【目次】
・多肉植物とは
・多肉植物の代表的な種類
・多肉植物の育て方
・飾り方のコツ
・おしゃれなアレンジ
多肉植物とは
多肉植物といえば、アロエや丸くふくらんだサボテンなどが思い浮かぶのではないでしょうか。多肉植物の種類を見ていく前に、まずは多肉植物とはどういう植物なのかをチェックしておきましょう。
水を蓄える性質をもつ植物の総称で種類が多い
多肉植物というのは、葉や茎に水分を貯め込んで多肉化する植物の総称です。砂漠や海岸といった乾燥地帯が原産地のものが多く、日本に自生している一般的な植物とは見た目が大きく異なります。
葉が棒状になっていたり茎が球状になっていたりして、ぷっくりと膨らんだ独特な見た目が特徴です。
水分を貯め込むことと、貯め込んだ水分を外部に蒸発させないことが得意な種が多く、水やりの手間がかかりません。こういった性質により観葉植物としての人気が高く、数万種の中から特に観葉植物に向いた種が販売されています。
多肉植物の代表的な種類
多肉植物は多種多様で、独特な見た目でぷにっとしているものもあれば、トゲトゲしているものもあります。
ここからはさらに掘り下げて、植物としての「科」とその下の「亜科」や「属」の情報も踏まえて、代表的な多肉植物の種類を見ていきましょう。
アロエ
ススキノキ科のアロエ属は、先が尖った肉厚の葉が、観賞用にも食用にもなる多肉植物の総称です。アロエ属には500種以上があり、観賞用のものでは茎がなかったり目立たなかったりするものもあります。
観賞用として人気が高いのは、「キダチアロエ」や「アロエベラ」です。キダチアロエは茎が木質化しながら1m以上にまで成長し、冬には赤い花を咲かせます。
南アフリカ原産ですが、日本の海岸で野生化しているのを見たことがある人もいるのではないでしょうか。ワシントン条約で輸入は禁止されていますが、多肉植物のなかで特にポピュラーな種です。
アロエベラはキダチアロエほど大きくは育たず、黄色い花を咲かせます。ゼリー質の葉肉をヨーグルトに入れて食べるなど、食用としての栽培も一般的な種です。
ハオルチア
ハオルシア属は、以前はアロエ科に分類されていた多肉植物の総称です。ツルボラン亜科に属し、科も亜科もアロエと同じで、見た目はアロエ属と似ています。
葉はアロエ属より小さく、尖ったものもあればぷっくりしたものもあるなどバリエーションが豊富です。
ハオルシア属は、葉の硬さで硬葉系、中間系、軟葉系に分けられます。硬葉系では白い横縞模様をつける「十二の巻(ジュウニノマキ)」、軟葉系では葉に透明な部分ができる「玉扇(ギョクセンまたはタマオウギ)」などが有名です。
アロエ属もハオルシア属も、葉が薔薇の花びらのように放射状に広がる(ロゼット状)のものが多くあります。
サボテン
サボテンはサボテン科に属する植物の総称です。ほとんどが多肉植物で、観葉植物になるものの多くは葉がトゲになっていて茎が球状にふくらんでいます。
サボテンは2000種を超えるともいわれており、一見するとサボテンだと気付かない形のものも少なくありません。
代表的な品種は「金鯱(キンシャチ)」で、サボテンらしい丸い形状とトゲを持ち、30年に1度ほどの周期で花を咲かせます。
小判型の葉茎が特徴的な「シャコバサボテン」は、温度によって赤から黄色までさまざまな色の花を咲かせ、「花サボテン」というジャンルの代名詞です。
ウサギの耳のような茎を伸ばす「ウチワサボテン」は、かわいい見た目で初心者におすすめのサボテンといえます。
エケベリア
ベンケイソウ科のエケベリア属は、平たくて肉厚の葉がロゼット状に伸び、薔薇の花のように広がる姿が特徴的です。茎はほとんど退化しており、大きくは育ちません。
「エケベリア・ミニマ」はエケベリアらしい小型のロゼットが楽しめる種で、複数並べてもかわいくまとまります。
「エケベリア・エレガンス」はメキシコの宝石ともいわれ、色や葉の成長の仕方によって多様な品種があることが特徴です。
セダム
セダムはエケベリア属と同じくベンケイソウ科に属し、マンネングサ属ともいわれます。ロゼット状に生長しますが葉は粒状か棒状です。丈夫な多肉植物で、乾燥していて肥料がほとんどなくても育ちます。
葉が粒状の「ニジノタマ」は、夏には緑色ですが気温が低くなると赤くなっていく色の変化が特徴です。5月ごろには黄色い花を咲かせます。
「ウスユキマンネングサ」や「オウシュウマンネングサ」は、気候や光の条件が悪くても育ち、グランドカバーのように使えることが特徴です。
カランコエ
ベンケイソウ科のカランコエ属は、星型に開く5枚の花弁が特徴的な多肉植物です。日照時間が長い間は花を咲かせず、人工光も当たらない暗所では1年中花を咲かせます。
代表的な種は「ベニベンケイ(紅弁慶)」で、大きく成長するものやほとんど成長しないもの、花の色が白やピンク、黄色になるものなど多様な品種があることが特徴です。
乾燥や寒冷に強い「キンチョウ(錦蝶)」や、繁殖力の強い「コダカラベンケイ(子宝弁慶)」、これらの交配種の「フシチョウ(不死鳥)」など、育てやすい品種が多くあります。
多肉植物の育て方
次は多肉植物の育て方に注目していきましょう。多肉植物は、成長する季節の違いで春秋型種、夏型種、冬型種の3種類に大別できます。
こういった違いは、原産地の気候の差によるものです。無理なく育てるように、水やりや日光の調整などに気をつかってあげましょう。
夏型種と春秋型種の場合
夏に成長しやすい夏型種は、直射日光が強すぎず日当たりの良い所に置いてあげるとよく育ちます。アロエ属やカランコエ属の多くは夏型種です。
成長期の前後の春・秋には多めに水を与えましょう。夏場は涼しくなる夕方以降に水を与えます。休眠期に当たる冬には、暖かい日の昼間に月に1・2回ほど水をあげれば十分です。
空調の風に直接当てたり、夜間に窓際に置いたりすることは避けましょう。夏型種は基本的に日本の冬の気温には耐えられないので、冬場は適度に温かくしてあげることが大切です。
なお、春秋型種も基本的には同じですが、高温多湿にも寒さにも弱いため、夏と冬にほとんど水を与えないという点に注意しましょう。
冬型種の場合
冬に成長しやすい冬型種は、種によって適切な管理方法が変わってきます。多くの冬型種の多肉植物は、高温多湿な環境が苦手です。夏場は涼しく風通しのよい場所に置き、水を与えないようにしましょう。
「リトープス」や「コノフィツム」といった種は、夏場に脱皮をするという特殊な生態を持ちます。脱皮が始まれば水を与えるのをやめ、涼しい半日陰に置いてあげましょう。
成長期を控えた秋になったら少しずつ水を与え、うまくいけば花をつけることもあります。冬になれば日光をあててあげましょう。
飾り方のコツ
多肉植物を自宅に迎えるイメージをつかんだところで、観葉植物としての楽しみ方も考えてみましょう。ここでは、多肉植物を1鉢で飾る方法と複数並べる方法について紹介します。
一鉢で飾る
多肉植物は複数のバリエーションで並べるのも面白いですが、あえて1鉢だけで飾る、というのもおすすめです。個性的なフォルムの多肉植物は、1鉢だけあることで逆にインテリアのアクセントとして魅力が際立ちます。
白やブラウン基調のインテリアには多肉植物の緑がよく映えるため、殺風景になりがちなサイドテーブルやソファー横などにおすすめの飾り方です。
この場合は、ロゼット型で50cm以上の中型の多肉植物などが向いています。見た目のインパクトと存在感がある多肉植物は、あえて1鉢だけで飾ってみましょう。
ダイニングや窓際に並べる
小型種の選択肢が多い多肉植物は、ついついたくさん買い揃えてしまうかもしれません。そういう場合は、ダイニングテーブルや窓際にずらっと並べてみましょう。
インテリアに馴染むことを優先するなら高さを揃えて、インパクトを求めるならひとつだけ背の高いものにするのがおすすめです。
これはファッションとも同じ感覚で、「盛る」ところと「抜く」ところを分けてみるとバランスが良くなります。「被写体」と「背景」があるような、フォーカスを絞った並べ方を意識しましょう。
おしゃれなアレンジ
多肉植物の飾り方をチェックしたところで、オリジナリティを出す方法を考えてみましょう。ここでは、鉢カバーでアレンジする方法や、雑貨に植えたりハンギングにしたり、テラリウムに植えたりする方法を紹介します。
鉢カバーのアレンジ
多肉植物は飾り立てなくてもインパクトがあるため、鉢カバーを着せ替えるだけで大きく印象が変わります。
鉢カバーの色に悩んだら、白で統一するのがおすすめです。インテリアも白基調なら、多肉植物の緑がよく映えます。
インテリアが白とブラウンのバイカラーだとすれば、多肉植物の緑に差し色の赤を加えてもおしゃれです。ここで、1鉢だけ色を変えるとフォーカスが絞れます。
カラフルにすると多肉植物の魅力を感じにくいため、使うカラーは2色、多くても3色程度にとどめておくとよいです。
雑貨やハンギング
多肉植物はエキゾチックなインテリアによく合いますが、ブリキや銅製のアンティーク雑貨に植えてもよく映えます。鉢カバーよりも自然な収まりになりやすく、多肉植物のフォルムが際立って見えるはず。
また、天井や壁から吊ってみると印象が変わります。床やテーブルに置くとインテリアにフィットしないときには、あえてハンギングにするという方法も考えてみて。
ハンギングにすることで、ほかの家具とは違う意識で見やすくなります。ただし、鉢に重みがあると落下の危険があるため、耐荷重には十分に注意しましょう。
テラリウム
テラリウムは、多肉植物のアレンジで特に人気がある方法です。ガラス製の容器のなかに、多肉植物をピンセットを使って植え込んでいきます。
ひとつのテラリウムのなかに複数の多肉植物を植え込むアレンジもでき、好みで雑貨を配置しても構いません。容器の全体が透明なので、土も含めて観賞できるところがポイントです。
テーブルに置くタイプが一般的ですが、吊り下げ用の「ハンギングテラリウム」というのもあります。