英語で言うと
慈悲の英語は「mercy」です。以下のように使われます。
He doesn’t have any mercy.(彼には慈悲の心がない)
似た意味の英語に「charity」があります。「情け」の意味合いが強いmercyに対し、charityは「恵み」の意味合いが強い言葉です。
慈悲深いの英語は、mercyを形容詞の形に変化させた「merciful」です。以下例文のように用いられます。
She is merciful to others. (彼女は他人に対して慈悲深い)
慈悲深い人の5つの特徴
慈悲深い人と聞いて、どのような人物像を思い浮かべるでしょうか? 代表的な特徴を紹介します。
困っている人を助ける
慈悲深い人は、職場やプライベートなど自分が置かれた状況にかかわらず、困っている人や苦しんでいる人がいたら放っておけない性格です。その人がどのような状況にあるのかや、どのような心理状態に陥っているのかなどをイメージし、自分にできることは何かを考えます。相手に確認できる状況であれば、困っている内容を聞き出し、解決策を一緒に導き出そうとするでしょう。もちろん、見返りなどは一切求めません。
ただし、助けの手を差し伸べることが、相手の成長を妨げると判断した場合は、状況に応じた適切なアドバイスを送るだけにとどめ、事態の収拾を図ります。
公平に接する
年齢・性別・上下関係などにかかわらず、誰とでも公平に接することも、慈悲深い人の特徴です。相手がたとえ苦手な人であったとしても、他の人と同じように思いやりを持って接し、自分の先入観を捨て相手の価値観を素直に受け入れます。
常にこのような態度で振る舞っているため、他人を心底嫌いになることがありません。付き合う相手を感情で判断するのではなく、相手の長所を見つけようと努力します。どんな相手にも平等に接することから、敵ができにくい性格であるとも言えるでしょう。慈悲深い人に対しては、多くの人が強い信頼感を抱きやすくなります。
他人を許せる
人との付き合いにおいて、例えば相手がミスをすることで、自分も何らかの被害を受けるような場面を思い浮かべてください。そんな場面で、誰にでも失敗はあるということが頭では理解できていても、つい感情的になり相手を怒ってしまうようなことは、多くの人が経験しているでしょう。
しかし、慈悲深い人は、このようなケースでも相手を怒ったりしません。ミスをした相手の気持ちを思いやり、いかなる場合でも失敗した相手を許す気持ちになれます。相手が故意に自分を傷つけようとした場合も同様です。感情に左右されるのではなく、なぜそのようなことをしようと考えたのか、相手の心理を推し量ろうと試みます。
偏見を持たない
多くの人は、他人に対し何らかの偏見を持っています。見た目・学歴・職業・性別・経歴・育った環境などについて、人それぞれの物差しを基準に、多くの場合、他人を悪く考えようとします。一方、慈悲深い人は、偏見を持って相手を見ることがありません。自分の中にうがった価値観を持たず、どんな人も差別の対象としない特徴があります。
偏見とは無知の産物だという風に考え、偏見に思われがちな部分を全て個性だと捉え、相手のことを受け止めて理解しようと試みます。自分の無自覚な偏見に対しても敏感です。常に自分と客観的に向き合い、周囲の人と調和がとれているか、独り善がりの考え方に傾いていないか、と考えています。
表情が朗らか
いつも穏やかで、柔らかい表情をしていることは、慈悲深い人がもつ大きな特徴の一つです。怖い顔など見せず、多くの時間を笑顔で過ごしています。内面から自然とにじみ出てくるような朗らかな表情であるため、周囲の人を和ませる力を持っています。癒やしや安心感を与えるだけでなく、話しかけやすい雰囲気も醸し出しているでしょう。
慈悲深い人は、表情だけでなく話し方も穏やかです。ゆっくりと落ち着いたトーンで会話を進めるため、話を聞いている側も穏やかな気持ちになります。感受性が豊かであることから、相手の苦しみや悲しみを自分のことのように受け止め、涙もろい人が多いことも特徴です。
▼あわせて読みたい
慈悲深い国の調査がある?
英国の慈善団体が毎年公表している「CAF WORLD GIVING INDEX(世界寄付指数)」は、国ごとの人助け・寄付・ボランティアに関する指数が、ランキング形式で分かる資料です。2019年10月に公表されたデータを紹介します。
寄付額の多い国や人助けの多い国
「見知らぬ人を助けたことがある」(Helping a stranger)という項目では、米国やカナダ、発展途上諸国が上位に名を連ねる一方で、日本は125カ国の中で最下位となっています。
「寄付をしたことがある」(Donating money)の項目で1位の国は、世界一寄付をする国として知られるミャンマーです。寺院へ寄付する習慣がある小乗仏教が信仰されていることが理由とされています。
「ボランティアをしたことがある」(Volunteering time)の項目では、半数近い数値を記録したスリランカを筆頭に、トルクメニスタン・ミャンマー・リベリア・米国と続きます。
データを見る際の注意
前述したように、日本は「困っている人を助ける」項目で最下位となっており、3項目を合わせた総合順位でも、126カ国の中で107位と低い順位です。この結果だけみれば、「日本は他人に冷たい国だ」と思われてしまうでしょう。しかし、この調査はアンケートを基にしたデータであるため、各国の国民性が多少なりとも影響していると考えられます。
日本人は、人助けや寄付などに関し、世間に公表することを善しとしない傾向があります。そのことが調査結果に反映しているとも言えるため、客観性に欠ける調査であることに留意しましょう。
写真/(C)Shutterstock.com
▼あわせて読みたい