とんでもないことを表す例文
何かに対してとんでもないと批判する際にも、「稀有」が使えます。例として、有名な『徒然草』の中に「こは稀有の狼藉かな(これはとんでもない悪さだな)」という文章が出てきます。ただし、この用法は古語のみに限定されており、現代で使うことはありません。
同じく古語の「稀有なり」には「思いがけず」という意味があり、昔は否定的なニュアンスで使われていました。「稀有なり」は現代でも使われますが、否定の意味はもたず、肯定的なニュアンスでしか使われません。
【例文】
・今昔物語集「御房は【希有(けうの)】事云ふ者かな(おかしな事をおっしゃる御坊だ)」
・徒然草「こは【希有】の狼籍かな(これはとんでもない悪さだな)」
「稀有」の類義語と対義語
「稀有」には、いくつかの類語と対義語があります。順番に見ていきましょう。
「稀有」の類義語は「稀代/希代(きたい・きだい)」「稀少/希少(きしょう)」
・稀代/希代(きたい・きだい)
・稀少/希少(きしょう)
「稀代」の意味は「めったに見られないこと」で、「稀代の悪人」のように否定的なニュアンスでも使用可能です。稀少は「極めて稀で少数であること」を表し、「稀少な存在」のように使います。
「稀有」の対義語は「凡庸(ぼんよう)」「人並み」
・凡庸(ぼんよう)
・人並み
「凡庸」は「優れたことがなく平凡であること」を表します。「人並み」は「世の中の人たちと同じレベルであること」という表現です。
「稀有」の英語表現
めったに起きない出来事やまれなケースがあった場合、英語ではどのように表現すればいいのでしょうか? 「稀有」の英語表現を2つ紹介します。
rare
「rare」は、「稀有な」という意味で、めったに起こらない出来事やまれにしか起きないことを指す言葉です。日本語でも、「これはレアなケースだ」と表現することがありますよね。日常会話では、「稀有」の代わりに「珍しい」「まれな」と言い換えられることも多いですね。
【例文】
・These are as rare as hen’s teeth today.(こんな稀有なものは、今日ではめったにお目にかかれませんよ)
・He’s a novelist of rare talent.(彼は稀有な才能を持った作家だ)
unusual
「unusual」は、直訳すると「普通ではない」という意味。そこから派生して「珍しい」「まれな」「一風変わった」と翻訳されることもあります。
【例文】
・This is a highly unusual case.(これは非常に珍しい例だ)
・He has an unusual hobby.(彼は一風変わった趣味を持っている)
最後に
「稀有」は、珍しいことや不思議なことを表す言葉だということがわかりましたね。身近な例では、特別な才能を持った人物のことを「彼女は稀有な人ですね」と言ったり、まれな出来事を「稀有なことですが…」などと言うことが多いでしょう。めったにない珍しいことが起きた場合の表現の1つとして、使ってみてはいかがでしょうか?
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