臆病とはちょっとしたことを恐れること
臆病(おくびょう)とは基本的に気が小さく、ちょっとしたことでも恐れる様子です。
そのような特徴がある人のことを「臆病者」と表現することもあり、ネガティブな印象で使われることが多く、人に対し「臆病」と言うときは批判のニュアンスを含んでいます。
「臆病」と言われた人は、非難されたような気分になるでしょう。しかし、臆病な性質自体が完全にネガティブというわけではありません。ここでは、臆病の意味について見ていきましょう。
■主にネガティブな意味で使う
臆病は、一般的にはなんでもないことを恐れることです。主にネガティブな意味合いで使われます。臆病な人は失敗を恐れ、一歩を踏み出すことができません。
類語としてあげられるのは「弱虫」「小心者」などで、その人を非難する調子が込められています。臆病と言われ、いい気分になる人はいないでしょう。そのような自分を否定したくなるかもしれません。
■メリットといえる部分もある
臆病と聞くとネガティブなイメージですが、臆病な性質には、メリットといえる部分も含まれています。臆病と言われる特徴は、別の言葉では「人に気を遣える」「慎重に考える」と言い換えることが可能です。
視点を変えることで、臆病はメリットにも捉えることができるでしょう。良い側面に注目し、長所として伸ばしていくことも大切です。
■山月記「臆病な自尊心」の意味
教科書にも載っている小説「山月記」には「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」という有名なセリフがあります。気が小さいことを表す「臆病」と自信がある様子を意味する「自尊心」は、一見すると合わない組み合わせです。
しかし、「臆病な自尊心」は、「失敗して恥をかきたくない」という自尊心が人を臆病にするということを表しています。この言葉からは、自尊心が高い人ほど臆病になりやすいということがわかるでしょう。
商品名:「山月記・李陵 他九篇」 (岩波文庫)
臆病の類語表現
臆病にはさまざまな類語表現があります。臆病という言葉にはいくつかの特性が含まれており、それぞれの特性について類語表現があるのが特徴です。その特性は、大きく分けて「失敗を恐れて行動に出る勇気がない」「気が小さくて些細なことをすぐ恐れる」というイメージに分けられます。
前者はいろいろ考えたすぎて臆病になるタイプで、後者は反射的に物事を怖がるタイプともいえるでしょう。これら2つのタイプの類語表現をご紹介します。
■勇気がない特性を表す類語
失敗を恐れて行動に出る勇気がない特性には、次のような類語表現があります。
・小心
・細心
・意気地なし
・ノミの心臓
・優柔不断
・不甲斐ない
・怯弱(きょうじゃく)
・怯懦(きょうだ)
・小心翼々(しょうしんよくよく)
何か行動を起こす際に「失敗しそう」「自分にはできそうにない」などと考え過ぎてしまい、一歩を踏み出せなくなる状態です。
■気が小さい特性を表す類語
気が小さくてちょっとしたことをすぐに恐れる特性には、次のような類語表現があげられます。
・軟弱
・弱虫
・気弱
・内気
経験のないことや少しでも自分に危険があると感じる状況に遭遇した場合、反射的に「怖い」と感じて恐れるような特性です。自分に自信がなく、人目を気にしたり対人関係を恐れたりする様子もこちらに分類されるでしょう。
臆病な人の特徴4つ
一口に臆病と言っても、その特徴はさまざまです。まず、物事をネガティブに捉えて行動する前から失敗を想像するという性質があげられます。
また、人の目を気にしたり失敗を恐れたりして行動できないといった人も臆病と言われるでしょう。臆病と言われる人の多くには、感受性が鋭いという特徴も見られます。臆病な人にありがちな4つの特徴を紹介しましょう。
物事をマイナスに捉える
臆病な人は、何事も否定的に捉える傾向があります。同じ状況でも好奇心を持ちチャレンジする人がいるのに対し、臆病な人は「きっと失敗する」など悪い結果を想像し、なかなか行動に出ることができません。
例えば、何かの試験を受けるときでも競争率が高い場合は最初から諦めてしまい、努力する気がなくなるという例があげられます。可能性の低いギャンブルには手を出さないというメリットな面もありますが、可能性があることを最初から諦めるのはもったいないことといえるでしょう。
成功や失敗の可能性は誰にでもありますが、臆病な人は悪い方向ばかり見てしまいます。その結果、何事にも尻込みをしていまいがちです。
人の目が気になる
臆病な人は人の目を気にしてしまい、本当はやりたいことでも行動に移せない側面があります。「これをするとおかしいと思われる」「こんなことを言うと人から嫌われる」と考え過ぎ、行動に移せないのです。
そのような人は過去に、自分の行動や言動に対して注意を受けたり、笑われたりした経験があるかもしれません。人から嫌われることを恐れ、自ら行動に制限をかけてしまうのです。
失敗を恐れる
失敗を恐れるあまり、臆病になることもあります。ミスした経験があり、次も同じことを繰り返すのではないかと考え臆病になることもあるでしょう。失敗を学びと考えて次への挑戦に活かす人もいますが、臆病な人は悪いことだとしか考えられません。
また、「山月記」の項目でも触れたように、プライドが高い人は失敗を恐れがちです。仕事であれば、給与や人事評価に影響が及ぶかもしれないと思い、守りの姿勢になることもあるでしょう。 このような特徴は視点を変えて「慎重」と捉えることもできますが、それも度を超えると臆病と言われることにもなりかねません。