【目次】
そもそも自己肯定感とは?
最近よく耳にする「自己肯定感」という言葉ですが、意味をご存知ですか?「自己肯定感」に関する詳しいお話を臨床心理士・吉田美智子さんにうかがいました。
「自己肯定感とは、『ありのままの自分でOK』と感じられる感覚(自己を肯定できる感覚)のことです。この感覚のもとになるのは『基本的信頼感』というもので、これは乳幼児のときに親(養育者)が赤ちゃんの泣き声に反応していつでも温かくお世話をしてくれる体験を通じて〝自分はたとえ無力でも大切な存在〟 、〝社会は信頼できる場所だ〟 と信じられるようになる感覚です」(吉田さん)。
自分のことを卑下するのではなく、「自分自身を価値のある存在として認められる感情」のこと。そこで今回、Domani読者の皆さんにご自身の自己肯定感についてどう感じているかを調査してみました。
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【質問】あなたは自己肯定感が高いと感じていますか?
「はい」…20.2%
「いいえ」…79.8%
※アンケートは30~45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)。
自分自身で自己肯定感が高いと感じている人は全体の約2割ほど。反対に約8割の人が自己肯定感が高くないと感じているのですが、どんなところにそう感じるのでしょうか。
自己肯定感が高くないと感じる要因は?
「自分のことを高く評価できない」
「自分のことをあまり評価できない。周りにはもっと優れている人がいるし、頑張っている人もいる。私なんか全然できていないと過小評価をする癖が抜けない」 (40代・神奈川県・子ども2人)
「やらなきゃいけないことから逃げたり、能力の低さを努力で補おうとはしていないから自分を高く評価できません」 (40代・福島県・子ども1人)
「失敗を引きずる」
「自分の失敗をくよくよと引きずってしまう。あの時ああすれば、この時こうしとけば、ともう終わったことをいつまでも思い返しちゃう」 (40代・茨城県・子ども2人)
「指摘されたりすると凹む。2〜3日では回復できず、ひどい時は何ヶ月もそのことが頭から離れない」 (40代・愛知県・子ども1人)
「ネガティブな性格」
「なんでも悪い方向へ考えてしまうネガティブ思考。たとえうまくいっても、ほかにもっといいやり方があったんではないかと不安になる」 (30代・新潟県・子ども2人)
「他人からどう思われているか気になりすぎて、仕事も人間関係も全てネガティブな考えをしてしまう」 (30代・岡山県・子ども1人)
「周りと比べてしまう」
「何をするにしても周りと比べて怖じ気づいてしまうから。他人が羨ましく思う時もある」 (30代・神奈川県・子ども2人)
「子育てにおいて、ほかのお母さん達より劣っていると感じたり、仕事においても自信がなくて、必要以上に頑張ってしまうところがある」 (40代・宮崎県・子ども2人)
「自分に自信がない」
「自信がない。『あなたには何も特技がないわね』と、親にそう言われ続けてきた」 (40代・大阪府・子ども1人)
「自信を持てるような取り柄や特技、容姿がない。自分にはプラス要素が何もないと思う」 (40代・愛知県・子ども2人)
そのほかにも「現状に満足していない」「親との関係」「周りに振り回される」「意思が弱い」「特技がない何をしてもだめ」「恐怖症」「仕事にコンプレックス」「落ち込みやすい」「褒められたい」「心配性」「自分の話をしたくない」「いいところがない」「妥協してしまう」などという回答がありました。
ではどうしたら自己肯定感を高めていけるのでしょうか。
臨床心理士が教える〝自己肯定感の高めるための3つのポイント〟
「自己肯定感は〝 成功している人だけが持てる〟と誤解していませんか? 自己肯定感は、ダメな自分でも、失敗してばかりだとしても、〝まぁいいか〟と思える自己否定をしない感覚です」(吉田さん)。
Step1→人と比べるのをやめる
「周りと比べるといつも劣等感に苛まれることになります。劣等感を糧に成長する方もおられると思いますが、上には上がいるため、劣等感が癒されることはありません。人はそれぞれが自分にできることをすればいいですし、条件や事情の違う人と比較して一喜一憂する必要もありません」
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Step2→ネガティブな気持ちを否定しない
「人間誰しもネガティブな気持ちになることもあります。ネガティブな自分は〝 ダメ〟と思わないでくださいね。〝いまネガティブになっている〟と思ったら、ゆっくり時間をとり自分に優しくしてあげましょう。それで〝ま、いいか〟 と思えたら、自己肯定感がある証拠です」(吉田さん)。
Step3→自分を労う
「1日の終わりには、その日頑張った自分を労いましょう。思い通りにいかなかったり、気遣いばかりで疲れたのに誰もあなたに『ありがとう!お疲れさま!』と言ってくれないかもしれません。でも、自分は今日できる限りのことをしたことを知っているはず。自分に『よくやったよね、お疲れさまでした!』が言えるようになったら自己肯定感を育めています」(吉田さん)。
では読者の皆さんが実際に「自己肯定感を高める」ために心がけていることも見てみましょう。
働く女性が実践している自己肯定感を高める方法
<1>自分に自信をもてるようポジティブな思考・行動をする
自分に自信がもてるよう、「今まで達成できたことを思い浮かべる」「特技を探す」「成功体験できるよう努力」「家族に必要な存在と言い聞かす」「自分に素直になりありのままの自分を受け入れる」などが挙げられました。今の自分にできていること、過去の自分が成し遂げたことを思い返して自信につなげるのはいい方法ですよね。
<2>気持ちを切り替える
自己肯定感が低い人は、ネガティブな感情に陥りやすいことが多い可能性が。少しでも気持ちを切り替えるために「ウジウジ考えない」「寝て忘れる」「これから先の楽しいことを考える」などということを行っているという声がありました。
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<3>好きなことをする
自分を責めたり、ネガティブな方向へ引っ張られないように、「趣味に没頭する」「好きなものを好きなだけ食べる」「食べて寝る」など自分が心地いいと思える行動を意識的にしているという人も。
<4>自分に言い聞かせる
自己肯定感を高めるのは自分自身。そのため「心の中で〝 大丈夫、大丈夫〟と自分に言い聞かせる」「 〝自分が大好き〟と心の中で唱える」「 〝絶対幸せになる〟と奮い立たせる」などと自分自身に言い聞かせているという人もいました。
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<5>周りに協力してもらう
自分だけで頑張っていると頑張りの糸が切れたときの反動が心配になってしまうことも。そんな時のために「友達や親に頑張ったことの報告をして褒めてもらう」「夫に今日一日の話をして頑張れたことを労ってもらう」など、周囲の協力を得て自己肯定感を高めている人も。
自己肯定感を高めるために自分自身に優しくなってみる
自己肯定感が低いと感じている人は、自信が持てるように、ポジティブになれるようにと意識や行動を変化させるために努力していることがわかりました。もし自己肯定感が下がっていると感じたときはそれをただ悲観するのではなく「下がっている理由」を探り、改善する方法を考えてみることが自分自身と向き合える大切な時間になることも。
また、自分自身に対してハードルを上げすぎるのではなく、どんなことでも「できたこと」を自分で褒めてみたり、毎日を楽しく過ごすための〝自分だけのとっておき〟を見つけたり、日々の小さな幸せに気づくことでおのずと自己肯定感を高めていけたらいいのかもしれません。
取材・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
HP
Twitter: @hakoniwasalon