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2020.03.17

不安だった日本での復職が成功した理由は…【ワーママの転職/ななみさんの場合・後編】

転職のスタイルは十人十様。成功ポイントも人それぞれ。ワーママになってから転職・独立を実践した実例を紹介するシリーズ。あなたに合うケースが見つかるかも?(後編)

Text:
南 ゆかり(フリーエディター)
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「なんとなく孤独」で再就職活動を開始

●PROFILE
ななみさん・36歳・東京都板橋区在住
金融関連会社勤務
子ども/6歳(男)・1歳(男)

○前編:日本企業の現実に落胆…からの、香港でのハッピー子育て

「なんでも自分でやる」主義からの脱出

香港に滞在して2年半、子どもができてもうすぐ1年というときに、夫の帰国が決まりました。一家そろって日本に戻るときは、やはり心配が頭をよぎります。香港では周囲のみんなが育児を応援してくれるけど、日本ではどうなんだろう…。ベビーカーは電車でイヤがられると聞くし、小さい子どもがいると再就職も難しいかもしれない。どうなるんだろう。

そんな手探り状態で、日本での生活は始まりました。気づけば、引っ越したエリアに知り合いはいないし、児童館などに行ってみても、すでにママ友グループが出来上がっていて、ちょっと入りにくい。以前からの友人たちは、当然みんな仕事で忙しいし。なんていうか…少し孤独でした。

このまま先のキャリアも見えないまま、子どもとふたりでずっと過ごすのかと思うと、いたたまれなくなって、それで「仕事したい!」と。ただ、かつてのように「いいところに就職したい」「夢をかなえたい」という思いはありませんでした。エージェントに登録し、伝えた条件は、<家から近い><時短勤務ができる><お給料はそこそこ>。もはや、<やりがい>や<正社員採用>は求めませんでした。

うらやましがられる大企業より、自分にとって働きやすい会社

エージェントから紹介のあった会社は「海外とのやりとりもある金融業務」で「業務委託として」という内容でした。ただ、その時点でまだ子どもを保育園に入れることができず、区が委託している保育ママさんに頼る生活で、最大6時間までしか預けることができませんでした。だから、エージェントにも、企業の面接でも、その条件を伝え、「もしものときは、病児保育に登録もしている」ことも伝えました。

もちろん、仕事をするうえでのアピールもしっかりしますし、その反対の「苦手なこと」も正直に伝えました。たとえば、「英語を使った書類作成や契約などもできます」、でも「数字を使って分析するのは苦手かもしれません」と。

想定外だったのは、<業務委託として>という前提だったのが<正社員として>採用されることに決まったこと。かつての金融業界での5年間のキャリアや香港でも仕事をしていたことが評価されたのも事実ですが、成功のポイントをもうひとつ付け加えるなら、やっぱり笑顔。それだけは、どんな状況でも忘れてはいけないと思います。

そうやって転職して5年。その間ふたり目の子どももできて今、10時から16時半が勤務時間です。初めに就職したところと比べるのもおかしいけれど、同じ金融業界でもこんなに違うものかというくらい、個人の働き方を尊重してくれるし、社内の雰囲気も穏やか。希望どおり家から近いのは魅力ですし、子どもに何かあったとき融通もききやすい。誰もがうらやましがる、名の通った大企業ではないけれど、今はじゅうぶん満足です。

完璧を求めず、今の自分が幸せなことがいちばん

きっと、子どもが大きくなるにつれて、時間の使い方も仕事に求めることも、変わってくることでしょう。仕事の内容を高度にしていくとか、責任の重い仕事にも挑戦するとか、またそれにともなって、正社員がいいのか、別の形がいいのか。ライフステージに合わせて、会社も仕事内容も、そして勤務形態も、変えていくのは自然なことだと思います。

何を重視し、何を切り捨てるか。あれもこれも完璧に求めるのではなくて、自分が幸せならそれがいちばん。これは、香港で生活するうちに自然と身についた考え方でもあります。

また、勢いがあって合理的な香港での生活を経て、日本で暮らす味わい深さも、改めて感じています。四季折々の食材を使う料理と子どもへの食育、道徳や音楽などの情操教育。こうしたことを経験しながら育つ子どもたちは、どうなっていくか、今とても楽しみです。そして私自身はというと、子どもが寝た後にひとりで読書を楽しむ時間が何よりの幸せです。(終わり)

写真/Shutterstock.com

●ワーママ転職成功の法則
1、ライフステージごとの優先順位を考える
2、育児も仕事も完璧を目指さない
3、面接では<できること><できないこと>を伝える

南 ゆかり

フリーエディター・ライター。半年にわたって取材・執筆した書籍『真夏も雪の日もかき氷おかわり!』発売中! ほかに書籍『今の私は』(後藤真希・著)、Oggi誌面インタビュー連載「この人に今、これが聞きたい!」「お金に困らない女になる!」などなど。

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