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2023.08.25

「マッチポンプ」とは?意外と知らない意味から言い換え表現、ビジネスでの使い方まで

トラブルなどをわざと起こしてから自分で解決し、利益や周囲からの評価を得ることを「マッチポンプ」といいます。今回は、マッチポンプの詳しい意味や由来、似た言葉との違い、使い方をご紹介します。ビジネスシーンなどでの具体例も解説しているため、ぜひ参考にしてください。

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「マッチポンプ」とは?基礎知識を解説

「マッチポンプ」は、英語の「match(マッチ)」とオランダ語の「pump(ポンプ)」を組み合わせてできた和製外来語です。ビジネスシーンでも使われる言葉で、実際におこなった場合には一時的な利益を得やすいものの、信頼をなくしてしまうリスクがあります。

警告の画面が表示されたPC イラスト

はじめに、マッチポンプの詳しい意味や由来、自作自演との違い、使い方・例文、類語・言い換え表現をそれぞれ確認しましょう。

■意味は、“問題を起こして自ら解決し、利益や評価を得ること”

【マッチ‐ポンプ】
《(和)match+pomp(オランダ)》自分で問題やもめごとを起こしておいてから収拾を持ちかけ、何らかの報酬を受け取ろうとすることまた、その人。マッチで火を付けてポンプで消火するという二役を一人でこなす意。

(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

マッチポンプの意味は、意図的に問題を起こしたうえで自ら解決し、利益や周りからの評価を得ることです。自らマッチで火をつけてからポンプの水で消火する様子を表しています。基本的に、悪い意味で使われることが多い言葉です。

もしも、偶然起こった問題によって結果的に報酬や評価などを得ることになった場合には、マッチポンプとはいいません。

■「マッチポンプ」の由来・語源

マッチポンプという言葉が広まった由来は、1961年におこなわれた国会での国会議員の発言です。この発言では、公共料金をあげて物価を上昇させておきつつ、物価値上げを抑制する政策をおこなうという政府の方針の矛盾を、マッチとポンプにたとえました。とはいえ、実際に言い出した人や時代はわからないようです。

さらに、1966年には政界汚職事件が世間を騒がせました。この政界汚職事件は、政府関係者のさまざまな癒着問題を指摘し続けていた代議士が、裏では当事者へ騒ぎを大きくされたくなければお金を払えと恐喝していたという事件です。事件のことを「政界のマッチポンプ」と報道されていたことで、マッチポンプという表現が広まりました。

■「マッチポンプ」と「自作自演」の違い

同じような意味だととらえられやすい言葉に、「自作自演」があります。自作自演とは、「自ら計画を立てたうえで本人が実行すること」です。つまり、「自分で考えた脚本を自分で演じること」「自分のレシピで自ら料理すること」などに使います。

もともと自作自演とは、悪い行為に使うとは限らない言葉です。一方で、マッチポンプは他者へ迷惑をかけて利益を得ることを指します。それぞれの言葉は、悪意の有無が大きな違いなのです。

しかし、近年では自作自演という言葉の使い方が変わって、ネガティブな意味が含まれるようになってきました。たとえば、インターネット上で1人の人間が複数人になりすましている場合に、自作自演や自演といわれます。

■「マッチポンプ」の使い方・例文

マッチポンプの使い方を例文でチェックしましょう。

・先週、近所を回っていた屋根工事会社に「すぐに修理したほうが良い」といわれた。びっくりして工事をお願いしたが、もしかするとマッチポンプをしようとしているのかもしれないな。

・顧客にマッチポンプ商法だといわれないように、不安をあおるような営業はやめましょう。

 

マッチポンプは、悪いことをしていると表現する際に使う言葉です。マッチポンプのように見えても、本人に直接いうのは避けたほうが良いかもしれません。

■「マッチポンプ」の類語・言い換え表現

マッチポンプの類語・言い換え表現は、以下のとおりです。

「捏造(ねつぞう)」
ありもしないことを事実のように見せかけること。

「やらせ」
打ち合わせをもとに、メディア側に都合よく話を進めていくこと。テレビ番組や新聞などで使われることの多い表現。

 

捏造の「捏」は、作り上げるという意味で「捏(でっ)ちる」と表現する場合があります。「でっち上げる」は、これが派生したものです。

また、先述した自作自演もマッチポンプの類語・言い換え表現のひとつです。

ビジネスシーンにおける「マッチポンプ」とは?

ビジネスシーンにおけるマッチポンプとは、わざと問題提起をして相手の不安をあおり、問題の解決が可能な商品やサービスをおすすめする方法です。また、ありもしない事実を捏造して不当に利益を得る商法を、「マッチポンプ商法」といいます。

レンチを持った手

すべてのマッチポンプが悪質性の高いものだというわけではないです。しかし、一般的には相手をあざむくような行為のイメージが強く、否定的な感情を抱かれやすいでしょう。

■ビジネスシーンでの「マッチポンプ商法」の具体例

ビジネスシーンでおこなわれる可能性があるマッチポンプ商法の例は、以下のとおりです。

〈害虫駆除詐欺〉
虫が大量発生していると嘘をついたり、駆除業者が事前に虫を放ったりして害虫駆除契約を結ばせる行為。

〈ステルスマーケティング〉
影響力がある第三者に、さりげなく商品やサービスを広めてもらうマーケティング活動のこと。宣伝として堂々とおすすめしてもらうのではなく、宣伝だとはわからないように紹介してもらうのが特徴。消費者の声を偽って広めるケースもある。

■ビジネスシーンにおける“マッチポンプの危険性”

マッチポンプをおこなうと、企業の社会的信頼を失う恐れがあるため注意が必要です。世間にマッチポンプをおこなう企業だと認知されてしまうと、築いてきた企業ブランドのイメージが壊れてしまう可能性があります。

過度な行為だと判断された場合には、詐欺罪にあたる可能性もあるでしょう。ステルスマーケティングによって、景品表示法などの法令違反に問われる可能性もあります。

また、誤解によってマッチポンプだと拡散されてしまうケースもありえるため、企業は注意が必要です。

「マッチポンプ」という言葉を理解しよう

大勢の中に紛れた悪人 イラスト

マッチポンプは、ビジネスシーンでも使われる言葉です。実際におこなった場合には、一時的な利益を得やすいものの、信頼をなくしてしまう、企業ブランドのイメージが壊れてしまうなどのリスクがあります。

似た言葉である自作自演との違いは、使用するシーンが悪い行為に限って使うかどうかです。言葉の表す意味や由来、使い方などを理解し、正しく言葉を使えるようになりましょう。

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