「敷居が高い」の意味や注意点とは?
「敷居が高い」は、日常会話でもよく使う表現といえます。しかし、実は日本人の約半分が意味を勘違いしている言葉なのです。まずは、「敷居が高い」の本来の意味や、よくある誤用の例を紹介します。間違って覚えていないかチェックしてみてください。
意味
「敷居が高い」とは、「しきいがたかい」と読みます。辞書で意味を見てみると下記の通り。
不義理や面目のないことがあって、その人の家へ行きにくい。(<小学館デジタル大辞泉>より)
つまり、相手に失礼なことをしてしまったり、恥ずかしい姿をさらしてしまったりしたことが理由で、その人の家に行きにくい状態や、その人に会いにくい状態のことを指します。そもそも、「敷居が高い」の「敷居」とは、家の外と内を区切るために敷く木材のこと。家の門や玄関、部屋の境などに敷かれています。家に入る際には、「敷居」をまたがなければなりません。相手に合わせる顔がなく、「敷居」をまたぎづらい=「敷居が高い」という表現が使われるようになりました。
「敷居が高い」は誤用が多い?
「あのお店は高級な雰囲気だから、敷居が高いよね」こうした表現を使ったことはありませんか? 「敷居が高い」を、「高級すぎたり、上品すぎたりするために、気軽に行きにくい」という意味で覚えてしまっている人もいます。
冒頭で、「敷居が高い」とは、無礼や失態などの理由で相手の家に行きにくいことと説明しました。そのため、前述した表現は誤用といえます。実際に、令和元年に文化庁が調査した「国語に関する世論調査」では、約半数の人が、本来ではないほうの意味で解釈をしているという結果となりました。
しかし、2018年に出版された『広辞苑 第七版』では、「高級なために入りにくい」の意味も追加され、正式な意味として扱われるようになっています。ただし、辞書によっては、「高級なために入りにくい」の記載はまだないものが多いのも現状。「高級なために入りにくい」を表現したい時には、「ハードルが高い」などに言い換えたほうが無難かもしれません。
そのほかの誤用例には、「敷居が低い」もあります。「敷居が高い」を「気軽に行きにくい」と覚えてしまっている場合、「気軽に行きやすい」ことを「敷居が低い」と表現しがち。しかしこれも、あまり使われる表現ではないため、避けたほうがよいでしょう。
使い方を例文でチェック!
「敷居が高い」の意味を理解したところで、使い方を見ていきましょう。日常生活で使える表現ばかりなので、参考にしてみてください。
「前回、先方の名前を間違って呼んでしまったから、明日の訪問は敷居が高い」
「敷居が高い」は、相手に負い目を感じている時に使う言葉です。この例文では、相手の名前を間違えてしまうという、失礼なことをしてしまったために、気まずい状態になっていることを表しています。ビジネスシーンで名前を間違うのは御法度。相手が怒っていないか、不安に思う気持ちが伝わってくる一文です。
「年賀状の返事を書くのを忘れてしまったから、敷居が高くなってしまった」
「敷居が高い」は、前述したように不義理な行いが理由にもなることも。年賀状が届いたら返信をするのがマナーですが、返信を忘れてしまった場合は、義理を欠いてしまっているともいえます。申し訳なさを感じ、次に会うのをためらってしまうという気持ちをあらわした例文です。
「子どもは授業中も不真面目な態度をとっているらしく、保護者面談で先生に会うのは敷居が高い」
「敷居が高い」は、自分自身の行為だけではなく、身内の人の行為が原因の場合でも使うことができます。この例文では、授業中におしゃべりばかりしていたり、寝てしまっていたりと、子どもの不真面目な行動が原因のケースです。「先生に会ったら、注意されるんだろうな…」と、危惧している様子がうかがえます。
類語や言い換え表現とは?
「敷居が高い」の類語には、「門を塞ぐ」「気後れ」「頭が上がらない」などがあります。それぞれ意味を解説していきますので、しっかり押さえておきましょう。