「お見えになる」を使う場合、「自分以外」「目上」というポイントを押さえておくといいでしょう。
Summary
- 「お見えになる」とは、「来る」という行為に対して使われる敬語表現
- お客様や目上の人に使える尊敬語だが、「お見えになられる」とすると二重敬語になるので注意
- 類語には「お越しになる」「いらっしゃる」「おいでになる」などがある
Contents
会社にお客様がいらっしゃるとき、どのような表現をしていますか? 「お見えになる」という敬語を正しく使えているか、気になる方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、「お見えになる」の意味や使い方を具体例を交えて解説します。
「お見えになる」の意味とは?
まずは「お見えになる」の意味と注意点を解説します。

「お見えになる」の意味
「お見えになる」は、「来る」ことを指す尊敬語です。ビジネスシーンで耳にすることが多いでしょう。尊敬語なので、相手を高く位置付ける場合に使います。

「お見えになる」は二重敬語?
結論から言うと、「お見えになる」は尊敬語が「お〜になる」のひとつだけなので、二重敬語にはあたりません。ただし、ここで注意しておきたいのが「お見えになる」とよく似た「お見えになられる」という言葉。
「お見えになられる」は、「お〜になる」の「なる」に尊敬語「られる」をつけた言葉で、尊敬語にさらに尊敬語をつけた表現になってしまっています。敬意を払おうと丁寧に言ったつもりでも、敬語を重ねると二重敬語となるため注意しましょう。

「お見えになる」は二重敬語にあたりませんが、「お見えになられる」は二重敬語なので誤用です。
「お見えになる」は方言?
「お見えになる」という言葉は、全国的に使われる「来る」の尊敬語であり、方言ではありません。
ただし、特に名古屋をはじめとする東海地方では、「来る」の尊敬語として「~みえる」という表現が非常に広く使われており、これが「お見えになる」という形にもつながっています。この「~みえる」という尊敬表現の多用は、「気づかない方言」 と言われるほどその地域の人にとっては自然な表現であるため、方言だと認識していない人も多いようです。
【Domani編集部の体験談】ビジネスシーンでの適切な使い方
実際のビジネスシーンで「お見えになる」を使用する場合、どのような点に注意すればよいのでしょうか。Domaniの編集者たちの「お見えになる」にまつわる成功・失敗談を踏まえつつ、使用法を見ていきましょう。
【episode1】落ち着いていて丁寧な印象を与える表現であると実感
Domani編集部 T氏(31)
私がまだ若手だった頃の話です。重要なクライアントがいらっしゃる日、先輩から「〇〇様がまもなくお見えになりますので、準備を整えてください」と指示がありました。その落ち着いた丁寧な言葉使いに、お客様への敬意とプロ意識を感じたのを覚えています。以来、大切な来客がある際は「お見えになる」を使うことを心がけるようになりました。
【episode2】「伺います」との使い分けには要注意
Domani編集部 T氏(38)
先日、部下が電話で「担当者が今からそちらにお見えになります」と話しているのが耳に入り、思わず「相手の場所に行くときは『伺います』が適切だよ」と指摘しました。敬意を払おうとする気持ちはわかるのですが、使い方を間違えると失礼にあたることを再認識させられましたね。
使い方を例文でチェック
いまさら聞けない「お見えになる」の具体的な使い方を、実際に例文でチェックしてみましょう。

「社長がお見えになりました」
「社長がお見えになりました」は、到着を周囲に知らせる際に用いる丁寧な表現です。この例のように役職名を加えることで、誰が到着したかを具体的に伝えられます。ちなみに、シンプルに「社長がお見えです」でもOK。その場に応じて使い分けるといいでしょう。
「今日は大切なお客様がお見えになる予定です」
お客様がいらっしゃる予定を社内全体に周知する際に使います。丁寧な言葉使いが、お客様への敬意を示すことにも繋がります。
「会長がお見えになるまでに準備を整えましょう」
役職の高い方の到着時間に合わせて、必要な準備を促す丁寧な表現です。相手への配慮が伝わります。
「新しい取引先の方がお見えになる予定ですので、資料の準備をお願いします」
新しい取引先の方が来社する予定があることを伝え、資料準備を依頼するシチュエーションを想定した例文です。丁寧で適切なビジネス表現といえるでしょう。
「お見えになった際には、ぜひご挨拶させていただきます」
「ぜひご挨拶させていただきます」というフレーズは、相手の来訪を歓迎し、その際に改めてきちんと挨拶をしたいという意向を伝える表現。非常に丁寧で、心づかいの感じられる言い回しです。
類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「お見えになる」の言い換え表現についても紹介します。慣れてきたら相手や場面によって使い分けられるといいですね。


