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LIFESTYLE暮らし

2021.11.10

「赤さんとの初対面」【竹内由恵連載vol.3】

タレント・竹内由恵さんによる、「はじめまして」に囲まれた日々を綴るエッセイ。今回は、前回の出産体験談の続編。心の準備ができているようないないような…なうちにやってきた、赤ちゃんとの初対面!ようこそ赤ちゃん!

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赤ちゃんとのファーストミート、あれこれ想像していたけれど、な話。

みなさん、こんにちは。竹内由恵です。さて今日のお話は、前回に続き私の出産体験談、「生まれました、その直後」を聞いてくださいませ。

こんにちは赤ちゃん!体がしんどすぎる母で恐縮です。

我が子と感動の初対面。涙脆くない私でも、さすがに涙が出るだろうと期待していました。出産直後、汗だくで精魂尽き果てた女性が、産声をあげる赤ん坊を腕に抱いた瞬間、涙がツーっと頬を伝う、そんな映像を何度も見てきましたし、自然とそうなるものだと思っていました。きっとその瞬間ものすごい悟りを得るのだろうという期待もしていました。ところが、実際はそうではありませんでした。元気いっぱいに産声をあげ、助産師さんに取り上げられた生まれたての赤ん坊を目の当たりにしても、どこかの誰かの赤ん坊が生まれたのと同じような感情で受け止めていた気がします。それよりも、身体がしんどい。それだけが自分にとってのまぎれもない現実でした。

竹内由恵連載

産後戻った病室、深夜。その瞬間は突然やってきた…!

ファーストミートの時間は短く、赤ん坊はすぐどこか(おそらく新生児室)に連れていかれ、私もしばらくして病室に運ばれました。後陣痛があり、会陰切開の痕も痛くて、動くことはおろか、ベッドに横になることすら困難な状況でした。体の節々が痛いし、興奮しているし、眠れそうにないな、なんて思いながら部屋の明かりを消したのですが、その直後に眠りについていたようです。4、5時間寝たのでしょうか。

目が覚めたら、一筋の光が暗い病室に差しこんでいました。ドア付近にぼやーっと看護師さんらしき影が浮かび、その人はなにかを抱えていました。まるで地上に着陸したUFOから宇宙人が降りてきたワンシーンのようで、幻想的だったのを覚えています。そしてハッとしました。もしかしてあの腕の中には…。ベッドの近くに歩み寄ってきた看護師さんが、バスタオルの塊を差し出しました。そこには、しわくちゃで小さな生物がくるまっていました。

看護師さんは「授乳してください」と言いました。え?授乳?どうやって?まだ授乳の仕方なんて学んでないよ?「大丈夫です」とだけ言って看護師さんは、その生物を私の胸のところにもっていきました。そのとたん、それまで微動だにしなかった生物が、ぐわっと鬼気迫る勢いで私の胸にしがみつき、タコの吸盤のような力強さで吸い始めたのです。私は驚いてしばらく何も言えずに、その姿を息を飲んで見つめていました。口をめいいっぱいあけて、必死で私の胸に吸い付いてきたわが子のそのときの顔は一生忘れられません。誰に教えられたわけでもないのに本能的に吸い方を知っているんだ、という事実にも感動しました。

そのときから私と赤ん坊、二人きりの病院生活が始まったのでした。

どうか教えてください、あなたはどうして泣いていらっしゃるのですか?(切実)

入院中、赤ん坊は基本的にはずっと泣いていました。泣く主な理由としては、お腹がすいているか、眠いか、うんちやおしっこで気持ち悪いかですよ、と教えてもらってはいたものの、泣くたびに慌てふためき、あれこれ試してはうまくいかず、私は混乱していました。そのときの様子は夫へのLINEからもわかります。「母乳あげて、すやすや眠ったかと思ってベッドに寝かしたら、またぐずりだしたから、今は抱っこして子守歌歌ってるよ、ようわからん」。一体なにが欲しいのかわからず、必死でした。

ふと、わが子の周りを右往左往する自分の様子が、王様に振り回されているお付きの人みたいだなと思い、「そうだ!入院中はこの子のことを、赤さんと呼ばせていただこう!」と思いついたのです。まだ名前を決めていなかったので、これはよい呼び方を見つけたと、「赤さん、どうされましたか?」なんて話しかけては、くくくっと忍び笑いをしていたのを覚えています。ちなみに今は名前があるのですが、相変わらず「さん」付けすることが多いです。我が家のヒエラルキーにおいてはいまだに、8か月の赤さんが一番上というわけです。このエッセイでも今後は、赤さんと呼ばせていただきます笑。

タレント

竹内由恵

1986年、東京都生まれ。子ども時代に父の仕事でアメリカやスイスで海外生活を5年経験後、高校は日本の進学校で学び、慶應義塾大学に入学。2008年にテレビ朝日アナウンス部に入社。同年『ミュージックステーション』のサブ司会に抜擢され、『やべっちFC』や『世界水泳2011』などスポーツ番組のキャスターを経て、『スーパーJチャンネル』や『報道ステーション』などのニュース番組のキャスターとして活躍。33歳で結婚を機に退社し、夫の勤務地である静岡での暮らしをスタート。35歳で長男を出産。妊娠中からインスタグラムでマタニティライフや静岡での暮らしをイラストエッセイとして発信。その率直でユニークな内容が注目を集めている。趣味はカフェ巡り。大好きなコーヒーについて学ぶため、昨年UCCドリップマスター資格も取得。
インスタグラム:https://www.instagram.com/yoshie0takeuchi/

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