「レッドオーシャン」とは?意味を解説
レッドオーシャン(red ocean)とは、競合企業が多数存在する市場のことです。経済学の用語で、大洋が真っ赤に染まるほどの血で血を洗うような激しい価格競争が行われることから名づけられました。また、市場が真っ赤に過熱していることから名づけられたともいわれています。
激しい競争のなかで生き残るには、相応の対策が必要です。レッドオーシャン市場で生き残るための対策を「レッドオーシャン対策」と呼ぶこともあります。
【レッドオーシャン】red ocean
経営学の用語で、血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場のこと
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
■「レッドオーシャン」の例
既存市場で、なおかつ競合企業が多数存在する市場は多数あります。たとえば、冷蔵庫や洗濯機などの生活に欠かせない白物家電市場はレッドオーシャンといえます。
少し前までは日本の家電メーカーがシェアを争っていましたが、ハイセンスなデザインや低価格を特徴とした海外メーカーも参入するようになってきました。そのため、元々激しい市場内の競争が、さらに激化しています。
■ブルーオーシャンとの違い
経済学の用語では、ブルーオーシャン(blue ocean)は競争のない未開拓市場を指します。新しい商品やサービスを開発し、市場に投入すれば、競合相手はなく価格競争や技術競争などに巻き込まれることもありません。
レッドオーシャンとは対極の存在ともいえますが、元々すべての市場はブルーオーシャンから始まっています。そのため、現時点では競争相手のないブルーオーシャンだとしても、近い将来レッドオーシャンになる可能性はあるため、安泰とはなりません。
なお、参入障壁が高く、競合相手が存在しない市場を「ブラックオーシャン」と呼ぶこともあります。参入できれば高い利益を見込めますが、そもそもブラックオーシャン自体が少なく、参入が難しい点に注意が必要です。また、参入しても顧客層が限定的で、期待するほどの利益を得られない可能性もあります。
レッドオーシャンに新規参入するメリット
市場競争の激しいレッドオーシャンですが、あえて参入することにはメリットもあります。主なメリットとしては、次の点が挙げられます。それぞれのメリットについて見ていきましょう。
1.ニーズの高さが証明されている
多くの企業が参入しているという事実は、ニーズの高い市場である証拠といえます。新しく参入しても、ある程度は利益を見込めるでしょう。
また、ブルーオーシャンからレッドオーシャンになるまでには、ある程度時間がかかります。そのため、一時的な流行ではなく、コンスタントにニーズのある市場であることも明らかです。高いレベルで安定したニーズを求めるなら、レッドオーシャン市場にチャレンジしてみましょう。
2.開発・マーケティングコストを抑えられる
レッドオーシャン市場では、多くの企業がしのぎを削って技術開発をしてきました。もちろん特許などの知的財産権を侵害するのは違法ですが、特許出願から20年を過ぎているなどの理由で一般に公開されている技術も多く、自社製品・サービスの開発コストを軽減できます。
また、製品・サービスが周知されていることに加え、どのような顧客層にニーズのある製品・サービスなのかが明白なことにより、マーケティングコストも大幅に削減できます。コストを抑えられる分、一から開発するよりも安価に製造でき、利益率を高めることも可能です。
レッドオーシャンを生き抜くためのヒント
新しい市場を切り拓くよりも、競合は多いもののニーズが高く、開発・マーケティングのコストを抑えられるレッドオーシャン市場に飛び込むことには、メリットが多いと考えられます。レッドオーシャンを生き抜くためには、次のポイントがヒントになるかもしれません。各ポイントを解説します。
■ライバル企業を分析する
まずは市場内で成功しているライバル企業を分析してください。どのような商品・サービスを提供し、どのような差別化を実施しているのか調査します。
ライバル企業の戦略や勝因を分析した後、顧客を対象に次の項目を調査し、自社の商品・サービスの立ち位置を客観的に分析しましょう。
・価格の妥当性
・顧客満足度
・ブランドイメージ
・顧客ニーズ
■ブルーオーシャンを見つける
レッドオーシャンで商品・サービスを購入する顧客のなかには、ニーズが完全に満たされないまま利用している方もいると考えられます。顧客の声に耳を傾け、ニーズを的確に汲み取れば、レッドオーシャンのなかからブルーオーシャンを見つけられることもあります。
既存のアイデアに新しい要素をプラスすることで、顧客のニーズを開発できるケースも少なくありません。また、すでに成功している既存のアイデア同士をかけ合わせることでも、ニーズの開発とブルーオーシャンの開拓を実現できるかもしれません。
■ブランド化を推進する
自社の名前や商品をブランド化するのも、生き残り戦略のひとつです。ブランド化とは、会社や商品そのものの価値を高めることを意味します。
ブランド化を実現すれば、市場規模が縮小しても、一定の顧客を確保することが可能です。しかし、ブランド化の実現には時間がかかるため、長期的な戦略を立てて取り組んでいきましょう。
市場に応じた戦略を立てよう
レッドオーシャンに新規参入することには、メリットもありますが、競合企業も多いため、生存競争は激しくなります。一方、ブルーオーシャンやブラックオーシャンは競合企業は少ないものの、市場ニーズそのものが不明なため、失敗する可能性は高くなります。
市場に応じた戦略を立て、企業としての生き残りをかけて取り組んでいきましょう。また、企業内でアイデアを募るだけでなく、丁寧に顧客のニーズや妥当な価格などを調査することも必要です。
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