「内向的」とは、大辞泉(小学館)で調べてみると〝 興味や関心が自分の内部にばかり向かうさま〟と書いてあります。〝 自分の殻に閉じこもる〟ような印象を受けますが、実際はどういう心理状態なのか、臨床心理士・吉田美智子さんに詳しくお話を聞きしました。
「スイスの精神科医・心理学者であるカール・グスタフ・ユング博士が、【人は内向的と外向的の2つのタイプに分けられる】と提唱しました。自分が何か意思決定をするときに、自分の内面との対話を重視するか(内向的)、他者との関係性を重視するか(外向的)という考えです。
一般的には、【内向的】=内気やマイペースな性質、芯が強い(頑固)。【外向的】=社交的で協調性が高い、柔軟性が高い(人の影響を受けやすい)といった分類になります。内向的だから、自分の殻に閉じこもっているというわけではなく、自分の力でしっかり考えたい、外部をシャットダウンして集中したいなど、結構しっかり者なのかもしれません」(吉田さん)。
それでは、そんな「内向的」な人はどのくらいいるのでしょうか。
【目次】
【アンケート】あなたの周りに内向的な人はいますか?
「はい」…41.7%
「いいえ」…58.3%
※アンケートは30~45歳の日本全国の有職既婚女性を対象にDomani編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数110名(未回答含む)。
周りに内向的な人がいると回答した人は全体の約4割りとなりました。どのような言動を見て「この人、内向的かも」と感じているのでしょうか。働く女性にアンケート調査を実施。その実態とは?
「社交的な人」の特徴とは?人見知りや内向的な人が社交的になるには?【心理カウンセラー監修】
内向的な人に見られる特徴とは?
回答の多かった代表的な特徴をピックアップ。内向的な人はもしかすると人との距離感が少し遠いのかもしれません。
・人見知り
・話さない
・コミュニケーションが苦手
・意見を言わない
内向的な人は他人に対して我関せずな部分があるためか、その態度が「人見知り」や「話さない」人だと思われてしまうケースが多い。普段から率先して会話に入ることもないせいか、「コミュニケーションが苦手」や「意見をあまり言わない人」という印象も持たれていることも。
・協調性がない
・自信がない
・周りに流される
・地味
・ネガティブ
みんなとの会話に入ってこないことから、「協調性がない」と思われたり、「自信がない」態度に見られているよう。また自分の意見をはっきり言わないことで「周りに流される」人と受け取られてしまうことも。内向的な人は、人から一歩下がった印象を受けるためか、「地味」や「ネガティブ」に見えると言う声も。
少数派の意見はコチラ!
「言いたいことを我慢している」「 声が小さい」「真面目」「暗い」「気付かないふりをする」「自分の世界に没頭する」「恥ずかしがり屋」「保守的」という意見があがりました。
「家でも職場でも本音を言えなくて悩んでます」【働く女性の質問箱】
臨床心理士が解決!「内向的な性格」から脱却する方法
「まず始めに心理学的には、【内向的な性質は大切な個性】とされるので、【内向的=変えなくちゃ】と思う必要はありません。しかし『今の自分を少し変えてみたいな』『もう少し人と関わりを持ちたいな』と思うなら、読者の皆さんの実践エピソードはとても参考になると思います。内向的な人は、沈黙の時間が長く、時として協調性がないように思われがちなので、まずは対人関係のハードルを低くしてみてはいかがでしょうか。挨拶や笑顔を心がけたり、対人関係では聞き上手ポジションでいくなど、人との関わり合いを増やしていくことは可能です。自分に無理のない作戦を考えられるといいですね」(吉田さん)。
【実践エピソード】内向的な性格を治す方法とは?
自分が「内向的」と感じている読者の皆さんが、直す方法として実践していることをお聞きしました。
エピソード1
タイミングを見て人と話す
「誰かれ構わずにペラペラと話し出すことは苦手なので、まずは自分の中で信用がある人と1対1で話せる状況時に、こちらから話しかけるようにしています。そこでコミュニケーションの間合いなど慣れてきたら、グループ内の別な人とも話せるように、一歩踏み出すことを心がけています」(40代・神奈川県・子ども2人)
エピソード2
暗いと思われないよう笑顔で明るく
「一度同僚に表情が暗いと指摘されたことがあり、気をつけるようにしています。仕事に夢中になっている時はできていませんが、話しかけられたりしたら、笑顔で返事するよう心がけています。最初は上手く笑えなくて、口角が上がるだけでした。でも笑顔を意識してから、話しかけられることも多くなり、暗いイメージはもうなくなったのではないかなと思っています」(30代・愛知県・子ども1人)
エピソード3
勇気を出して自分から話しかける
「会話の中に入ったり、こちらから話しかけることが苦手でした。自分が仕事で困っていても、なかなか自分からは質問したりもできませんでした。それを見ていた上司が、『仕事はみんなで助け合うものよ』と背中を押してくれました。それからは勇気を出して質問ができるようになり、最近ではコチラから世間話を振ることも」(40代・北海道・子ども1人)
皆さん前向きな気持ちで、内向的な性格を改善しようとしています。が、一方でこんな意見もありました。
「治す必要はない」 (40代・京都府・子ども1人)
「これもひとつの個性なので、別に直さなくてもいいと思う」 (40代・東京都・子ども2人)
自分を変えるということは、大きなエネルギーを使います。内向的な性格で困っていなかったり、不自由を感じないのであれば、そのままでいる方が本人的には納得ができるのかもしれません。
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「内向的」のままでいることも、脱出することもどちらもアリ!
物事には二面性があるように、「内向的」も「外交的」と比較され、人との接点が多い外交的はポジティブ、内向的はネガティブと捉えられやすいのかもしれません。しかし読者の皆さんや吉田さんのお話を聞くと、「内向的」な人は決してネガティブなことではないとわかりました。
自分を「内向的」と感じている人の中には、特に困っていないので変える必要はないと考えている人もいます。もし、誰かに「人見知りだね」「意見を言わないね」などと言われて気にしている人がいるのであれば、自分を変える前に「本当の自分はどうありたいのか」を考えてみてもいいかもしれません。
浅くて広い付き合いvs深くて狭い付き合い、世間話が好きVS掘り下げた話が好き、衝動的行動VS慎重な行動など天秤にかけていくと、自ずと自分が大切にしているものが見えてくるのではないでしょうか。
取材・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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Twitter: @hakoniwasalon