「桃栗三年柿八年」とは何事も相応の時間がかかるの意味
「桃栗三年柿八年」とは、果実が生るまでには時間がかかることを示すことわざです。また、果実だけでなく何事も、完成するまでには相応の時間がかかるという意味でも使われるようになりました。
【桃栗三年柿八年:ももくりさんねんかきはちねん】
桃と栗とは、芽生えのときから3年、柿は8年たてば実を結ぶということ。
(引用〈小学館 デジタル大辞泉〉より)
正確な収穫時期も指している
「桃栗三年柿八年」ということわざは、果物の正確な収穫時期も指しているともいわれています。実際に桃や栗の木を植えて実を結ぶまでには3年間、柿の木を植えて実を結ぶまでには8年かかることが多いようです。
農業初心者や自宅の庭に果物の木を植えるなどの家庭菜園を楽しむ際に、収穫時期の目安として覚えておくことができるでしょう。
使い方を例文でご紹介
根気よく時間をかけて待てば、あるいは時間をかけて努力をすれば、何らかの結果が出ることがあります。「桃栗三年柿八年」という言葉は、努力しても結果が出ず、諦めそうになっている人を励ますときなどにも使える言葉といえるでしょう。
・結果が出るには時間がかかるものだよ。【桃栗三年柿八年】というし、もう少し気長に努力してみれば。
・【桃栗三年柿八年】というんだし、もう少し頑張って。ここで諦めたら今までの努力が水の泡だよ。
簡単には成果が出ないという意味でも、「桃栗三年柿八年」という言葉を使うことがあります。例えば以下のように使うことができるでしょう。
・ブログを始めたけれど、なかなか結果が見えずめげそうだ。【桃栗三年柿八年】という言葉通り、すぐには結果が出なくて当然と思わなければいけない。
・【桃栗三年柿八年】というけれど、8年以上ピアノを練習しているのに上手にならない。努力の仕方を見直すべきタイミングなのかもしれない。
「桃栗三年柿八年」には続きがあった?
通常は「桃栗三年柿八年」で終わりですが、地域などによっては続きがあるケースもあります。どのような続きがあるのか、また、それぞれどのような意味があるのか、3つのケースに分けて見ていきましょう。
柚子を使うパターン
「桃栗三年柿八年」を本来の意味、つまり果物の収穫時期を指す言葉として使うときは、桃と栗、柿以外の果物の例を挙げ、「この果物は収穫までに〇年」かかると示すことがあります。その中でも柚子を使うパターンは多く、次のような表現が挙げられます。
・柚子は九年でなりさがる
・柚子は九年で花盛り
・柚子は大馬鹿十八年
表現によって年数は異なりますが、いずれも桃栗柿よりも多いことから、果実をつけるまでに長期間かかることがわかります。
梨やりんごを使うパターン
柚子以外の果物も、「桃栗三年柿八年」の続きで紹介されることがあります。次のようなバリエーションが知られています。
・梅は酸い酸い十三年
・梨の馬鹿目が十八年
・りんごにこにこ二十五年
いずれも桃や栗、柿以上に長い年月の後に収穫できることがわかります。果物を育てるには根気が必要だといえるでしょう。自宅菜園を楽しむ場合は、苗木ではなく、すでに実を付けた木を買う選択肢も視野に入れたいところです。
桃と栗は芽生えてから三年、柿は芽生えてから八年で実を結ぶということ。この下に「梅は酸い酸い十三年」「柚(ゆず)は九年の花盛り」「枇杷(びわ)は九年でなりかねる」「枇杷は九年で登りかねる梅は酸い酸い十三年」などの句をつけたりする。
*評判記・役者評判蚰蜒〔1674〕秋田彦三郎「桃栗(モモクリ)三年柿(カキ)八年人の命は五十年夢の浮世にささのであそべ」
*浮世草子・浮世親仁形気〔1720〕四・一「昔より桃栗(モモクリ)三年柿(カキ)八年と言へば」
*譬喩尽〔1786〕八「桃栗三年(モモクリサンネン)八年(ハチネン)枇杷は九年で登兼る梅は酸々十三年」
引用:小学館 日本国語大辞典
柿八年の代わりに後家一年もある
「桃栗三年柿八年」ではなく「桃栗三年後家一年」という言葉もあります。後家とは、夫に先立たれた妻を指します。これは、桃や栗は実を結ぶのに3年もの時間をかけるが、夫を失った後家は1年ほどで悲しみを忘れ、別の男性を見つけて幸せに暮らすようになるという意味の表現です。
桃栗三年後家一年
桃と栗は結実まで三年、後家が操を保つのは一年。未亡人の貞操は長く通せないことのしゃれ。
*世俗俚言集(幕末~明治初期)「桃くり三年後家一年」
引用:小学館 故事俗信ことわざ大辞典
桃栗三年柿八年の類語
「桃栗三年柿八年」の類語を3つご紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
石の上にも三年
「石の上にも三年」は、「いしのうえにもさんねん」と読み、冷たい石の上でも3年も座りつづけていれば暖まってくるという意味から転じて、がまん強く辛抱すれば必ず成功することのたとえです。根気よく時間をかけて待てば、何らかの結果が出るという意味で、類語と言えるでしょう。
石(いし)の上(うえ)にも三年(さんねん)
冷たい石の上でも3年も座りつづけていれば暖まってくる。がまん強く辛抱すれば必ず成功することのたとえ。
〈引用(小学館 デジタル大辞泉)より〉
待てば海路の日和あり
「待てば海路の日和あり」は「まてばかいろのひよりあり」と読みます。悪いことがあっても、待っていればいい日がやってくるという意味で使うことができるため、相手や状況に合わせて使い分けると良いでしょう。
待(ま)てば海路(かいろ)の日和(ひより)あり
待っていれば、海の静かないい日和がやってくる。「待てば甘露の日和あり」の言い方を変えたもので、意味は同じ。
〈引用(小学館 デジタル大辞泉)より〉
継続は力なり
「継続は力なり」は「けいぞくはちからなり」と読みます。わずかなことでも、続けて行えば成果となってあらわれる。小さな努力も、続けてやれば成功するという意味を持つ言葉で、「桃栗三年柿八年」と同じように続けることの大切さを表しているという意味で類語と言えます。
継続(けいぞく)は力(ちから)なり
わずかなことでも、続けて行えば成果となってあらわれる。小さな努力も、続けてやれば成功する。
〈引用(小学館 デジタル大辞泉)より〉
桃栗三年柿八年の英語表現
「桃栗三年柿八年」の英語表現を2つご紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。
Persistence pays off
「Persistence pays off」は直訳すると「粘り強さは報われる」という意味を持つフレーズです。諦めずに続けることで、いつか結果が出るという意味で「桃栗三年柿八年」の英語表現と言えるでしょう。
persistence
粘り[根気]強さ,不屈の精神;頑固さ
永続,持続(性);結果[影響]の残存
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉
Perseverance prevails
「Perseverance prevails」はそれぞれ「perseverance」は「忍耐」「ねばり(強さ)」、「prevails」は「(…に)勝つ」「まさる」という意味のある英単語です。直訳すると「忍耐が勝つ」という意味になり、ねばり強く続けるものが勝ることを意味しています。
perseverance
忍耐(力),ねばり(強さ)
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉prevail
(…を)圧倒する,(…より)有力である,(…に)勝つ,まさる≪over,against≫
首尾よくいく,成功する;効果がある
〈引用(小学館 プログレッシブ英和中辞典)より〉
「桃栗三年柿八年」の意味を理解しておこう
「桃栗三年柿八年」は果物の収穫時期を覚えつつ、時間をかけて結果を出すことの大切さを示す表現です。地域によっては続きがあり、ほかの果物の収穫時期を含めたり、女房や亭主、後家についての軽妙なコメントを加えたりすることがあります。
ぜひ「桃栗三年柿八年」の本来の意味と派生する意味を覚えて、表現力をアップさせましょう。
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