短いからこそ気楽に読める、厚さ1センチ以内の文庫本で読書タイム
最後に本を読んだのはいつだったでしょうか?家族の世話や家事、自分の仕事に追われ、ゆっくり腰を落ち着けて…なんていう風にはほとんど取れない読書時間。最近はコロナウイルスの影響で在宅勤務や自宅で過ごす時間もぐっと増え、それはそれで様々な対応に追われてぐったり。といった日も多いのではないでしょうか?
出かけずに、何も準備しなくても、少しだけ空いた時間に気分転換をしたい時に手に取れる文庫本。厚さ1cm以内のものの中から独断と偏見(?)のおすすめ度とともにご紹介させていただきます!
1:デトロイト美術館の奇跡/原田マハ
(新潮文庫)
感動度 ★★★★★
美術の知識がつく度 ★★★★★
デトロイト市に行ってみたくなる度 ★★★★★
“楽園のカンヴァス”で山本周五郎賞を受賞した原田マハさん著書。実際に国内外の様々な美術館での勤務経験があり、豊富な美術の知識をもとに描き出される物語は随所に「へえ〜」と思わず惹きつけられてしまうような魅力がたくさん。
かつて自動車産業で栄えた米デトロイト市にある“DIA(デトロイト美術館)”。市が財政破綻し売却の危機を迎えてしまったその絵画コレクションを巡る市民の行動から産まれた奇跡。決して派手ではないけれど、じんわりと心温まる感動を味わいたい時におすすめ。
2:成功することを決めた−商社マンがスープで広げた共感ビジネス−/遠山正道
(新潮文庫)
ビジネス度 ★★★★★
この会社に転職したくなる度 ★★★★★
野菜たっぷりスープが作りたくなる度 ★★★★★
食べたことがある方もきっと多いであろう、ご存知“Soup Stock TOKYO”(スープストックトーキョー)を運営する(株)スマイルズ社長の遠山正道氏による、ブランド立ち上げから軌道に乗るまでの奮闘記。
こちらのお店、いつ訪れても魅力的なスープが豊富ですよね!どれもこれも実に美味しそうで、決めきれずにレジで立ち往生してしまうこともしばしばなのですが、その誕生秘話もとても魅力的。
気になって調べてみたら、ネクタイ専門店“giraffe”(ジラフ)、リサイクル循環型ショップ”PASStheBATON“(パスザバトン/表参道ヒルズの地下にある店です)…等々、その存在感や世界観が気になる!と個人的に思っていたブランドの親会社ではないですか!一時期なかば真剣に“この会社で働きたいかも…”と転職を検討してしまったほど、その企業姿勢や秀逸なブランドコンセプトの設定力は一読の価値ありです。
3:エレンディラ/G.ガルシア=マルケス
(ちくま文庫)
不可思議度 ★★★★★
圧倒的な異世界体験度 ★★★★★
読後感の強烈度 ★★★★★
上記のおすすめ度内容からして想像出来る方も多いであろう、もうぶっちぎりで他の追随を許さない圧倒的世界観。ラテンアメリカ文学の巨匠、ガルシア=マルケス著です。
惜しくも数年前にこの世を去った、日本が世界に誇る演出家である故蜷川幸氏演出の同名の舞台を見たことがこの1冊に出会ったきっかけでしたが、まあその舞台も今まで触れたことのない世界観!舞台鑑賞が趣味で今まで100本以上の舞台を観てきましたが、いまだにこの舞台を超えるものはない!と豪語出来るほど、最も印象に残っている舞台です。太陽の乾いた光、砂が吹き纏う大地。舞台で忠実に再現されたその本の世界観は、日常の生活を一気に忘れさせてくれる強烈なもの。ちなみにこの話の正式名は“無垢なエレンディラと非情な祖母の信じがたい悲惨の物語”なのですが、「!?」と気になったそこの貴方、ぜひトライしてみて頂きたい一冊。
長くて重い大作は、いくら面白かったとしてもチャレンジするのに躊躇してしまうもの。薄くて小さくても珠玉の魅力を放つ1冊で、気軽に知らない世界に触れてみるのはいかがでしょうか?
Domanist
杉本 緑
アパレル勤務・1児(女児)の母。洋服への愛が高じてアパレル業界へ飛び込み、某アパレル会社で企画、生産に携わる。舞台や落語などの芸術鑑賞で自らの感性を刺激。娘との日常を描いたユニークなイラストもSNSで発信中。
IG:https://www.instagram.com/green_sgmt/