繊細には二つの意味がある
繊細という言葉には、外見的なことを指す場合と、内面的なことに使う場合と、2つの意味があります。それぞれのどのような意味で使われるのでしょうか?
外見的なことを表す場合
繊細が持つ意味の一つ目は、「細く美しい様」です。外見に当てはめると「ほっそりしている」や「華奢な人」など、モデルのような細さと美しさを持つ体型の人に使われます。細過ぎて頼りない人に対して「弱々しい」という意味で、嫌味の一種として使われることもあるそうです。まつ毛が長い・指先が細長い・唇が薄いなど、表情のパーツの美しさを賛美する意味で使われることもあります。
内面的なことを表す場合
「繊細」のもう1つの意味は「感情などが細やかな様」ということで、人の内面を指して使われるようです。内面的なことに対して「繊細」と言われるとき、具体的にはどのような意味で使われているのでしょうか?心理カウンセラーの吉野麻衣子さんに教えていただきました。
「人の内面を指して使うときは、『心が傷つきやすく神経質』、『デリケート』、『打たれ弱い』など、いわゆる『豆腐メンタル』といった褒め言葉でない意味で使われることがほとんどです」(吉野さん)
外見や物事について使うときは、その細やかさを褒める意味で使われることが多いですが、内面を指していうときは必ずしも褒め言葉ではないよう。「あの人は繊細だから」などと言うときは、その人の心の傷つきやすさなどについて言及していることが多いのではないでしょうか。
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繊細な人に共通する特徴とは?
「あの人は繊細だよね」と称される人には、どのような特徴があるのでしょうか?
感受性が豊か
「繊細な人」というと、感受性や観察力が高いというイメージがある人も多いのでは。
「細かい部分に気がつき、喜びも悲しみも人より強く感じます。その分何事に対しても感じ方が強く、『傷つきたくない』、『失敗したくない』という心理が働いて踏み出すことを躊躇してしまうことも」(吉野さん)
繊細な人は様々なことを敏感に感じ取ることができると言えます。その一方で、その感受性の高さによって臆病になってしまう場面もあるよう。
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心配性になりがち
繊細な人は一歩踏み出すことに躊躇してしまう場合が多いということでしたが、それは繊細がゆえに「心配性」になってしまうことも関係しているようです。
「行動を起こす前から『失敗したらどうしよう』と様々なケースを想定しすぎて、行動にうつすことができないことがあります。石橋を叩きすぎて壊してしまうことが多く、リスクを考えるあまりにネガティブになり、物事を進めることを恐れてしまいます」(吉野さん)
何かをはじめる前ににうまくいかなかったときの想像をすることは誰しもあるとは思いますが、繊細な人はよりネガティブなシチュエーションを思い浮かべてしまうことが多いと言えます。
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完璧主義
吉野さんによると、繊細な人は様々なことによく気がつくので「完璧主義」になることも多いそう。さらに気がつきやすいがために、その完璧を求める気持ちが自分だけでなく周囲の人にも及んでしまうことがあると言います。
「自分についても人についても細かい部分に気がつくため、ちょっとした細かいことでも気になってしまいます。結果、完璧を求めるようになり、自分にも他人にも厳しくなってしまうことが」(吉野さん)
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人の言動に敏感
物事によく気がつく繊細な人は、それが元となって落ち込んでしまう場面も多いと吉野さんは言います。
「細かい部分に気がついてしまうため、誰かの言葉や行動にもよく気がつき、場合によってはそれを深刻に捉えて悩んでしまいます。そのまま1人で傷ついて落ち込んでいることも多いです」(吉野さん)
ほかの人の自分への言葉を「どういうことだろう?」と深く考えすぎてしまったり、裏にある意味を読み取ろうとしてしまったり…。その結果、悪い方向に考えて気持ちが沈んでしまうことがあるのですね。
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繊細な人の長所と短所
人には長所があれば短所もあるもの。繊細な人が持つ長所と短所は、どのようなものが考えられるでしょうか?
人の気持ちに敏感で優しい
繊細な人は様々なことを敏感に感じ取ることができますが、それは人の気持ちについても同じ。
「細かい部分に気づくため、相手の心の動きについてもとても敏感です。繊細な方は、周囲の人たちのちょっとした心の変化も即座に見抜き、相手の立場になって細やかなフォローやケアができます。言いかえれば、とても親切で優しい人とも言えます」(吉野さん)
ほかの人では見逃しそうな変化にも目が届き、その人の気持ちになって助けてあげられるというのは、繊細な人の素敵なところ。周りの人は救われる場面も多いのではないでしょうか。
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