1日のもち時間は誰でも等しく24時間。けれど、時間の使い方や過ごし方にはその人のスタンスや個性が現れます。この連載では子どもをもち働く女性の“1日の時間割”を軸に、ひとりの女性の中の女・妻・母の3つの顔に迫ります。
竹内由恵さんの「女の時間割。」
Vol.1「女」時間〜ひとりの女性として仕事に向き合う時間〜
Vol.2「妻」時間〜妻として夫に向き合う時間〜 ←この記事
Vol.3「母」時間〜母として子どもに向き合う時間〜
タレント・35歳
竹内由恵 さん
竹内由恵さんの「妻」時間をClose up 21:00@Living
夫とは同い年なので、歌詞を見なくても自然と口ずさめる歌が一緒なんです(笑)
「夫は休日にリビングで趣味のウクレレを弾くのですが、自分の歌声に自信がないとのことで(笑)、私が横で一緒に歌ったりしています。同い年だとお互いに知ってる曲がたくさんあるのがうれしいですよね。よく弾いているのは中島みゆきさんの『糸』。ほかにはジブリの曲やスピッツなど。気づけば1時間くらいたっていて、びっくりすることもたびたびです」
「妻」時間 竹内由恵さんのとある日曜日
この連載では事前に“ある日の時間割”についてアンケートに回答してもらい、撮影シーンを構成しています。竹内さんの「妻」時間を紹介します。
8:00 授乳のタイミングで起床、子どもは再び眠る、洗濯、シャワー、身支度、コーヒーを飲む
10:00 子どもを夫に預けてスーパー、薬局へ買い出しに
11:00 帰宅、ピクニック用に簡単なサンドウィッチをつくる
12:00 公園でピクニック
15:00 帰宅、洗濯を取り込む
17:00 夫の実家に行き、義兄家族とともにみんなで夕食
20:00 帰宅
21:00 夫が趣味のウクレレを弾き、私が歌う。子どもは観客(笑)
22:00 授乳後、子どもは就寝
23:00 みんなで就寝
自分とは異なる世界で生きてきた夫が“幸せの価値観”を変えてくれた
ある音楽が流れた瞬間、ふっと当時の記憶が蘇るのは、音楽が記憶を司る脳の海馬を刺激するから。そしてそんな一曲を共有できる相手とのつながりは、あたたかさや懐かしさを運んでくるもの。竹内さんも、夫とリビングで好きな音楽を楽しむひとときを習慣にしている。
「一緒に歌える曲が思いのほかたくさんあって、歌うと楽しくなりお互いに笑顔になれる。意外といい時間だなと思っています。最初は“三日坊主で終わるに違いない”とふんでいましたが(笑)、夫のウクレレ演奏は予想外に続いているので、このまま趣味に定着してくれたらいいですね」
結婚して静岡に住み始めてからの期間は、さまざまな意味で必要だったと捉えている竹内さん。夫婦としても、励まし支え合いながら臨んだ妊活が実って子どもを授かることができた。夫と“家族を築く時間”をもてたことをとてもよかったと感じている。
「彼は私が悩んでいると“何を悩んでいるのか、話してみて?”と、きちんと耳を傾けてくれるような人なんです。私もモヤモヤを口に出して話すことで、頭の中がすっきりと整理される。合理的な思考をもつ夫は冷静で分析も得意なので、感情的な私はすごく助けられているなあと感じることがよくあります。
そもそも、これまで私が生きてきたメディアの世界とはまったく異なる業界の人なので、常に新鮮な考えをもたらしてくれるんです。私はどちらかというと、自分をどれだけ表現できて多くの人々にアピールできるかで勝負していく、競争の世界に生きてきました。夫はそれとは対照的な世界で暮らしてきたので、最初はふたりの“幸せの価値観”が違ったのです。たとえば私は“周囲から認められてたくさんの仕事をすること”を優先したいタイプでしたが、決してそれだけが基準ではないのだと引き戻してくれました。自分を大切にしてくれる家族と過ごす時間や、何気ない時間を幸せだと感じられるように、夫との生活を通して変わりました。彼が私の価値観を広げてくれてよかったなと思っています。
パートナーとしてありがたいのは、非常に協力的な人であることですね。たとえば育児や家事にも協力的。気持ちのケアもとてもスマートなんです。妊活中になかなか授からなくて私がひとりで落ち込んでいるなど、なぐさめてほしいときにちゃんとなぐさめてくれるので、不満を感じることがなかったほどです。産後については、夫が事前に家族をもつ友人たちからいろいろ話を聞いていたようなんです。たとえば“産後の妻は苛立っているから気をつけろ”という教えを聞き、それをちゃんと守ったりとか(笑)。実際、その時期は私に慎重に接している様子がうかがえたので、そういうことも含めて全部ありがたかったです」
価値観の違いによる衝突は、粘り強く話し合って解消しておく
「その一方で、仕事に対する価値観の違いは、しばしば衝突の原因となりました。たとえば子どもが生まれてまもないタイミングに、私がお仕事をさせてもらっていることについて。夫は“もう少し待ってもいいんじゃないかな”と、慎重に考えている。でも私は、最初はもちろん回数は少なくても今から仕事を再開させたい。けっこうぶつかりあって、そのたびに話し合って、ときにはボルテージが上がって大声になるようなケンカもしました。
でも、私はどうしても夫にわかってもらいたいし、これだけは譲れないと思っていたので、彼を不安にさせないように仕事だけに突っ走らず、家族のこともちゃんと考えているよということを粘り強く伝えました。どうしたらうまくわかってもらえるのか、いろいろと頭も悩ませました。“こういうところがイヤだ”と、お互い素直な気持ちを伝えあうことから逃げなかったことで、今は仕事に関してのやりとりもすごくしっくりきているのを感じます」
そんな竹内さんが、ずっと大切にしてきた考え方がある。
「ずいぶん昔のことですが、友達にちょっとした悩みごとを相談したとき、最終的に私が出した結論が我ながら名言っぽくて、今後の自分の信条にしようと思ったんです(笑)。“自分が選んだ道は、その後の自分次第でいくらでも正解にできる”。そんな言葉がぽろっと口から出たんです。夫は私にとってかけがえのない大切な人。でも仕事も私にとって大切なもの。“この選択でよかった”と思える日が、いずれ来るような気がしています」
〜「妻」時間の撮影裏話〜
撮影中にいつもの雰囲気を少しでも再現したいと、竹内さんにご主人がウクレレでよく弾く曲をハミングしてもらいました。ところが曲名は思い出せず、撮影スタッフ全員で「何の曲だろう」と急遽曲名当てのシンキングタイムに突入。正解はつじあやのさんの「風になる」。ロケバスドライバーさんがパッとひらめいて、おもむろにスタジオのBGMに選曲。ポップで明るいメロディとともに竹内さんの表情がみるみるうちリラックスして素敵な写真がたくさん撮れました。次回Vol.3は竹内さんの「母」時間をお届けします。お楽しみに。
竹内由恵さん
1986年、東京都生まれ。子ども時代に父の仕事でアメリカやスイスで海外生活を5年経験後、高校は日本の進学校で学び、慶應義塾大学に入学。2008年にテレビ朝日アナウンス部に入社。同年『ミュージックステーション』のサブ司会に抜擢され、『やべっちFC』や『世界水泳2011』などスポーツ番組のキャスターを経て、『スーパーJチャンネル』や『報道ステーション』などのニュース番組のキャスターとして活躍。33歳で結婚を機に退社し、夫の勤務地である静岡での暮らしをスタート。35歳で長男を出産。妊娠中からインスタグラムでマタニティライフや静岡での暮らしをイラストエッセイとして発信。その率直でユニークな内容が注目を集めている。趣味はカフェ巡り。大好きなコーヒーについて学ぶため、昨年UCCドリップマスター資格も取得。
インスタグラム:https://www.instagram.com/yoshie0takeuchi/
撮影/眞板由起 スタイリスト/瀬上裕香 ヘア&メーク/窪田健吾(aiutare) 構成/谷畑まゆみ
シャツワンピース¥31,900(TICCA<ティッカ>) リング(竹内さん私物)
<協力社リスト>
TICCA http://ticca.jp/