お立ち寄りください
「立ち寄る」は目的地へ行くついでにほかのところを訪ねること。ですから「お立ち寄りください」は、「ついでの折にでも来てくれたら嬉しいです」といった、控え目なニュアンスを含んだ言葉です。不確実性があるので、「会議にお立ち寄りください」などとは言えません。メールや会話のまとめのシーンで、より親しくなりたい気持ちを表すのにぴったりの表現です。
【例文】
「東京にお越しの際には、ぜひお立ち寄りください」
「お近くにお越しの際には、ぜひわが家へお立ち寄りください」
おいでください
「おいでください」の「おいで」は「行く、来る」の尊敬語。そこに丁寧な依頼を表す「ください」という言葉をつけています。「お越しください」とほぼ同じニュアンスの言い回しです。ビジネスでもプライベートでも使える便利表現ですので、言い換え候補として覚えておくといいでしょう。
【例文】
「試験当日は、〇時までに会場へおいでください」
「よろしければ家族の皆様でおいでください」
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お待ちしております
「お待ちしております」は、「待っている」という意味の謙譲語です。人だけでなく、商品やメールの返信などが来るのを待つ時にも使われる言葉です。「お待ちしております」は、相手に来ることを依頼する意味合いは弱く、「来ることを願っています」というニュアンスを含んだ表現。
謙譲語+丁寧語で成り立つため、目上の方や取引先などに使うことができる言い回しです。より丁寧に言いたい場合は、「お待ち申し上げております」としましょう。
【例文】
「皆様のご参加を心よりお待ちしております」
「ご来場を楽しみにお待ちしております」
ご足労
「ご足労」とは、「相手を敬って、その人がわざわざ出向くことをいう語」。よって、「ご足労」は敬語表現にあたり、目上の方や取引先に使うことができます。
ただし、「ご足労」は相手が出向いてくれる時や、出向いてもらった時に使う言葉です。来ることが決まっていない段階で「ご足労いただけますか」というように使うことはできないため、注意しましょう。
【例文】
「ご足労をおかけいたしますが、当日はどうぞよろしくお願いいたします。」
「ご足労いただき、ありがとうございます」
ご来社ください
「ご来社」は目上の相手がこちらの会社へ来てくれることを表す「来社」を丁寧に表現した言葉です。相手が出向いてくれる時や、出向いてもらった時に使うことができます。また、会社ではない場合は「ご来場」「ご来店」「ご来所」など入れ替えて使うことができます。
【例文】
「それでは、明日10時にご来社くださいませ」
「明日のご来社をお待ちしております」
ご来臨賜りますようお願い申し上げます
とびきりかしこまった表現をしたいときは「ご来臨(らいりん)賜(たまわ)りますようお願い申し上げます」を使ってみましょう。「来臨」は「相手が訪ねて来ることを敬っていう言葉」。公式な式典やビジネス文書などで目上の人に最上級の敬意を示しつつ、来訪を乞うシチュエーションのために覚えておきたい表現です。
【例文】
「ご多用中のことと存じますが、ぜひご来臨賜りますようご案内申し上げます」
「ご来臨の栄を賜りますよう、切にお願い申し上げます」
【実際のエピソード】「お越しください」に関する成功談・失敗談
「お越しください」の体験談には、どのようなものがあるのでしょうか?ビジネスシーンにおいて、「お越しください」に関して何かしらの気づきや学びを得た実際のエピソードを紹介していきます。
【episode1】役員会からの依頼で実感した丁寧さの必要性
Dさん(管理職、49)
私が担当する部署が全社的な改革案を出すことになった際、最終的な役員会へのプレゼン日が決まりました。役員秘書室からのメールには、「〇月〇日に本社役員会議室までお越しください」とありました。当時の私は、役員会から直接呼び出されることに緊張していましたが、この丁寧な表現に、格式高い場に招かれているという緊張感と同時に、相手からの敬意も感じました。これが「来てください」や「ご参集ください」だったら、ただの命令のように聞こえたかもしれません。この経験から、「お越しください」は、相手の立場を上げることで、スムーズに依頼を受け入れてもらう効果があることを学びました。
「お越しください」にまつわるNG表現
使う場面の多い「お越しください」というフレーズ。しかし「お越しください」にまつわる言い回しには間違ってしまいがちな表現もあります。誤った使い方で失礼にあたらないよう、NG表現とその理由も理解しておきたいものです。
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ご足労ください
「ご足労ください」――つい言ってしまいそうですが、これはNG表現。なぜなら「ご足労」は「本来自分が訪問しなくてはいけないところを、相手が来てくれた場合」に用いる言葉だからです。
「ご足労ください」や「ご足労お願い申し上げます」と依頼する文脈では、「ご足労」本来の意味と矛盾してしまうので誤用とされています。「ご足労」は主に「ご足労いただきましてありがとうございます」などと用いるのが正解です。
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お越しになられてください
「お越しになられてください」も間違った表現です。「お越し」は「来る」の敬語であり、「なられる」は「なる」の敬語。ひとつの語について2つ以上の敬語を使うのは「二重敬語」とされ、正しい敬語の用法ではありません。「お越しになる」ですでに敬語として成り立っているので、「お越しください」で十分丁寧な言い回しと言えます。
「お越しください」を英語で表現すると?
ビジネス、プライベート問わずよく使う表現だからこそ、英語でもさらっと言えるようになっておきたい「お越しください」。
英語で「~ください」は「please」を使います。「お越しください」は「Please come」、「お立ち寄りください」は「Please drop in」などが近い表現でしょう。
【例文】
Please come to our office at 9 am tomorrow.
(明日の午前9時に弊社までお越しください)
Please drop in and see me when you come over here.
(近くまでお越しの際は、ぜひお立ち寄りください)
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「お越しください」に関するよくある質問
ビジネスシーンで相手の来訪を促す際に使われる「お越しください」は、非常に便利な表現ですが、さらに丁寧にする表現や、類似表現との違いについて疑問を持つことが多いです。ここでは、その使い分けや適用範囲について解説します。
Q. 「お越しください」は目上の人に使っても大丈夫ですか?
「お越しください」は、「来る」の尊敬語を含む正しい敬語表現ですので、目上の方や取引先など、最大限の敬意を示すべき相手に対して問題なく使用できます。丁寧で格式ばった依頼として適切です。
Q. 「お越しくださいませ」との違いは?
「お越しくださいませ」は、「お越しください」に「ませ」を付けてさらに丁寧さや柔らかなニュアンスを加えた表現です。「ませ」は命令を和らげる効果があり、特に店舗やサービス業など、顧客に対してより親愛の情を込めて来訪を促す場面でよく使用されます。
Q. 「いらしてください」との違いは?
「いらしてください」も「来る」の尊敬語「いらっしゃる」の連用形に「ください」を付けた表現で、「お越しください」と同程度の丁寧さを持っています。どちらを使っても間違いではありませんが、「お越しください」の方がやや書き言葉的で硬い印象、「いらしてください」の方がやや話し言葉的で柔らかい印象があります。
Q. 「お越しください」より丁寧な表現は?
「お越しください」は既に十分丁寧ですが、さらに強い敬意を示す場合は、「ご足労をおかけしますが、ぜひ弊社までお運びください」や、依頼を承諾するという前提で「ぜひお目にかからせてください」といった表現に言い換えられます。
Q. 「お越しください」の韓国語は?
「お越しください」の韓国語の代表的な表現は、「来ていただく」という丁寧な依頼の意を含む「와 주십시오(ワ ジュシプシオ)」や、よりフォーマルな場面で使われる「방문해 주십시오(パンムンヘ ジュシプシオ)」などがあります。
「お越しください」をうまく使いこなそう
- 「お越しください」は、「来る」の尊敬語と依頼の尊敬語を組み合わせた、目上や社外にも使える正しい敬語であり、二重敬語ではない
- 丁寧な依頼表現として非常に有用だが、社内や親しい間柄では丁寧すぎるため相手や場面を選び、「来てください」などと使い分けるべきだ
- 「お越しくださいませ」「お越しくださいますようお願い申し上げます」など、文末を変えることで、丁寧さや依頼の強さを調整できる
様々な場面で頻出する表現だけに奥の深い「お越しください」という言葉。「いらしてください」や「おいでください」などの言い換えの表現、英語表現までも使いこなせれば、美しい言葉づかいの人だと思ってもらえそうです。日常の言葉から広がる豊かな表現を楽しみましょう。
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Domani編集部
Domaniは1997年に小学館から創刊された30代・40代キャリア女性に向けたファッション雑誌。タイトルはイタリア語で「明日」を意味し、同じくイタリア語で「今日」を表す姉妹誌『Oggi』とともに働く女性を応援するコンテンツを発信している。現在 Domaniはデジタルメディアに特化し、「働くママ」に向けた「明日」も楽しむライフスタイルをWEBサイトとSNSで展開。働く自分、家族と過ごす自分、その境目がないほどに忙しい毎日を送るワーキングマザーたちが、効率良くおしゃれも美容も仕事も楽しみ、子供との時間をハッピーに過ごすための多様な情報を、発信力のある個性豊かな人気ママモデルや読者モデル、ファッションのみならずライフスタイルやビジネス・デジタルスキルにも関心が高いエディターたちを通して発信中。https://domani.shogakukan.co.jp/