「小職」とは?
ビジネスメールや文書などに「小職(しょうしょく)」という言葉が使われていることがあります。日常生活で頻繁に使用する言葉ではないので、意味がよく分からない人もいるかもしれません。どんな意味を持つ言葉なのでしょうか。

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官職の人が自身を示す際に使う言葉
「小職」は自分の身分を、へりくだって表現したいときに使う言葉です。もともとは、官職に就いている人しか使わない言葉でしたが、そのうち民間にも広まりました。
官職を現代に言い換えると、国家公務員のことです。正しく使用するには、一定の役職に就いている人が自分を「あえて小さく見せるため」に使っていた言葉であることを、押さえておきましょう。
どこからどこまでの役職に使えると決められているわけではありませんが、あまり下の地位にある人が使うと違和感が生まれます。男女関係なく、部長や専務など、ある程度社会的に認められている人が使うのが一般的です。
具体的な使い方
小職は会話の中で使う言葉というよりは、格式張った「ビジネスメール」や「文書」の中で使われることがほとんどです。
会社の中は、誰がどんな地位にあるのか分かりやすい環境にあります。そういった中で、役職に就いている人が部下に対して指示を出したいときに使えるのです。
文字を見ると意味が分かりやすいですが、口頭で「しょうしょく」と言われても、戸惑う人が多いでしょう。若い人が多い職場では、意味が分からず聞き返されるかもしれません。聞き返されて「私」と言い直すのは手間がかかるので、もし使うのであれば書き言葉として使った方が無難です。
≪例文≫
●「書類の必要事項を記載した上で、小職宛てに返信をお願いします」
●「当日は小職も会場に駆け付けたいと思っております」
●「不明な点があれば、小職までお問合せください」
小職と似た言葉には何がある?
小職と似た意味を持つ言葉を知っていると、よりシーンに合った正しい使い方ができます。小職に近い意味を持つ言葉の意味や、例文などをチェックしましょう。

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男性が使う「小生」
「小生(しょうせい)」は自分と同等の立場にある人や、地位が下の人に対して「男性が使用する一人称」で、目上の人に使うと失礼にあたります。女性は使用しない言葉なので、間違って使わないように注意しましょう。
実際に使っている人に出会ったことがなくても、昔の小説や時代ものの映画やドラマなどで使っているのを聞いたことがあるかもしれません。使用するにしても、年配の人が用いることが多く、現代人が使うことに違和感を抱く人もいます。ビジネスシーンでは一人称を「私」を使用した方が、シンプルで分かりやすいでしょう。
≪例文≫
●「小生の立場としては、難しいところだよ」
●「小生にもプライドというものがあるから、この処分には納得できない」
士業を指す「当職」
「当職(とうしょく)」は専門的な資格を有する職業の人が、一人称として使用する言葉です。弁護士・行政書士・公認会計士・社会保険労務士など、「士が付く職業の人」が使うと覚えておきましょう。職務上、必要であれば戸籍謄本や住民票などを請求できる業務であることが特徴です。一般的な職業の人が、一人称として使うことは間違いとなります。
また、一人称以外にも「この職業」「現在就いている職業」という意味もあり、こちらの意味で使用する場合には、職業に関係なく使えます。
≪例文≫
●「当職は〇〇大学法学部を卒業後、〇〇法律事務所に在籍しています」
●「当職では、前職での経験を生かして働けると感じました」
「当方」ってどんな意味?|類義語やビジネスでの使い方を解説|Domani
ビジネス文書で用いる「弊職」
「弊職(へいしょく)」は、その職務に就いている自分を謙遜して使う言葉です。「弊」は、よくない・倒れるなどの意味があり、自分の会社をへりくだった表現にする際に「弊社」と言います。
職種や役職などに関係なく使えますが、弊社と小職をかけ合わせて生まれた造語とされ、ビジネスシーンで使用しない方がよいとする説があることを押さえておきましょう。
≪例文≫
●「この一大プロジェクトを弊職にお任せいただき、ありがとうございます」
【今さら聞けない】〝弊社〟の正しい意味とは?類語やビジネスメールでの使い方をご紹介|Domani
小職を使う場合の注意点
間違った言葉の使い方をすると、恥をかいてしまいます。ビジネスシーンではちょっとした言葉遣いのミスであっても、評価が下がる原因になりかねません。
小職を使う際に注意したいポイントを紹介します。

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目上の人には使わない
小職は地位の高い人が、自分よりも下の地位にある人に対して使用する言葉です。もし、係長が課長に対して使うと、間違いになります。
謙遜した表現として使われるので混乱してしまいがちですが、目上の人に対してわざわざ自分は下の身分であることを強調する言葉を使うと、嫌味に受け取られてしまうかもしれません。
使いどころが難しいと感じるのであれば、わざわざ使う必要はありません。誰に使用しても問題がない一人称を使った方が安心です。
平社員の場合は「私」を使う
小職は自分の地位を謙遜して使う言葉であることが分かっていれば、そもそもへりくだる必要がない身分の人は使用できないことが分かります。
特に、役職に就いていないのであれば、シンプルに「私」とした方が違和感を与えません。間違って使ってしまうと、言葉の意味が分かっていない人だと思われる可能性があるため注意しましょう。
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