「善処」を使う2つの場面とは
「善処」を使う場面は、2つあります。返事として使うとき、または相手に何らかの依頼をするときです。ビジネスシーンでは、どちらの場面でも便利に使えます。
ここでは、それぞれの使い方について例文もあわせてご紹介しましょう。
依頼を受けたときの返事として使う
これまで述べたように「善処します」は、依頼や要望を受けたものの断定できない(したくない)ときの返事として使うことができます。曖昧な表現のため、はっきりと意思表示したいときにはふさわしくありません。
曖昧なままにしておきたいといった場合には便利ですが、可能であれば、きちんと「できる」「できない」を伝えるほうが相手に対して誠実といえるでしょう。
返事する場合の例文
返事として「善処します」を使うときの例文は、次のとおりです。
・その件につきましては、担当部署と話し合い善処します。
・お客様のご要望に対して、善処するように努めてまいります。
・誠心誠意善処しますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。
・〇〇様のご意見に関しまして前向きに善処いたしますので、しばらくお時間をいただけると幸いです。
相手へ何らかの依頼をするときに使う
「善処します」は、相手へ何らかの依頼や要望をお願いするときにも使います。改善するための具体的な手段や方法が分からない場合に、「善処を望みます」というフレーズはふさわしいでしょう。
ビジネスシーンにおいて、目上の人や上司に何らかの依頼をする場合にも「善処」は使えます。ただしかしこまった表現のため、親しい間柄ではもう少し柔らかい表現のほうがしっくりくるかもしれません。
依頼する場合の例文
相手へ依頼する場合の例文も、いくつかご紹介しましょう。
・我が社の福利厚生はまだまだ不十分です。上司に善処を訴えようと思います。
・御社のサービスにおいて、善処を求めます。
・今後二度とこのような問題が生じないように善処してもらいたい。
・5月から始まる建設工事につきまして善処を望みます。
「善処」の3つの類語とは
「善処」は、場合によって「対処」「対応」「取り計らう」の3つの言葉に言い換えることができます。同じような意味ではありますが、微妙にニュアンスが異なるため、それぞれの言葉の意味とその違いを説明しましょう。
対処
「善処」の類語に「対処」があります。「対処」は「ある物事や状況に対して適切に処理すること」という意味。「善処」には「対応できるかどうか分かりません」といったニュアンスが含まれますが、「対処」には、そういったニュアンスはありません。
次の2つの文章を比べてみると分かるでしょう。
・この案件につきまして善処します。
・この案件につきまして対処します。
「対処」を使ったいくつかの例文を次に挙げます。「善処」なのか「対処」なのか考えて使いましょう。
・問題につきましては、迅速に対処します。
・このような問題が二度と起こらないように、対処くださるようお願い申し上げます。
・問題を起こした社員につきましては、厳正に対処いたします。
対応
「対応」も「善処」の代わりに使うことが可能です。「対応」は「周囲の状況に合わせて行動すること」という意味で、「何らかの行動を取ること」に重点が置かれます。
「善処」と「対応」が異なる点は、「善処」が「改善するように対処する」のに対して、「対応」は「よいか悪いかに関わらず対処する」ということ。そのため、「善処」よりも使う機会は多いでしょう。
次に例文をいくつか挙げます。
・この問題につきまして、迅速に対応くださるようお願い申し上げます。
・先日依頼した案件についてご対応くださりありがとうございます。
・私への誹謗中傷に対して、当方としましても厳しい対応を取らざるを得ません。
取り計らう
「取り計らう」も「善処」の類語です。「取り計らう」は、「万事がうまくいくように処理すること」という意味。ビジネスシーンでは、何らかの依頼やお礼を伝える場合に使います。
「善処」は公の場でも使いますが、「取り計らう」はどちらかというと親しい間柄のやりとりで使われ、国会の答弁のような場で使うことはありません。「内々にお願いしますね」といったニュアンスがあり、顔見知りの間で使うのがふさわしい言葉です。
次に「取り計らう」の例文をいくつか挙げましょう。
・大変お手数をおかけしますが、取り計らってくださるようお願いいたします。
・親切なお取り計いを誠にありがとうございます。感謝申し上げます。