SNS更新、メッセージなどが頻繁
「しつこい人」は、個人SNSなどを1日に何度も「しつこく」更新。聞いてもいない心境を吐露したり、意見を並べたり同じことを発信するなど、頻度が高すぎるタイプも。あえてスルーしていても、個人メールやコミュニケーションツールに何回も同じメッセージを送ってくる人がいるかもしれません。
「しつこい人」の心理とは?
一体、どのような心理が働いて「しつこい人」となるのでしょう? コミュニケーションスキルの専門家でもある、キャリアコーチの菊池啓子(きくちひろこ)さんに伺いました。
「しつこい態度をとる人の特徴としては、『意識のベクトルが自分にだけ向いている』ということが言えます。自分がどう思うのか。どう感じるのかに集中していて、相手の感情などに思いを巡らす事をしないのです。
また、出来事や状況などを、自分なりの解釈で決めつけてしまう傾向も。客観的視点や他者視点がないので、独りよがりで独善的なのです。しつこさゆえに人間関係のトラブルが起きたとき、『よかれと思って… 』というフレーズが出てきます。よかれなのは、本人にとってだけということがわからないのです。」(キャリアコーチ・菊池さん)
他人に対してしつこく絡んでしまう人の心理を、紐解いてみましょう。
好意がある
相手に純粋に好意があり、両思いだと勘違いしている場合が多いようです。互いに同じ気持ちであればハッピーですが、一方が「しつこい」と思っているのに、自分本位な気持ちを押し付け続けたり、行動がエスカレートしてしまうと、相手の嫌悪感がどんどん増すことに。
悪いケースでは、ストーカーのような存在になりかねません。好きすぎて諦めきれずに執着する人もいるようです。
執着してしまう
執着とは、対象となるものに深く思いをかけ、離れられない、忘れられないような状態を言います。
ある人に優しくされたり、認められたりしたときに、「この人を逃すと、もう自分をわかってくれる人はいなくなってしまう… 」との不安や恐れから、しつこくしてしまうことが。特定の人に執着をしてしまうのは、自分に自信がなかったり、自分に価値を感じられなかったりする心理が影響しています。
誰でもいいから構って欲しい
誰でもいいから構って欲しい、という心理も。本来の性格が“かまってちゃん”気質の場合もありますが、以前は普通だったのに、交際相手と別れたり生活環境が変わって「しつこい」行動が表面化してきたのなら、一時的な寂しさなどの理由があるのかもしれません。
さみしさから
「さみしい」という感情的な不安から、他人とのつながりを過度に求めることがあります。感情的な不安は、なにかしらの条件が揃ったり、問題が解決するといった、分かりやすい理由では解消できません。さみしさは、それを感じる本人の都合。それに巻き込まれてしまったとも言えるでしょう。
過去の経験
過去に他人に裏切られた経験などがあると、不安を感じ、疑い深くなることも。相手の言動や思考が気になってしまい、不安や恐れを払拭するために、頻繁に連絡や確認をするなど、しつこい態度をとってしまうこともあります。
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相手が迷惑していることが理解できない
もともと悪気がなくて、相手が迷惑していることに気づけないのかもしれません。想像力に乏しかったり、空気が読めないという本人の性格が影響しているケースもありそうです。
「しつこい人」への接し方は?
もし「しつこい人」のターゲットになってしまったら、どのような接し方をすべきでしょう? シチュエーションごとにチェックしてみましょう。
職場での対処法
職場に「しつこい人」がいる場合、本心でなく中途半端に関わることで、自分の心の負担や不調につながったり、仕事に支障がでてしまうことも。勇気を持って断り、可能であれば距離を置くなどの対応をしましょう。プライベートにやたらと踏みこんでくるようであれば、上司などに相談を。ビジネスライクに接することは、悪いことではありません。ひとりで抱え込むことが無いように。
ママ友への対処法
まず、「ママ友」は友人ではありません。たまたま、子どもを介して一時期一緒に過ごすことになっただけの関係性です。相手は悪気がない場合もあるので、挨拶などの基本的な礼儀は欠かさずに、余計なことは話さなくて良いので程よい関係を保ちましょう。とはいえ「しつこい」言動が手に負えないなら、他の人にそれとなく相談をし、さらに距離をとって。
友人への対処法
友人に対してしつこいと感じたとき。まずは、どのような言動にうんざりしているのかを自覚してみましょう。また、自分の情報をつまびらかに伝える必要はありません。しつこいと感じる友人には、あまりプライベートを明かさない。何か聞かれても曖昧に流したり、忙しいなどの理由をつけて関わりたくない態度をみせて様子をみましょう。
しつこい人への対処法
しつこい人には、「察してもらう」ことは不可能。自分の意思を相手に伝える必要があります。ひとりではちょっと難しい… というのであれば、周りの人のサポートをうけましょう。
具体的に「何がいやなのか」を言葉で伝える
伝える時のポイントとして、「事実」と「自分の気持ち」を切り分けて伝えてみましょう。
例えば、「何度もお誘いいただいていること」「プライベートなことを質問されること」「商品を進められる事」という事実に対して、「私は困惑しています」という感じです。ポイントは「I(アイ)メッセージ」。「私が」どのように感じているのか、ということを明確に。
二人きりにならない
自分に好意をもって「しつこく」してくる異性に対しては、何より期待をもたせないことが大切。二人きりにならないようにしましょう。共通の知り合いや周囲に相談をすることで、サポートをしてもらうことも有効です。危険を感じる場合には然るべき機関に相談を。
興味がないことはきっぱりと断る
商品の押し売りや宗教の勧誘などにあった場合にも、興味がないなら親身になって聞いてはいけません。相手に脈ありと思われると、あと一押しと勘違いされ、ますます「しつこさ」が増す場合も。相手に悪いなと考えず、自身の考えを冷静に伝えることも関係を断ち切るための手段です。
ネット上では挑発に乗らない
ネットの普及により、リアルな人付き合い以外でも、何かがきっかけとなって執着されてしまうリスクもあります。SNSの投稿やコメントなどは、不特定多数の人が見ていることを忘れずに。
万が一トラブルが生じて正しい対処法かわからない時には、相手の誘いや挑発には乗らず、関わらないようにするのが良いでしょう。場合によっては専門機関への相談も選択肢に。ネット被害なども増えている現代、普段から個人情報など不必要な発信はセーブして。
最後に
ターゲットとなりやすいのは、親しみやすい魅力的な人物だからとも言えますが、相手の気持ちを考えれない「しつこい人」とは距離を置き、自分が不快感なく付き合える人との関係を深めていきたいものですね。
付け入る隙を与えないような態度や雰囲気を心がけることで、余計なトラブルを回避できることも。また自分の行動が「しつこい」と思われていないかも、時々振り返ってみましょう。
TOP画像/(c) Adobe Stock
監修
キャリアコーチ 菊池啓子(きくち・ひろこ)さん
2003年から企業研修トレーナー・人材育成コンサルタントとして活動。国家資格キャリアコンサルタント。研修登壇回数は年間100回を超え、これまでに5つの大学でキャリアデザインを教える。現在「社外上司」として多くのビジネスパーソンの悩みに寄りそい成長をサポート。趣味は出張先での御朱印集め。家族は夫と猫2匹。
X:@lotus_kikuhime
ライター所属:京都メディアライン
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