「いらっしゃる」の意味とは?
「いらっしゃる」は、「行く」「来る」「居る」など、複数の言葉の尊敬語で使われます。飲食店などで使われる「いらっしゃいませ」が馴染深い言葉ですが、「いらっしゃいませ」は丁寧の助動詞「ます」の命令形がついたものです。
「いらっしゃる」は解釈によっては別の意味に捉えてしまう場合もあるため、前後の文脈から判断する必要があります。ここでは「いらっしゃる」の意味や例文を紹介しますので、実際に判断するときの参考にしてみてください。
■「入らせらる」が語源の尊敬語
「いらっしゃる」は、「入らせらる」という言葉が語源です。そのため、「居らっしゃる」と書くのは正しくありません。「入らせらる」には、「お入りになる」という意味があります。
また、「いらっしゃる」は相手を立てるときに使う尊敬語であり、自分がへりくだる表現の謙譲語ではありません。使い方を間違えないように注意しましょう。
■意味は文脈で判断する
「いらっしゃる」には「行く」「来る」「居る」の尊敬語です。また、補助動詞「ある」「いる」の尊敬語としても使われます。いくつもの意味を含むため、正確に把握するには文脈で判断しなければなりません。
例えばこちらへ「来る」という意味で使う場合、到着する場所を示さなければどこかへ「行く」という意味にも捉えられます。勘違いを生みやすいため、「いらっしゃる」を使うときは前後の言葉を省かないことが大切です。
■「おられる」との違い
「いらっしゃる」と似た言葉に「おられる」があります。「おられる」は「居る」に助動詞の「れる」をつけた言葉で、「いらっしゃる」と同じ尊敬語です。「居る」の意味での「いらっしゃる」の類語ともいえるでしょう。例文は、次の通りです。
・お客様は応接室におられます。
・事務所におられるのを見かけました。
「いらっしゃる」の曖昧さを避けたい場合は、「おられる」を代用するのもよいでしょう。
「いらっしゃる」の例文
「いらっしゃる」はいくつもの意味があるため、実際の使い方を例文で確認しておきましょう。使い方のポイントは、正しい助詞を使って目的となる言葉を添えることです。特に「行く」「来る」「居る」は曖昧に使うと正反対の意味になりかねません。
なお、補助動詞「ある」「いる」の尊敬語として使う場合は、より高い敬意を表す表現になります。
■「行く」「来る」「居る」の意味で使う場合
「行く」という意味の例文は以下の通りです
・どちらへいらっしゃいますか?
・昨日は大阪までいらっしゃったようですね。
・セミナーは来月に予定しております。ぜひご一緒にいらっしゃいませんか。
・お伝えしたいことがございますので、受付までいらしてください。
「いく」という意味を正確に伝えるため、行き先などを表す言葉を添えることがポイントです。「行く」ことを先方に依頼する場合は、「いらしてください」という形に変えることも多いでしょう。
「来る」の意味の例文は次のようになります
・社長がこちらまでいらっしゃいます。
・イギリスから時間をかけていらっしゃいました。
・先ほど連絡があり、明日の10時にいらっしゃるとのことです。
こちらも他の意味と間違えないため、出発する場所や到着先などを付け加えることが大切です。
「居る」の意味は以下の通りです
・〇〇様はいらっしゃいますか?
・社長がここにいらっしゃると心強いです。
・どうぞ、その場所にいらっしゃってください。
意味が伝わりにくい場合は、「おられる」を使うのもよいでしょう。