繊細な人とはどんな人のことを指す?
「繊細」=<1>ほそく小さいこと。ほっそりとして優美なこと。また、そのさま。<2> 感情などがこまやかなこと。また、そのさま。デリケート。(小学館刊・大辞泉)
臨床心理士・吉田美智子さんに「繊細な人」についてお聞きしました。
「アメリカの心理学の研究者、エレイン・N・アーロン博士が、HSP(ハイリー・センシティヴ・パーソン、ひといちばい繊細な人)という気質について唱えています。アーロン博士は『5人に1人程度の割合で、人一倍敏感な人がいる』と言っておられ、HSPは日本でも知られるようになってきました」(吉田さん)。
「特徴は〝 小さな違いに気づきやすく、感じやすい〟〝 感情が豊かで共感力が高い〟〝 深く考える〟です。このような気質は生まれつきであり、私たち人間が生き延びるために必要な多様性であるといわれています」(吉田さん)。
「アーロン博士が紹介しているHSPのチェックリストがあります。しかし、アーロン博士はHSPを生まれつきの性質であるとしていますが、生まれつきでなくても過去にトラウマ体験がある人や強いストレスを受けて抑うつ的になっている人なども当てはまりやすいので、チェックリストに当てはまる=即HSPとは言えない場合もあります」
繊細な人はその人の気質であるということがわかりました。次に繊細な人との付き合いの中で困った経験をしたことがあるかを聞いてみました。
【質問】周りの繊細の人との接し方で困った経験はある?
※アンケートは30〜45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)。
困った経験がある人は約6割という結果に。では、繊細な人がどんな反応をして困ってしまったのかをみていきましょう。
繊細な人の反応で困ったこと
何気ないひと言を重く捉える
「どのような会話も深い意味まで考えながら会話されるので、こちらもどう捉えられるかよく考えながら話さなくてはならない」 (30代・神奈川県・子ども1人)
「少しでも気になることがあると知るまで聞き出し、自分にとって不利だったりするとすごく気にして落ち込む」 (40代・東京都・子ども1人)
傷つきやすい
「一般的に傷つくような言動でなくても、感じ方が敏感なのかすぐに傷つく」 (30代・栃木県・子ども2人)
「少しトラブルになってしまった翌日、急に仕事を休むことがあった。伝え方を間違えると傷ついてしまうようです」 (30代・東京都・子ども2人)
ネガティブに捉える
「ちょっとした言動を、いつもマイナスに捉えてしまう傾向がある。いちいち細かく説明をしなくてはならず大変」 (30代・神奈川県・子ども1人)
「自分に自信がないのか、話の捉え方が悪いほうへ行くことが多い」 (40代・山梨県・子ども1人)
被害妄想
「いつも物事を考えすぎてしまい、結果思い込みが激しくなり、被害妄想に発展していく」 (40代・東京都・子ども2人)
他人の感情や周囲の音に敏感
「大きな音や声に敏感であるため、話しかけるときには、極力声を落として、また、感情をコントロールすることを意識して話しかける必要がある。また、繊細であるがゆえに疲れやすいため、夕方になると反応が鈍くなったりする。他人の感情に敏感であるため、周囲で揉め事などがあると自分のことのように心配してしまうところがある」 (30代・宮城県・子ども1人)
臨床心理士が伝授!繊細な人と付き合う〝心構え〟
繊細な人とコミュニケーションをとるときにどんな心構えで接すると、上手なお付き合いができるのでしょうか、吉田さんにお聞きしました。
焦らない
「繊細なタイプの人は、小さなことが気になって大きく反応したり、深く考え込んでしまうため、お互いのペースを理解しあうのに少し時間がかかるかもしれません。特に最初のうちは焦らないで、ゆっくり知り合えればいいやと思ってくださるといいです。また、何か意見を聞いてもすぐに答えが返ってこないことがあるかもしれません。ゆっくり考えて答えたい場合があるので、『答えはあとでもいいよ』と言ってくださるといいかもしれません」(吉田さん)