そもそも「打たれ強い」の意味とは?
「失敗したらすぐにあきらめる」「叱られるとすぐに泣く」、子どもがこのようなタイプだと「もっと打たれ強い子になってほしい」と思ってしまうものです。
そもそも「打たれ強い」とはどのようなことをいうのでしょうか?「打たれ強い」の意味や、現代社会で必要とされる「レジリエンス」との関係について紹介します。
人からの批判や逆境に耐える強さ
「打たれ強い」とは、他者からの非難や批判に屈せず、逆境に耐える強さを意味する言葉です。
例えば、「パンチを何回も受けても倒れないボクサー」「打たれるけれど何とかしのぐピッチャー」などは、まさに打たれ強いといえます。
ただし、日常生活で使う場合、肉体的な攻撃を意味することはほぼありません。「他人から非難されたり叱られたりしても折れない」「何度失敗をしてもめげない」という人を表すときに使われます。
注目を集める「レジリエンス」との関係
「レジリエンス(resilience)」とは、もともと物理学で使われていた言葉です。「回復力」「跳ね返す力」などの意味を持ちます。
「簡単にめげない」という意味では「打たれ強い」と似ていますが、レジリエンスには「負けを許容しない」という考えはありません。レジリエンスで重視されるのは「失敗をバネに成長していくこと」です。
傷ついても倒れない鋼のようなタフさではなく、傷ついて落ち込んでも速やかに復活する柔軟さが重視されます。
レジリエンスがある人は「打たれ強い」
精神的に打たれ強い子になってほしいのであれば、レジリエンスが必要です。
「レジリエンスがある」とは、どのような状態なのか。子どもにレジリエンスを身に付けてもらうには親がどのように関わればよいのか、具体的に見ていきましょう。
立ち直りが早くポジティブ
レジリエンスがある人は、打たれ強く失敗を恐れずに行動するタイプが多いです。「何とかなる」と楽観視でき、失敗してもすぐに次のアクションを起こせます。
一方、レジリエンスのない人は、物事を悲観的に見る傾向があります。失敗や挫折に引きずられやすく、なかなか次のアクションに移れません。
同じような逆境で切り替えができる人とできない人がいるのは、「物の見方」が異なるためです。レジリエンスのある人は、明るい未来をイメージして行動できます。不確定な未来に不安を感じたり、未来に進むための行動にためらいを感じたりすることが少ないのです。
レジリエンスを高めるには
「自らの失敗を反省して、失敗を次に生かす」といった経験の積み重ねが、子どものレジリエンスを高めます。
「こうしたから成功した」「あれをしなかったからできた」といった経験を踏めば、「自分はやればできる人間なんだ」と自覚できます。この自信が「ポジティブ思考」「折れない心」につながり、打たれ強い子に成長するのです。
子どもに成功体験をさせるためには、親が子どもの自主性や個性を尊重しなければなりません。子どもが失敗したときは励まし、成功したら思い切り褒めるという関わり方が、子どもに自信を与えるのです。
親がリラックスして前向きでいることも重要
子どもが失敗や挫折と向き合うためには、家庭が心から安心できる場所でなければなりません。
親がピリピリしたりイライラしたりせず、リラックスした態度で子どもと接しましょう。真面目な人は「親だからきちんとしつけをしなくては」と力が入ることがあるもの。しかし、親が気を張り過ぎると、子どもが萎縮してしまうかもしれません。
親はあれこれ心配するのを控え、笑顔で「何とかなるよ」と伝えましょう。親の前向きなパワーを与えれば、子どもはしっかり受け取ってくれます。
打たれ強い子を育てるために大切なこと
打たれ強い子に育ってほしいなら、子どもと適切に関わることが必要です。逆境に強く、回復力がある子どもを育てるために必要な、子育てのポイントについて紹介します。
自己肯定感を高める
逆境に立たされても自分自身を肯定的に見られる子どもは、簡単には折れません。ストレスに負けない強いメンタルが育ち、「打たれ強い」といわれるようになります。
また、子どもの自己肯定感を高めるためには、親の愛情が不可欠です。特に幼少期は、親と子の関わりが密接で、親から受ける影響は計りしれません。
この時期に言葉や態度でしっかり愛情表現をすると、子どもは「親に愛されていること」を実感できます。自分は大切な存在なんだと自覚できるようになり、自己肯定感が高まるのです。
子どもに対しては恥ずかしがらずに、積極的に愛情を注ぎましょう。スキンシップもたくさん行い、親の愛情を肌で感じさせることが大切です。
過保護や過干渉をやめる
「子どものために」と親が出過ぎると、子どもの内面の成長や自立を阻むことになります。打たれ強い子どもに育てたいのなら、失敗を防ごうと親が先回りするのは避けましょう。
失敗の経験が少ない子どもは、失敗することへの免疫がありません。大人になってもちょっとしたことで落ち込んだり、へこんだりしやすく、打たれ弱い人間になる可能性があります。
「親が関与できる間は守ってあげたい」という人もいますが、将来困るのは子どもです。本当に子どものためを思うなら、親は「失敗したらかわいそう」ではなく「失敗も経験」と前向きに考えることが必要です。
【打たれ弱い人】って、どんな人? 接する時の気をつけるポイント3つをご紹介|Domani
行動を管理し過ぎない
「これをやって」「次はあれだよ」と親が常に行動を管理することも、子どもを打たれ弱くする原因の一つです。
逆境に立ち向かうときは、「困難を乗り越えるにはどうするべきか」「何を優先したらよいか」などを判断する力が必要です。
何でも親が決めたままに行動してきた子どもは、いざというときに自分で決断できません。失敗を乗り越えることが困難で、打たれ強い子どもとは真逆に育ってしまう可能性があります。
子どもの決断力を養うためには、親が決断の機会を奪わないことが重要です。1人で考えられるように、1日数時間は子どもが自由に使える時間を作ってあげましょう。
失敗しても問題ないことを伝える
親があまりにも失敗を気にすると、子どもは「失敗してはいけない」と感じてしまいます。「失敗したくない」「失敗したら恥ずかしい」などの感情が湧きやすく、積極的に行動できなくなるかもしれません。
打たれ強い子どもになってほしいなら、「失敗しても問題ない」「失敗は恥ずかしくない」ことを理解してもらう必要があります。失敗を「悪」と思わせないポイントは、子どもが失敗したときに叱ったり攻めたりしないことです。
例えば、子どもが食事をこぼしても「何やってるの!」と強い口調で叱るのは避けましょう。「次はどうしたらいいと思う?」「何でこぼれたのかな?」など、子どもが「次は注意しよう」と思える声掛けをすることが大切です。
失敗を克服した経験から得られるメリット
打たれ強い子どもに育つには「打たれること」も必要です。これからの社会を生き抜く上で必要な「失敗体験の重要性」について紹介します。
心の強さにつながる
自信を育てるためには成功体験が有益といわれていますが、「失敗した上での成功体験」はより重要です。失敗があるからこそ成功の喜びや達成感があり、子どもは「できた」という満足感を得やすくなります。
失敗しても「終わりじゃない」「まだやれる」という考えにつながりやすく、回復力のある強いメンタルを持つ子どもになります。競争社会である今の時代、どのような人も一生無敗を続けることはできません。
打たれ強い子になってほしいと思うなら、親は失敗しない方法を教えるのではなく、「失敗からどのように立ち直るか」を子どもに体験させることが重要です。
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