「看做す」の意味とは?
「看做す」とは、「みなす」と読みます。やや難しい漢字なので、近年ではひらがなで「みなす」と表記されることが多いです。
意味を辞書で確認してみると、以下の通りです。
1 仮にそうと見る。そうでないものをそうとする。仮定する。2 判断してそうと決める。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「看做す」には、「瓢箪を花入れとして看做す」というように、実際そうでないものを仮定するという意味があります。また、「これ以上遅刻が増えれば、欠席と看做す」というように、「判断する」という意味で使われることが一般的です。
これ以外にも、「見とどける」「世話をして育てる」という意味も。平安時代の小説『源氏物語』では「命長くて、なほ位高くなどみなし給へ(長生きして私の位が高くなるのを見届けてください)」という一文があります。やや古風な意味合いなので、現代ではあまり使う機会はないでしょう。
次に「看做す」の漢字の意味を読み解いていきましょう。「看」は、「対象をよく見る、見守ること」。「看護」や「看病」という熟語にも用いられます。「做」は「作」の俗字とされ、「なす、あえてそうする」という意味です。このことから「看做す」は、あえてそう見立てることを表します。
「看做す」と「見做す」の違いはある?
「看」と「見」どちらも「見る」をことを表しているため、「看做す」と「見做す」の意味に違いはありません。
公用文作成の際には「做」が常用漢字表にない漢字であるため「みなす」とひらがなに書きかえるように各行政機関に通達されています。「看做す」と「見做す」どちらにするべきか迷った際には、公用文における漢字使用に倣って「みなす」とひらがなで書くのが良いでしょう。
使い方を例文でチェック!
ビジネスシーンにおいて「看做す」は、「判断する」という意味として使われることが多いです。主な使い方をチェックしてみましょう。
ここに車を止めた場合、駐車違反と看做します
この例文では、「判断する」という意味合いで「看做す」が使われています。禁止区域での路上駐車は、駐車違反と看做されても仕方ありません。法律違反にまつわることでも、「看做す」は使用します。
時間になっても連絡が来ないので、彼女はここにいないものと看做して話を進めよう。
「看做す」は、「〜と看做して」という使い方もあります。この例文では、「彼女はここにいないものと判断して」という意味合いで用いられています。ビジネスシーンでは、遅刻やミスをした結果、周囲から「信頼できない人」として判断されてしまうこともあるでしょう。
類語や言い換え表現とは?
「看做す」の類語には、「推定する」「見立てる」「目する」「擬する」などが挙げられます。どのような点が「看做す」と類似しているのかに着目してみましょう。
推定する
「看做す」は、意味合いによって「推定する」と言い換えることもできます。「推定」の意味は以下の通りです。
ある事実を手掛かりにして、おしはかって決めること。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
おそらくそうだろうという予測をもとに、何かを決めることを「推定する」と言います。例えば、研究者がこれまでの実験結果に基づいて、ある予測を立てることも「推定」といえるでしょう。あくまでも仮の考えなので、事実とぴったり一致するという意味はありません。
《例文》
・気象庁はこの間起きた地震を震度6強と推定した
見立てる
「見立てる」の意味は、以下の通りです。
別のものになぞらえる。仮にそのものと見なす。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
あえて別のものになぞらえることを「見立てる」と言います。日本文化には、庭園の岩を山とみなしたり、白砂を川と捉えることを「見立て」と呼び楽しむ、独自の美意識があります。
《例文》
・市街の中央を流れる川を、京都の鴨川に見立てる
・今回の交渉は難航すると考えているけど、君の見立てはどう?と聞かれた