「大器晩成」の意味と語源
「大器晩成」は、「たいきばんせい」と読み、偉大な人物になるにはそれなりの長い時間がかかることを意味します。
【大器晩成】たいきばんせい
《「老子」41章から》大きな器が早く出来上がらないように、大人物は世に出るまでに時間がかかるということ。
(引用〈小学舘 デジタル大辞泉〉より)
ポジティブな意味で用いられる言葉で、テレビや小説などでも耳にしたことがある方もいるでしょう。知ってはいても、実生活ではなかなか使う機会がないと感じているかもしれません。
正しく「大器晩成」を使いこなせるように、詳しい意味と由来をご紹介します。
意味は大物になるには時間がかかること
偉業を成し遂げるには時間がかかるという意味の「大器晩成」ですが、「大器」と「晩成」に分けて確認するとより意味が理解しやすくなるはずです。
「大器」は、大きな入れ物という意味の他に、並外れた才能や器量をそなえた人物を表す言葉です。
そして「晩成」は、年を取ってから成功することや普通より遅れて完成することを意味します。
「大器」と「晩成」、2つの言葉が組み合わさり、幼いころは成果を出せなくても大人になって才能を開花し成し遂げるという意味で使われます。
由来は中国の書物『老子道徳経』
「大器晩成」の語源は、中国で哲学者として活躍した老子が残した書『老子道徳経』の一文であるとされています。
そのフレーズは「大方無隅、大器晩成」で、鐘(つりがね)や鼎(かなえ)のような大きな器を完成させるには時間がかかることを意味します。
しかし、異なった解釈として『老子道徳経』における「大器晩成」は「大きすぎるものは完成しない」を意味するとされます。つまり、「大器晩成」がポジティブなニュアンスで使われるのは相応しくないとする意見です。
この説では、後に『三国魏志』の中で人を励ますシーンで「大器晩成」をポジティブな意味で用いていたことから、現在の意味を持つようになったとされます。
「大器晩成」の類義語・対義語
少しずつ頭角を現し、後に大きな成功を掴む「大器晩成」の類義語と対義語を確認しておきましょう。類義語や対義語を学ぶことで、言い換えが可能になったり、表現の幅を広げたりできます。
【大器晩成の類義語】
・大才晩成(たいさいばんせい)
・大本晩成(たいほんばんせい)
・遅咲き
【大器晩成の対義語】
・栴檀双葉(せんだんのふたば)
・啄木鳥の子は卵から頷く(きつつきのこはたまごからうなずく)
類義語は「大才晩成」「大本晩成」など
「大器晩成」の類義語としては、次の3つの表現をご紹介します。
「大才晩成(たいさいばんせい)」「大本晩成(たいほんばんせい)」は、優秀な人は年を取ってからその頭角を現すことを表します。また「遅咲き」は成功するまでに時間がかかることを表しています。
「大才晩成」の「大才」は優れた才能や器量、「大本晩成」の「大本」はものごとの根源となるものを指します。どの表現も才能の開花や成功までに時間がかかることを意味するため、「大器晩成」の言い換えとして活用できるでしょう。
対義語は「栴檀双葉」「啄木鳥の子は卵から頷く」
「大器晩成」の対義語として押さえておきたいのは、次の2つの表現です。
「栴檀双葉(せんだんのふたば)」とは成功を収める人は幼い時から優れていることを表します。また「啄木鳥の子は卵から頷く(きつつきのこはたまごからうなずく)」とは幼い時から将来を予見させる才能を秘めていることです。
上記2つの対義語は、どちらも幼い時から能力の片りんを見せている点で「大器晩成」とは異なります。
ただし、ポジティブな意味の「大器晩成」の対義語だからといって、マイナスな意味でのみ使われるわけではない点を認識しておきましょう。
「大器晩成」の使い方と例文
「大器晩成」の正しい意味を知った後は、適切な使い方を知るのが大切です。「大器晩成」は、主に次の2つのシーンで用いられます。
1.誰かを褒める時に使う
2.激励や慰めの言葉として使う
どちらの使い方でもポジティブなニュアンスを含んで使われるのが特徴です。また、表現を自然に使いこなすには多くの例文に触れることも重要でしょう。「大器晩成」の使い方のポイントと例文をご紹介します。
【使い方1】誰かを褒める時に使う
1つ目の「大器晩成」の使い方は、誰かを褒める際に用いる用法です。「大器晩成」を使って表現する人物には、才能があるということが前提になるため、ポジティブな意味を持った誉め言葉として利用できます。
例えば「自分の軸を曲げずに学生時代からコツコツ努力していた彼は、見事に【大器晩成】し同級生の誰よりも有名になった」のように使えます。
【使い方2】激励や慰めの言葉として使う
2つ目の使い方では、まだ成果が出ていないけれど、努力を続けている同僚や友人を勇気づける言葉として使えます。
「大器晩成」という言葉には、後に努力が報われ成功を収める意味があるため、先が見えず悩んでいる知人の背中を押してあげられるはずです。
例えば「この子は大器晩成タイプだね」というようにも使うことができます。