取り付く島もない(とりつくしまもない)
「取り付く島もない」とは、航海に出た船が立ち寄り先の島を見つけられず、途方にくれる様子をたとえた言葉です。
頼りにしてすがる手がかりがないという意味から転じて、話をする取っ掛かりを見つけることもできないほど無愛想でつっけんどんな態度、という意味で使われるようになりました。「取り付く島もないほど冷淡な態度だった」などと使います。
木で鼻を括る(きではなをくくる)
「木で鼻を括る」は「きではなをくくる」と読み、そっけない冷淡な態度を意味する言葉です。もともと「木で鼻をこくる」という言葉で、「こくる」とは「こする」という意味です。
今のように柔らかいティッシュが存在しない時代には木で鼻をかむことがありました。それが硬くて不快であったために、不快な気持ちになる冷たい態度、という意味で使われるようになったといわれています。
【目次】
「にべもない」の対義語2つ
ここまで、「にべもない」の類語をご紹介してきましたが、反対の意味をもつ対義語も確認していきましょう。今回は「にべもない」の対義語として、「気を回す」「如才ない」の2つの言葉について解説します。それぞれ愛想が良かったり、人の気持ちを察したりと、相手に寄り添うニュアンスがあり、「にべもない」とは対照的な意味であることがわかります。
【対義語1】気を回す(きをまわす)
「気を回す」とは、相手の気持ちを察知して先回りして考えることを意味する言葉です。ビジネスシーンにおいては、指示を受けなくてもこれまでの経験などから最適な行動を取る事ができる人を指します。
ただし、あれこれと余計なことまで心配したり想像したりするというように、ややネガティブな意味も含むといえるかもしれません。
【対義語2】如才ない(じょさいない)
「如才ない」は「じょさいない」と読み、人や物に対して抜かりがなく手落ちがないという意味の言葉です。いい加減さがないことから褒め言葉として使われます。仕事の場面では「如才ないとは思いますが」などと、最終確認を依頼する際にも用いられます。
ただし、「人に取り入るのが上手い」というように皮肉を込めて使われることもあるようです。
まとめ
「にべもない」とは、愛想がなく冷淡であるという意味で使われる言葉です。「にべ」とは魚の名前であり、浮き袋を煮詰めると強力な接着剤が作られることが言葉の由来です。
粘着性がない、つまり人間関係を維持するための執着や粘着性に欠け、相手をどうでもよく思う気持ちが出てしまっているさまを表します。
「にべもない」に関連して、そっけないという意味をさらに強調した「にべもしゃしゃりもない」という言葉もあります。「にべもない」の類語には「けんもほろろ」「取り付く島もない」「木で鼻を括る」が、対義語には「気を回す」「如才ない」などがあるため、あわせて覚えておくとよいでしょう。「にべもない」の由来や意味を理解して、正しく使いこなしましょう。
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