夫婦共々スケジュールが読めない仕事です
私はモデル。夫は音楽関係。ふたりとも毎日決まった時間に決まったことをする、ということのない仕事です。
モデルは、10日くらい前に仕事の決定が出て、何時に集合して何時に解散、ということがわかるのは、前日であることも珍しくありません。ロケであれば朝5時にスタートしなければならないこともあるし、天候が悪くなって撮影が押せば時間通りには終わらない。撮影のお弁当やパーティに出席する様子がInstagramでアップされたりすると、大変そうには見えないかもしれませんし、基本は現場は楽しいですけれど、仕事ですから、もちろんすんなりいくことばかりではないんです。
一方夫の仕事は音楽関係。現場を覗いたわけではないから細かいところまではわかりませんが、クリエーターのみなさんが作品を作り上げ、それを売り出していく仕事ですから、スケジュール通りにことは運ばないよう。
その中で、子どもの習い事に付き合うのが、かなりしんどくなっていた時期がありました。
あわせて5つの習い事に頭も体もパンク寸前!
子どもを持つ前は、小学校までの習い事にこんなに親が参加しなければならないとは想像もしていませんでした。当時の私は長女のバレエ、新体操、バスケ、長男のサッカー、空手…乳幼児の次男のお世話もある中、上の子たちふたりの習い事に右往左往していましたね。ふたりとも小学生なので学校から帰った後にひとりで行ってはくれますが、帰りは暗くなるし、お迎えは必須です。試合だ発表会だと行事も多いし、ふたりのスケジュールで私の頭と体はパンパン。
急に決まる仕事も多い中、「●日に仕事が入ったんだけど、その日お迎えに行けるかな?」と夫に聞くことさえもストレスになってきました。夫はまったく習い事のことを把握していないから、「その日はサッカーだから、●●運動場のこの場所に●時に待機して」などなど、いちいち全てを説明しなければならなくて、ついイライラ。しかも、大丈夫と言っていた日の直前になって「やっぱり行けなくなった」なんていうこともよくあったんです。そうなると今度は、習い事の先生にお詫びの連絡をして、代わりに子どもを連れていってくれるママ友を探すことに…。
ママ友達に助けられてなんとかなってはいたけれど
「行けなくなった」とひとこと言って終わりの夫と違って、私はやることが倍以上に増えるのに! いとも簡単に予定を覆す夫に対して複雑な感情が湧き上がってくるようになりました。夫の仕事の状況は理解しているつもりだけれど、周りの方々にあまりにも申し訳なさすぎます。
とはいえ、習い事は続けさせたい。特に長男にとってサッカーはかけがえのない時間です。学校では出会えない友達とスポーツを通じて切磋琢磨することで彼が成長していることは、そばで見ていてよくわかっていました。
ただ活動は週に平日だけで3、4回。週末も公式戦の他に練習試合があります。コーチは、どのくらいの選手が参加できるかを把握する必要があるし、地域のクラブ活動は予算と安全上、保護者の協力がとても大切。保護者は交代でマネージャー的なことをすることになっているんですが…これにまたなかなか参加できない。共有アプリでそれぞれがスケジュールを入れることになっているのに、そこに自分の名前を入れられない切なさといったら…。
さすがにもう無理かも…と、長男が小学1年生の後半位から少しずつ夫に息子のサッカー関連の一部を任せはじめました。そして、小学2年生の時に全て任せることに。ここに至るまでは、もちろん根気強く、何度も話し合うことが必要だったけれど、結果的に良かったと思っています。だってこの写真、楽しそう(笑)。
子育ての大変さも楽しさも共有したい
それまで習い事の曜日や時間をまったく把握していなかった夫ですが、それ以降は長女や長男の他の習い事も迎えにいってもらうことが増えました。夫のスケジュール帳には、きっちり子ども達のスケジュールが入っています。
さらに、子ども達の送迎をサポートしてくれるママ友の連絡先も夫と共有しています。自分の都合で迎えに行けなくなった時には、自分で代わりをお願いする。実際にやってみることで、彼も私のモヤモヤを本当の意味で理解してくれたと思います。
思えば、習い事のスケジュール調整や振り替えの連絡、送迎のやりくりを「私がやったほうが早い」「母親がやるべきことなんだ」と思い込んでいたのは私の方だったのかもしれません。
夫は子ども達との共通の話題が増えてとってもうれしそう。子育ての大変さはもちろん、楽しさもシェアすること、大切ですよね。
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。