「アプローチ」の意味とは? 例文も紹介
さまざまな意味を持つアプローチという言葉は、ビジネスシーンでもよく使われる言葉です。例文とともに、アプローチの使い方を紹介します。
意味は「接近する」「取りかかる」など
アプローチ(approach)は、「接近」「着手する」などの意味を持つ英単語です。日本で使われるカタカナ語のアプローチも、英語とほとんど同じ意味で「取りかかる」という意味でも使われています。
アプローチ(approach)
[名](スル)
1 近づくこと。接近。
2 対象とするものに迫ること。また、その方法。「宗教研究に社会学的にアプローチする」
3 建物・施設への導入路。
4 陸上やスキーのジャンプ競技で、スタートから踏み切りまでの間。また、その助走。
5 ゴルフで、グリーン近くからの寄せ打ち。
6 登山口、または登攀とうはんルートの取り付きまでの行程。
引用:小学館 デジタル大辞泉
「接近」と「接近する」の両方の意味を表すように、名詞と動詞で使われているのが特徴です。日本語の場合も同様に「~なアプローチ」のような名詞的用法と「アプローチする」という動詞的な用法とがあります。
近づくという意味合いから「好きな人にアプローチする」などの使われ方も一般的でしょう。似たような意味を持つ言葉には「コンタクト」「モーション」などがあります。
ビジネスにおけるアプローチの意味と例文
ビジネスシーンでは、交渉を始めたり新たな提案を持ち掛けたりすることをアプローチと表現する傾向にあります。問題を解決するために、自ら相手に接近するという意味で使われるのが一般的です。
「契約成立を目指してアプローチを試みる」のように、取引や契約の申し入れをする際にもアプローチが使われます。交渉がスムーズに進まないときは、「アプローチの方向性を考える」のように使います。
また、業務に着手することを「アプローチする」と表現する場合もありますが、文脈によって異なる意味を表す言葉なので、使われている場面によって意味を見極めることが大切です。
「アプローチ」を使ったビジネス用語
アプローチという言葉は、他の言葉と組み合わせて使われることも少なくありません。ビジネスの場でよく耳にする、アプローチから派生した言葉を紹介します。
「マスアプローチ」不特定多数に向けた広告
マーケティング用語では、不特定多数のターゲットに向けたアプローチ方法をマスアプローチと呼びます。新聞・テレビ・Web上などの広告は、多くの人の目に触れるマスアプローチの一つです。
対義語には「パーソナルアプローチ」があり、こちらは個人に向けてマンツーマンでの提案を行うことがほとんど。営業担当の社員が実際に相手を訪問し、直接アプローチします。
パーソナルアプローチは契約につながりやすく、マスアプローチは大勢に提案を見てもらえる傾向にあります。どちらも営業の手法として使われるビジネス用語ですが、それぞれ異なるメリットがあります。
「トータルアプローチ」総合的な手法
トータルアプローチは「総合的な」「全体的な」という意味のトータル(total)と、アプローチを組み合わせた言葉です。化粧品の宣伝などで見かけたことがある人も多いのではないでしょうか。
トータルアプローチは「目標に対して総合的な手法で取り組む」という意味合いを持っており、幅広い場面で使われます。一つの方法ではなく、視野を広げてさまざまな方法を試そうとする考え方です。
業種によっては、OA化を進めることを意味する場合も。事務作業などの業務を自動化することは、会社全体の業務を効率化する総合的なアプローチでもあるといえるのです。
「ファーストアプローチ」最初の声かけ
アパレル業界などの接客業では、入店した顧客に対する最初の声かけをファーストアプローチといいます。最初の声かけは、そのブランドや店員に対する第一印象を決める重要なものです。
ファーストアプローチが成功するかどうかは、顧客が商品を買ってくれるかどうかにも大きく関わっています。そのため、アパレル業界では効果的な声かけを考えて練習するのが一般的です。
商品を手に取るなど、興味がありそうな顧客には再び話しかけて話題を広げる必要があります。こちらはセカンドアプローチといい、アパレル業界でよく使われている手法の一つです。
問題解決のためのアプローチ方法とは
アプローチという表現は、仕事上の問題を解決するときに使われます。どのように問題に向き合うのか、覚えておきたいアプローチの方法を紹介します。
現状を正しく把握する
問題を対処するには、実際に何かを始める前に、今どのような問題を抱えているかをきちんと確認することが大切です。現状について改めて見直し、何が一番重要なのかを理解する必要があります。
問題が何かをはっきりさせないまま対処しようとしても、効果的なアプローチにつながらない可能性があります。問題となるものを明確にすると、その原因を洗い出しやすくなる点がメリットです。
また、解決すべき問題が多岐にわたっている場合は、どれから着手するかを考えます。複数の問題を一度に解決しようとせず、まずは一つに絞ることも重要です。
原因に応じてアプローチ方法を考える
解決したい問題を一つに絞ったら、何が原因でその問題が起こっているかを考えていきます。問題を分析するときは、課題や原因と思われるものをなるべく多く挙げていくのがポイントです。
問題を細かく分解して、いくつか課題が見つかれば、それに応じた対策を考えやすくなります。根本的な原因が分かれば何をすればよいかが明確になるため、適切なアプローチ方法が見つかりやすくなるでしょう。
最初からアプローチの方法を限定するのではなく、まずは問題を分かりやすく整理することが重要といえます。
実行後の振り返りがポイント
アプローチ方法を考え、実践した後は、実際に結果が出たかどうかを確認することも大切です。どのような変化が生じたかを分析し、問題が解決できたかを話し合って確かめます。
問題がうまく解決できた場合は振り返りを行い、解決までの流れを記録することも重要です。あまり効果が出ていなければ、別のアプローチを考えるのが得策といえます。
新しいアプローチ方法を探るためにも、実行後の振り返りは欠かせない作業です。どのような結果が出たかを測定し、データを分析して今後の問題解決に生かしましょう。
業界別「アプローチ」の使い方を覚えよう
アプローチは複数の意味を持っている言葉ですが、使われる業界によってはまったく異なる意味を表すことも。それぞれの業界ごとに、アプローチの使われ方を解説します。
建築・不動産業界
アプローチには「接近する」以外にも「門からドアまで続く道」という意味があります。建築や不動産関係ではこちらの意味合いで使われることの方が多い傾向にあるようです。
玄関前に作られた空間を玄関ポーチといいますが、アプローチと玄関ポーチは異なるものです。ひさしがかかっているスペースが玄関ポーチであり、アプローチはあくまでも通路を指しています。
門がある家では、門をくぐってすぐに目に入るアプローチは家全体の印象を左右する場所です。そのため、敷石やタイルなどを使ってデザインにこだわる人も数多く存在します。
スポーツ業界
ゴルフやサッカーなどのスポーツでは、特定の戦術や技術を指す用語としてアプローチが使われているのが特徴です。ゴルフでは、グリーンの周辺からピンにボールを寄せる技術をアプローチショットといいます。
サッカーの守備では、相手からボールを奪うために近づくことにもアプローチという言葉が使われます。アプローチには接近という意味があるため、このような使われ方をしているようです。
一方で陸上やスキーのジャンプ競技では、スタートから踏み切りまでのことをアプローチといいます。スポーツ用語のアプローチは、競技によって異なる意味を持つことに注意が必要です。
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