人生は失敗がつきもの。心がポキッと折れないためには?
失敗や望まない結果になったとき、誰もが落ち込むもの。それは子どもも一緒で、経験値が少ない分受けるショックが大きい場合もあります。親としては子どもに傷ついて欲しくないと願いますが、失敗から学ぶこともあるため、ある程度は経験して欲しいという矛盾の中にいるかもしれません。失敗をしても心が折れないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。スクールカウンセラーでもあり、臨床心理士・吉田美智子さんにお話を伺いました。
まずは本人の性格を把握
「ます基本に、失敗を怖がるかどうかは、子どもの性質で大きく違います。ちょっとのことでも怖がる子もいれば、何度も失敗しても無頓着な子どももいます。日常生活を送る上で生き辛さを感じ、心が折れそうな要素を持っているのは些細な失敗も怖がる子ではないかと思います」
些細な失敗を怖がる子には日頃どう接する?
「ちょっとした失敗でも泣く、できないことを怖がって挑戦したがらない、そんな子どもにはまず【失敗することは怖くない・ダメではない】ことを日常の会話の中で散りばめてください。それは本人に対してだけでなく、TVに出てくる人や、親の友達の話でもいいと思います。『あの人は失敗をこうやってリカバリーできたんだって』など、失敗で立ち止まらず、前進できるんだという体験談ができるといいですね」
親の声がけが1番の特効薬!
「まずは親が失敗を恐れないでください。子どもの失敗体験はまだまだ親が受け止められる範囲のものが多いですし、フォローをすることで、大切な学びと変わっていきます。そこでお願いしたいのが、暖かい声がけです。例えば、『諦めないで頑張り抜いて、本当に立派だね。誇りに思うよ』『お母さんも一緒に貴重な体験ができた。ありがとう』など、失敗から学びにつながる声がけをしてください。決して、『なんで失敗したの?』または、『そんなこと気にしちゃだめ』など、子どもの気持ちを無視するような言葉は使わないようにしましょう」
大人も活用できる、失敗からの復活法
「失敗を経験すると頭が真っ白になってしまったり、落ち込んで何も考えられない状態になってしまうことも。振り返ることは大事ですが、立ち止まったままは精神衛生上良くありません。そこで、親子で使える復活法をご紹介。
<1>数日〜1週間は無理をしない
失敗をすると苦しい、悲しい、恥ずかしい…色々な感情が湧いてきます。小さなものは一晩寝れば、その感情も和らぎますし、大概のものは1週間もあれば回復傾向に向かいます。この心の働きを理解していれば、必要以上に悩んだり、不安に感じることも少なくなります。その間は無理な生活をせず、自分を労る時間としましょう。
<2>分析を開始
心が落ち着いたら、振り返りをして失敗で分かったこと・学んだことを考えます。次はどう行動したら良いかがこの作業により明確になります。
このように、失敗を肯定的に受け止める姿勢が大切です。これを繰り返すことで、レジリエンス=回復力を鍛えられるようになります。
そして、最後に。失敗をしたことを決して責めないでください。泣いたり、怖がることを叱ってやめさせると、隠すようになります。一時は適応したかのように見えるのですが、思春期以降に気持ちが抑えられなくなり、情緒不安定や脅迫障害などにつながる危険性があります。失敗は貴重な体験→自分の財産としていかれるといいですね」
画像/(C)Shutterstock.com
取材・文/福島孝代
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臨床心理士
吉田美智子
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