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「幸甚に存じます」の「幸甚」とは?
ここでは、「幸甚」という言葉から説明しましょう。
「この上ない幸せ」を意味する言葉
「幸甚」の「幸」は「しあわせ」「さいわい」を表し、「幸福」「多幸」「幸運」などのよい意味の言葉で使うことがほとんどです。「甚」は「甚(はなは)だ」という副詞で、「甚(はなは)だ恐縮です」というように使います。「甚(はなは)だ」の意味は、「普通の程度を超えているさま」「大変」「非常に」です。
つまり「幸甚」は、「この上ない幸せ」「幸せの極み」という気持ちを表します。類義語は「幸い」「光栄」「ありがたい」などになります。
「幸甚」を使った表現方法
「幸甚に存じます」が一般的な使い方ですが、「幸甚」を使ったほかの表現は次のとおりです。
・幸甚です
・幸甚でございます
・幸甚の至りです
「幸甚」を使うときに注意すべき点
「幸甚」を使うときには、いくつか注意すべき点があります。「嬉しい」や「感謝します」というポジティブな意味を持つ言葉ではあるものの、形式的に使う言葉のため、ちょっとしたお礼を伝える場面には向いていません。
たとえば「この書類に目を通してくださると幸甚です」というのは不適切でしょう。場合によっては無理なお願いをするときに使うこともあるため、多用するのはマナー違反です。
「嬉しい」という自分の感情を表す言葉ですが、自分の行動に対しては使いません。相手が、自分のためにしてくれる(してくれた)行動や配慮、心遣いに対して使う言葉です。そのため「〜してくれたら」「〜していただき」が「幸甚」の前につくのです。
「幸甚」を使うときは、何に対して「幸甚」なのかを明らかにして使う必要があります。
「幸甚に存じます」はどのような場面で使う?
それでは、「幸甚に存じます」の使い方をご紹介しましょう。「幸甚に存じます」の使い方は3パターンに分かれます。
相手の配慮に対する感謝を表すとき
相手がしてくれた配慮や心遣いに対して感謝を表すときに使います。この場合は「〜していただいて幸甚に存じます」が一般的な使い方です。次にいくつか例文を挙げましょう。
感謝を表すときの例文
・このような会合にお招きいただき、幸甚に存じます。
・温かいお心遣いを幸甚に存じます。
・先日は、お忙しいなか貴重なご意見をいただき幸甚に存じます。
自分から何か頼みごとをするとき
次に、自分が上司や目上の人に自分の要望や頼みごとをする場合に使います。この場合の例文を次に挙げましょう。
頼みごとをするときの例文
・お忙しいところ誠に申し訳ありませんが、至急、お返事をいただけますと幸甚に存じます
・来月の結婚式にご出席いただけますと幸甚に存じます
・当社は創業50年を迎えることができました。関係者の皆様には厚くお礼申し上げます。また、今後とも変わらぬご愛顧を賜れば幸甚に存じます
・来週、ささやかながら祝賀会を催す予定でございます。恐れ入りますが、ご来臨くだされば幸甚に存じます
相手に贈り物を渡すとき
「〜してくれたら幸甚に存じます」とするのが、相手に贈り物を渡すときの決まり文句です。「贈り物を気に入ってくれると嬉しいです」という気持ちを伝えるときに使います。
贈り物を渡すときの例文
・心ばかりのお礼としまして当地の名産品をお送りいたしました。お気に入りいただけましたら幸甚に存じます
・昨夜はお忙しいところご足労いただき、誠にありがとうございました。お菓子をお送りいたしましたので、お気に召されれば幸甚に存じます
・先日の講演会のお礼にギフト券をお送りいたしました。お納めいただければ幸甚に存じます