名門私立小2校の役員制度、その内容は?
私立G小学校ママ
G小学校では、PTAではなく各クラスに役員さんがいます。この役員は年度の始まりに推薦や投票で決められます。
「1年生と6年生は先生からの推薦(ご指名)、2~5年生は各クラスで投票を行い決めます。主な仕事は、文化祭や運動会などのサポート。そして、年に一度行われる懇親会では、レストランの予約や会計、出欠の取りまとめも行います。また、卒業した5、6年後までは子どもたちの同窓会主催のサポートも行うと聞いています。
2~5年生までの学年で役員を担当する場合は通年行事のお手伝いのみですが、新1年生と卒業を控えた6年生は、通年行事のほかに謝恩会やアルバム制作などがあるため、『学校までの定期を買った』という役員さんもいらっしゃるほど。
公立小学校のPTAのように一人一係制ではありません。先生から直々にお願いされたり、皆さんから投票されて1~2人のみが役員を任されたりするG小学校では、役員=名誉な任務だという意識があり、多くの保護者は喜んで任務をこなします」
私立A小学校ママ
「A小学校は各クラスに2人(リーダーとサブ)の役員がいます。役員は、年度が変わる頃に、先生からお電話をいただき、お引き受けするという流れで決まりますが、ここで辞退する方はほぼいません。なぜなら、役員に任命いただけることは大変名誉なことという理解だからです。中には、役員になりたいけれどなれないという保護者の方もいるくらいです。
仕事の内容は、運動会や文化祭のほか、バザーや年に一度の懇親会の仕切りも任されます。A小学校の懇親会は、ママだけではなくパパも参加します。パパ同士も仲が良く、パパだけで食事会などを催す学年もあり、日ごろから保護者同士のコミュニケーションが円滑で、学校行事への協力体制があります」
私立小学校の先生は何を基準に「役員」を選ぶの?
私立G小学校ママ
「家柄や、兄弟がいて先生や学校との繋がりがそれなりにあったご家庭にお声がかかると聞いています。このお母さんなら一年間つつがなく学校のサポートをしてくれるだろうという信頼関係があってこその<ご指名>なのだと思います」
私立A小学校ママ
「役員は、子どもたちによりよい学校生活を送ってもらうために重要な役割です。役員はもちろん、各行事へ保護者の協力が得られるよう、各クラスの役員から保護者への伝達なども重要です。そういう意味ではコミュニケーション力がある方、また、それなりのコネクションをお持ちの方が任命されているようです」
私立小の保護者は学校の行事や活動に協力的
これらの私立小学校の場合、役員であるかどうかに関わらず、学校の行事や活動(公立小でいうPTA活動)に協力的な方が多いようです。保護者は役員を進んで引き受けてくれる方が多く、役員を押し付けあったり、くじ引きで決めるたりするようなことはありません。公立小学校に比べると主体的に子供が通う学校の行事に関与したいと考えている保護者が多いといえるでしょう。
今後のPTA活動、どこをどう変える?
まだまだ少数派ではあるものの、傾向としては、私立公立を問わずPTA活動のない学校も増えています。この背景には、共働き世帯が増えたためPTA活動による負担を軽減しようという学校側の配慮があります。また、PTAは保護者同士のトラブルの原因にもなりやすいので、そうしたトラブル回避の意図もあるのかもしれません。
公立小学校の多くが導入しているPTA活動ですが、保護者の役割と学校の関わり方という点においては、改善の余地がまだまだあるかもしれません。
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写真・イラスト/Shutterstock.com 取材・文/保坂宏美