て肉食に!今では好物はトンカツです。

そして、極めつけは母が介護のストレスから具合が悪くなってうずくまっていたとき。ダディは心配するでもなく、それを見て指をさしながら大爆笑。

、、、なかなかのカオスですよね。

脳梗塞で倒れるまで画家だったダディは、絵を描いたり、詩を書いたり、パソコン作業をしたりとクリエイティブで、いつも手を動かしている印象でした。今はいつも疲れていて楽しみといえば、テレビのバラエティ番組くらい。それも顔にパイを投げるような、子供っぽいシーンに大はしゃぎ。かつて好きで観ていたニュースや歴史、海外の自然を扱うような番組には、興味をなくしてしまったようです。

当初は豹変したダディについていけず、まったく理解できませんでした。温厚な兄でさえ、一時は「もうムリ!」と音をあげるくらい。でも、本やネット、当事者家族の交流会などで勉強していくうちに、ダディは「行動と感情の障害」が顕著なんだと気づいて。怒りっぽい、強引、やる気がない、神経質になる、他人への気づかいや状況判断ができない…といったふるまいは、すべて高次脳機能障害の特徴的な症状と一致していたんですね。

73歳にして大きなワガママっ子のようになったダディと、混乱する私たち家族。根比べの毎日に突入しますが、ここから先はまた次回に。

イラスト/佐藤えつこ 構成/佐藤久美子

これまでのお話▶︎だれにでも起こりうる介護のリアルって?元モデルの介護奮闘記【うちのダディは脳梗塞】

佐藤えつこ
佐藤えつこ

1978年生まれ。14歳で、小学館『プチセブン』専属モデルに。「えっこ」のニックネームで多くのティーン読者から熱く支持される。『プチセブン』卒業後、『CanCam』モデルの傍らデザイン学校に通い、27歳でアクセサリー&小物ブランド「Clasky」を立ち上げ。現在もデザイナーとして活躍中。Twitterアカウントは@Kaigo_Diary

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