5人家族、ずっと家の中で過ごしています
リモートワークの毎日。夫は1日のほとんどを家の中で過ごすようになりました。朝起きたらごく自然に彼が家族のために朝ごはんをつくり、洗濯をはじめます。「紗弥、スイッチ押してくれたの?あっ、ありがとう」「天気がいいから今日は外に洗濯物干そうかな?」なんて言いながら、機嫌よく洗濯が終わった衣類を持って階段を登っていく光景も。昔は本当に何にもしなかったのになぁ。今や「家事の段取りがわかってきたら俺でもできるよ、結構楽しいじゃん」なんて言ってるから、つい笑ってしまいます。
家に家族がずっと揃っていると、女性の負担が増えて家事をしない夫への不満が溜まり、離婚が増えている…なんていう話も聞こえてきますね。どこまで本当かわかりませんが。子どもたちはリモート授業や家庭内保育で朝昼晩と3食の用意が必要。共働きならリモートワークなどで自分の仕事もあるのに、いつもより増える掃除と洗濯にお母さんだけが奮闘しているとしたら、やっぱり腹が立ってくるのは当然かなと思います。しかも、外にいれば気にならない夫の仕事の仕方もお酒の飲み方も、リモートで家にいるから聞こえてくる。仕事と言われると口出しできないですが、家族が同じ空間にいるのになぁとモヤモヤ…。
無意識に植え付けられた男女の役割
数年前から夫も家事・育児に参加するようになった我が家でも、STAY HOME中「仕事なんだから」という言葉で夫が押し切ろうとすると、仕事だから何だ!と私がモヤモヤ。「仕事なんだから」という雑な言葉ひとつでは何も理解できません。「男女の役割はこういうものだ」という発想から解き放たれずにいたら、我が家だって雰囲気が悪くなるのは、時間の問題です。
私を含め当人たちも無意識に植え付けられた概念ですから、悪気はないんですよね。でも今それで自分たちが苦労している分、将来子ども達が同じことで悩まないように、3人の子ども達に平等にお手伝いをさせています。成長度合いや本人の興味に合わせることは大切ですが、「女の子だからこれをやって」「男の子だからこれをやって」と性別の違いをことさらに強調することのないように気をつけています。
▲パパからお小遣いをもらえるから、と大喜びで洗濯物を畳む子どもたち。
お手伝いの後には「ありがとう」を添えて
洗濯物の山があるのに子ども達が遊んでいたら「自分のものは自分で畳んでよ〜」と私。子ども達は負けずに「ママの仕事じゃん」なんて言うので、「ママだけの仕事かな?」と言い返しちゃう。このSTAY HOMEの間は、家事手伝いをおこづかい制にしているので、子ども達にとっては家事も仕事。洗濯物を畳んでそれぞれのクローゼットにしまう、食洗機の食器を棚に戻す、お風呂掃除をする。水やりをするなどお小遣いチャンスが色々あるので、案外喜んでやっています。夫は子ども達にボーナスを支給しているようで、そう言うときは子ども達3人で大張り切り。家事は「やってもらって当たり前のことではないんだ」ということを感じてほしいから、お小遣いを渡す時は必ず「ありがとう、大変だったね、うれしいよ」と気持ちを言葉とセットにしています。
夫が守ってくれている「父のひと言」
お母さんが洗濯をすることは当たり前じゃないよ。お母さんが君たちの習い事のお迎えに行くのは当たり前じゃないよ。お父さんだってするんだよ。逆にお父さんだけが仕事をして家族を支えなくちゃいけない訳じゃないんだよ。お互い感謝の気持ちを持っているんだよ。と口で言うだけでなく、実際にそれを子ども達に見せることも、とても大事なジェンダー教育だと思うんです。
結婚するとき、私の父が夫に
「『ごはんお代わり」と言っても誰もよそってきてくれないから、自分で行くんだぞ、うちは。俺はママと結婚して変わったんだ。だからにゃんちゃん(夫)もそう思っておいたほうが良いぞ」
と言ってくれたそうです。
父はきっと私を思って、何気なく言ったんだと思うけれど、これってすごく大切なこと。
夫は父からの教えの通りごはん中に「お代わり」と私を促すことはありません。子ども達も冷蔵庫や炊飯器に背が届くようになってからは、飲み物も食べ物も自分で行くのが我が家のスタイル。
▲時には夫婦で夕飯づくり。
子ども達が大きくなって家庭を持った時に、夫婦が協力して家事育児に取り組んでいた両親の姿を思い返して欲しい。小さな時からジェンダーバイアスを取り払っておくことが、彼らの幸せに繋がると信じています。
モデル
牧野紗弥
愛知県出身。小学館『Domani』を始め、数々のファッション誌で人気モデルとして抜群のセンスを発揮しながら、多方面で活躍中。キャンプやスキー、シュノーケリングなど、季節に合わせたイベントを企画し、3人の子供とアクティブに楽しむ一面も。今年は登山に挑戦する予定。自身の育児の経験や周囲の女性との交流の中で、どうしても女性の負担が大きくなってしまう状況について考えを深めつつ、家庭におけるジェンダー意識の改革のため、身を持って夫婦の在り方を模索中。