2:今や財政界は百鬼夜行の群れである
「百鬼夜行」は、得体の知れない人々の集団を指すときにも使われる言葉です。そのため、政界の重鎮や会社の経営陣などが、身勝手な振る舞いをしているたとえとして「百鬼夜行」を使うこともできますよ。
3:その街は治安が悪く暴行事件が多発している。まさに百鬼夜行のような状態だ
盗みや暴行事件などが多発し、無法地帯のような状況にも「百鬼夜行」は使われます。悪人たちが、法の規制やモラルなどはお構いなしに街を占拠している様子は「百鬼夜行」と似ているかもしれませんね。
類語や言い換え表現とは?
「百鬼夜行」の類語には「魑魅魍魎」「妖怪変化」「複雑怪奇」などがあります。いずれも人智でははかり知れないような不思議な物事に関する言葉です。詳しい意味をチェックしていきましょう。
魑魅魍魎
「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」の意味は以下の通りです。
いろいろな化け物。さまざまな妖怪変化(へんげ)。(<小学館デジタル大辞泉>より)
様々な妖怪や化け物のことを「魑魅魍魎」といいます。「魑魅」は「山林の気から生じる化け物」。「魍魎」は、「山川・木石に宿る精霊」を指します。「魑魅魍魎」が妖怪や化け物の集団を表す言葉なのに対して、「百鬼夜行」はたくさんの妖怪たちが夜に練り歩く様子を表した言葉です。これが両者の違いといえるでしょう。
・夜になると都には魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)した。
・山奥にいる魑魅魍魎に悩まされた。
妖怪変化
「妖怪変化(ようかいへんげ)」は、「怪しい化け物」のことです。人智でははかり知れない恐ろしい化け物のことをいいます。「変化(へんげ)」には、「神仏などが姿を変えて現れること」「化け物」という意味があり、よって「妖怪変化」は「妖怪」と「変化」という似た意味を持つ言葉を重ねた四字熟語とされています。
・祠の近くにいた狐は妖怪変化だったのかもしれない。
複雑怪奇
「複雑怪奇(ふくざつかいき)」の意味は以下の通りです。
複雑でわかりにくく不思議なこと。また、そのさま。(<小学館デジタル大辞泉>より)
その文字が表す通り「複雑怪奇」は、複雑で不思議な様子や状況を指す言葉です。「百鬼夜行」や「魑魅魍魎」のように直接妖怪を表す言葉ではありませんが、人の頭では解決できないような不思議な出来事が起きているという点が「百鬼夜行」と似ていますね。
・複雑怪奇な事件だともっぱらな噂だ。
・外国人からすると日本の路線図は複雑怪奇に見えるらしい。
英語表現とは?
「百鬼夜行」に出てくる妖怪や化け物のことを英語ではなんというのでしょうか? 主なものとしては「Ghost」「Monster」「Goblin」が挙げられます。また、そのまま「Yokai」と表現しても良いようです。
「Ghost」は、「幽霊、亡霊」などを指します。亡くなった人の霊というようなニュアンスですね。「Monster」は、「怪物、化け物」という意味。伝説や想像上の生き物のことを指します。「Goblin」は、ヨーロッパの伝説に出てくる小鬼や悪鬼のことで、人に危害を加える存在といわれています。
最後に
「百鬼夜行」の意味や類語、英語表現などは理解できましたか? 『百鬼夜行絵巻』では、赤鬼や青鬼などの定番の妖怪に混じって、琴や扇、鍋などの道具たちが妖怪になっているのがユニークでしたね。
室町時代には、100年経った道具には魂がこもり、「付喪神(つくもがみ)」に変化すると信じられていたのだとか。物を大切にしないと妖怪になって追いかけられるぞ、という戒めも込められていたのかもしれません。この機会に「百鬼夜行」の言葉の意味とそれにまつわる歴史も覚えてみてはいかがでしょうか?
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