「○○ちゃんが遊びに入ってくる〜」とママに言いつけに来る女の子。「今日は◯◯くんと遊んだ」といつも違う友達の名前を出してくる男の子。親としてはみんなで仲良く遊んで欲しいと願っているのですが…。お友達関係でトラブルが始まる4〜5歳の園児たちについて、臨床心理士でもあり、スクールカウンセラーとしても活動している吉田美智子さんにお話を聞きしました。
カギになるのは〝二者関係〟と〝三者関係〟
「4〜5歳になってくると子どもの遊び方に男女差が出てきます。この差を知っておくとトラブル回避や子どもの手助けになるかもしれません。
まず始めに〝二者関係〟について。二者関係とは、乳幼児の頃の母子関係に代表される、【安心できる関係】【安定度の高い関係性】を指します。なので居心地が良く、没入できる、まとまりを感じられます。一方、〝三者関係〟 では個人の関心より【場の雰囲気】【まとまり】が重視されます。
女の子はごっこ遊びやお絵かき、折り紙などの遊びが好きですよね。特にごっこ遊びなどでは、自分の期待する反応をしてくれる子と一緒に遊びたいと思うはずです。この女の子の関係性は〝二者関係〟となります。
一方、男の子の方は、外遊び、ボールや遊具、戦いなど、人数が増えるほうが遊びが複雑化できて楽しい。共感性は不要な遊びが多いため男の子は〝三者関係〟が成立しやすいと思います。
なので、女の子が『○○ちゃんが遊びに入ってくる〜』と言いつけにくるのは、安心して遊べていた二者の世界を壊されるから。また男の子の『今日は◯◯くんと遊んだ』と毎日違うお友達の名前を出すのは、大勢のお友達と遊んだ証拠となるのではないでしょうか」(吉田さん)
〝二者関係〟ばかりを好む女の子にはどうすればいい?
「中でも、固定の子としか遊ばない女の子の場合、親としては少し心配になるかもしれません。まずは、グループ遊びに参加できる工夫をしてみましょう。例えば、氷鬼など複数で成立するゲームや、みんなで協力して何かひとつを作り上げる工作など、【遊びに夢中になって気づいたら大人数だった】となるような遊びがオススメです。園児の間は二者関係を好むけど、グループ遊びにも参加できるようであれば十分だと思います。
また、小学校高学年くらいになると、女の子はより親密性が高く固定的な少人数グループを作る傾向があり、情緒的な繋がりを重視すると言われています。一方男の子の場合、遊びや活動を中心とした流動性の高い、女の子よりは人数の多い集団を作る傾向があると言われています。このように、いずれは男女それぞれの友達関係に落ち着いてきます。4〜5歳はちょうど【自分の友達】を作り始めた時期です。いろいろと訴えてきますが、二者関係や三者関係に敏感にならず、ぜひ共感してあげてください」(吉田さん)
大人は〝二者関係〟と〝三者関係〟のそれぞれいいところを知っていると思います。子どもがどちらかに偏るようであれば、ぜひ反対の関係性の楽しさを伝えてみてはいかがでしょう。
構成・文/福島孝代
写真/(C)Shutterstock.com
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臨床心理士
吉田美智子
東京・青山のカウンセリングルーム「はこにわサロン東京」主宰。自分らく生きる、働く、子育てするを応援中。オンラインや電話でのご相談も受け付けております。
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