【例文】
・企画書を持ち込んだが、先方の対応は【けんもほろろ】だった
・しばらくの間飼い犬を預かってもらえないか相談したが、【けんもほろろ】な対応に心が折れてしまった
・知り合いの講師にセミナーでの公演を依頼したが【けんもほろろ】に断られた
・信頼できる先輩に、一緒に独立しないかという相談を持ちかけたが、【けんもほろろ】に断られてしまい、立ち直るのに時間がかかった
【目次】
「けんもほろろ」の類語4つ
「けんもほろろ」にはいくつかの類語があります。ここでは次の4つの類語をご紹介します。
1.にべもない
2.取り付く島もない
3.木で鼻をくくる
4.つっけんどん
いずれも愛想も素っ気もないというニュアンスを含み、相談や頼み事を無愛想に断る「けんもほろろ」と似た意味の言葉です。それぞれの言葉について、簡単な例文を交えながら意味を解説していきます。
にべもない
「にべもない」は、愛想がない様子をあらわす言葉です。「にべ」は魚の名前で、にべから仏具や漆器に利用する天然の接着剤である膠(にかわ)が作られます。膠は接着剤であるため、その原料である、にべも粘着性のあるものです。
「にべもない」、つまり粘着性を持たずくっつかないという意味から、あっさりした愛想のない様子をあらわすようになりました。人間関係を保つための親密さに欠けるさまを表現します。「発言したが、にべもなく遮られてしまった」というように使います。
取り付く島もない(とりつくしまもない)
「取り付く島もない」は「とりつくしまもない」と読み、相談や頼み事をしようとしても相手の対応が冷ややかで、とっかかりを掴めない状況をあらわします。
「取り付く島」は取り付きどころ、つまり頼りにしてすがるところという意味の言葉です。そのため、取り付く島もないというのは、すがることもできないほど冷淡な対応を受けたという意味になるのです。「取り付く島もないほどの対応を受けた」というような使い方をします。
木で鼻をくくる(きではなをくくる)
「木で鼻をくくる」は、「きではなをくくる」と読み、無愛想で冷淡なふるまいを指す言葉です。
もともと「木で鼻をこくる」といわれていたのが、「くくる」と誤用されて広まったといわれています。こくるとは「こする」という意味であり、昔は今と違い柔らかいティッシュではなく木で鼻をこすったり、かんだりしていました。しかし、決して心地よいものではありませんでした。
そこから不愉快な気持ちになる冷ややかな対応を指すようになったとされています。「木で鼻をくくったようなリアクションが返ってきた」などと使いましょう。
つっけんどん
「つっけんどん」も、無愛想なさまをあらわす言葉です。
「けんもほろろ」の由来の説の1つにも出てくる「慳貪(けんどん)」に、その意味を強調する接頭語の「突っ」がついたのが、「つっけんどん」です。慳貪の「慳」は自分だけの利益を求めるけちな心、「貪」はむさぼるという意味をあらわします。「つっけんどんな対応」という使い方をします。
まとめ
「けんもほろろ」は、頼み事や相談に対して無愛想に拒絶することを意味する言葉です。由来は諸説ありますが「けん」も「ほろろ」もキジの鳴き声であり、特に「けん」は慳貪のけんや剣突のけんと掛けた言葉だとする説が有力のようです。
室町時代末期には使われていたことが当時刊行された書物からも明らかになっており、現代語とは異なる、風情を感じる言葉といえます。「けんもほろろ」の意味や由来を理解して、正しく使いましょう。
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