プレゼンテーションとは何を指すのか?
まずは、プレゼンテーションの意味や使い方、語源となった単語を紹介します。意味がつかめれば、プレゼンテーションに求められている要素が理解できるようになるはずです。
意味と例文を紹介
一般的にプレゼンテーションというときは、ビジネスシーンで、売り込みたい商品や企画について発表・提案・説明することを指します。
プレゼンテーション(presentation)
1 計画・企画案・見積もりなどを、会議で説明すること。プレゼン。
2 フィギュアスケートの旧採点基準の一。プログラム構成、音楽との適合、演技、独創性など芸術的側面を採点するもの。芸術点。
[補説]2は、アーティスティックインプレッションからこの名称になったが、その後PCSへと変更された。
引用:小学館 デジタル大辞泉
たとえば、以下のような使い方が考えられます。
【例文】
●初めてのプレゼンテーションで、何から手を付ければよいのか困っている
●彼のプレゼンテーションは素晴らしかった
単なる発表との違いは、説明する側の一方的な情報伝達ではなく、顧客のニーズをくみ取る双方向的なコミュニケーションである点といえます。
語源はプレゼント
プレゼンテーションの語源は、英語の他動詞「プレゼント(present)」のようです。他動詞のプレゼントは「(人やもの、賞などを)贈る」「(相手が検査・検討できるように書類や提案を正式に)提示する」といった意味です。
プレゼントを名詞化した英語のプレゼンテーション(presentation)は、提案以外に、贈呈(式)や社交界デビューといった使い方もされます。
プレゼントという語源を考えても、プレゼンテーションは、相手のニーズや要望をよく考えて提案するものだと分かりますね。
プレゼンテーションの目的とポイント
どうすればプレゼンテーションが成功したといえるのか、それを理解するには、プレゼンテーションの目的を押さえなければなりません。そこから導き出される、話し手の基本スタンスも見ていきましょう。
ゴールは聞き手に行動を起こしてもらうこと
プレゼンテーションの目的は、情報を伝えることそのものではなく、相手の心を動かし行動を起こしてもらうことです。
そのため、相手にどのような行動を起こしてほしいか、具体的に設定することがポイント。構成や資料作成、人前での発表方法は、全て具体的目標につながっている必要があります。
プレゼンテーションは、理解してもらうことがゴールの「発表」と異なり、相手の行動を促すための工夫が必要です。事前準備の段階で、目標を見失っていないか、ときどき振り返って確認すると成功しやすくなるでしょう。
問題解決を手伝うというスタンス
相手に動いてもらうには、行動を起こしたときのメリットを、具体的に伝えることが有効といえます。できれば最初にアピールすると、相手を話に引き込みやすくなるでしょう。起こしてもらいたい行動に必要な情報もあると親切です。
たとえば、求人サイトを利用してほしいなら、サイトのURLや登録方法も付け加えます。
プレゼンテーションによって相手を動かすには、自分たちの要求を呑んでもらうのではなく、相手の悩みを解決し、ニーズを満たすサポーターの視点を持つ必要があるといえるでしょう。
プレゼンテーション資料を準備するコツ
プレゼンテーションの目的が分かったら、次は事前準備です。準備に必要な情報収集や、資料の書き方、リハーサルのコツを紹介します。
まずは相手のニーズや問題を知る
相手の心を動かすプレゼンテーションをするには、聞き手と問題点を共有することが重要です。現状分析をするためにも、事前アンケートなどのヒアリングを行うとよいでしょう。
相手がどのような職種・立場か分かれば、予備知識に合わせた伝え方に期待ができます。どのような興味・考え方を持つかで、相手の認識を変える効果的な切り口も見えてくるはずです。
また、プレゼンテーションが終わった後のフォローアップもヒアリングの一種。改善点が分かると、次に生かすのに役立ちます。
結論・重要なことから先に書く
プレゼンテーションの構成や資料を作るときは、初めに「こうすれば問題解決できる」といった結論を伝えるのがポイントです。一番主張したいことがはっきりする上、「このプレゼンテーションは自分にとって聞く価値がある」と興味を持ってもらいやすくなります。
結論に至るまでの道筋は、構成の型を使うと無駄なく説明できます。「序論・本論・結論」や、PREP法の「結論・理由・具体例・結論」を用いるのが一般的です。
説得力が増す図表や具体例も大切ですが、重要事項が見落とされないように、必要な要素だけに絞った構成を心掛けることをおすすめします。
質問を想定しリハーサルする
本番で自信を持って話すためには、リハーサルが大切です。相手が疑問に思う点や、詳しく聞きたくなることも、予測して回答を用意しておきます。
知り合いの前で練習する、録音・録画を活用するなど、自分に合ったやり方でリハーサルをくり返しましょう。表情や声の調子、進行速度、スライドの使い方も練習が必要です。
本番では暗記に頼りすぎると、忘れてしまったときに慌ててしまいかねません。トーク用のメモは、忘れてはならないポイントや、大まかな流れだけを書いて、話ながらときどき見直すのがおすすめです。
プレゼンテーションでの話し方のコツ
いよいよプレゼンテーションの本番となれば、緊張してしまうのが通常です。準備してきた内容をうまく伝える話し方のコツを、三つ挙げて紹介します。
専門用語を使わず分かりやすく話す
分かりやすいプレゼンテーションとは、相手が一度で理解できるように話すことといえます。
たとえば、特に聞いてほしい部分の前に「ここは重要です」など、予告や強調を入れると聞き手の集中力が高まります。具体的な数字やエピソードも、印象に残りやすく効果的です。
専門家でなければ、専門用語やビジネス向けのカタカナ語は要注意です。カタカナ語というのは、エッセンシャルワーカーやコンセンサスといった、外来語をカタカナにした言葉が挙げられます。
スムーズに理解できない単語があると、話の内容から相手の意識がそれてしまいかねません。できるだけ簡単な日本語を使い、難しい単語を入れる場合は、一言解説を入れると伝わりやすくなるでしょう。
聞き取りやすい声の大きさと速さで伝える
相手が話に集中できるように、大きめの声ではっきりと発音することが大切です。語尾まできちんと聞き取れるように心掛けて話しましょう。
特に、聞き手が何人もいるシチュエーションでは、耳を澄まさなくても楽に聞き取れるスピードを意識します。相手が話を飲み込むための間を取ることもポイントです。
相手に質問を投げ掛けて、考えさせるというテクニックも一つの方法。一方的に話をするのではなく、双方向のコミュニケーションが取れるよう意識することが重要です。
思いを込めて笑顔で語る
話し手の熱意は、相手の感情を動かすポイントの一つです。聞き手の一人一人と適切なアイコンタクトを取ることや、朗らかな表情は、相手を話に引き込み信頼関係を築くのに役立ちます。
使い過ぎは逆効果ですが、強調したい場面はジェスチャーを使うことも話を盛り上げる要因の一つです。たとえば、見てほしい部分を指さしたり、驚きやインパクトを手ぶりで表現したりするなどのジェスチャーが取り入れやすいでしょう。
説得力を持って話すためには、事前のリハーサルを十分行い、自信を持ってプレゼンテーションできるようにしておくことが大切です。
メイン・アイキャッチ画像:(c)AdobeStock
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