「家鴨」の読み方とは?
「家鴨」は「あひる」と読みます。そう、あの「あひる」のことです。辞書で「家鴨」を調べてみましょう。
マガモを飼いならしてつくられた家禽(かきん)。紀元前に中国とヨーロッパで別々に家禽化されたという。肉用・卵用・卵肉兼用など、20種ほどの品種がある。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
家禽とは人が野生の鳥を品種改良したもので、肉や卵、羽毛などを得るために飼育されている鳥のこと。ペットとしての鳥とは異なります。
■「家鴨」の語源や由来とは?
「家鴨」の語源や由来にはいくつかの説があります。水掻きのついた大きく広い足を持つことから「足広(あしひろ)」とされ、そこから転じて「家鴨」になったというのが有力な説です。また漢字表記については、マガモを家禽化したことから「家鴨」と表すようになったとされています。
「家鴨」を使ったことわざ、慣用句とは?
ことわざや慣用句の中に「家鴨」が使われているものがあります。それぞれの意味をチェックしていきましょう。
・「家鴨の火事見舞い」
「家鴨の火事見舞い」の意味を辞書で調べてみると以下のようにあります。
背の低い人が尻を振りながらあわてて歩く姿をたとえていう。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「火事見舞い」とは、自宅が火事や災害にあった人に手紙や金品を送ること。その昔は、被災した人に飲食物など、生活に必要なものを急いで届けたそうです。
・「家鴨も鴨の気位」
「家鴨も鴨の気位」とは、「そんなに大した者でもないのに、高い気位をもっていること」をいったもの。容姿があまり良くない「家鴨」が、鴨のような気位でいるということをたとえています。
・「鵠を刻して家鴨に類す」
「鵠を刻して家鴨に類す」の意味は以下の通りです。
白鳥を刻もうとしてできそこなっても、なお、家鴨に似たものにはなる。謹直の人を学べば、それに及ばなくても、善良な人になれることのたとえ。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「鵠を刻して家鴨に類す」は後漢の歴史を記した書、『後漢書』に登場する一文に由来します。「鵠」とは「白鳥」のこと。皆から尊敬されるような偉大な人の真似をしても及ばないかもしれないが、似たものにはなれる、ということをたとえていったものです。
・「家鴨の脚絆」
「家鴨の脚絆(きゃはん)」の意味を調べてみると以下のようにあります。
家鴨の足が短いところから、物の短いことのたとえ。(<小学館 デジタル大辞泉>より)
「脚絆」とは、労働時や長時間歩行する際に脛に巻くもの、ゲートルともいいます。
「家鴨」はどんな生き物?
「家鴨」はどんな生き物なのでしょうか? 特徴や種類などをみてみましょう。
■「家鴨」の特徴
「家鴨」はカモ科のマガモ属に属し、学名は「Anas platyrhynchos domesticus」、英語名は「Domestic Duck」といいます。成鳥した「家鴨」の体長は、50~80cm、体重は3~5kg。ヒナのときは全身が黄色く、成長すると体の表面は真っ白になります。丸みを帯びた動体に乙の字に伸びた長い首が特徴的。黄色いくちばしと、オレンジ色の水掻きをもちます。
・オスとメスの見分け方は?
「家鴨」のオスとメスは、尻尾をみると見分けることができます。オスは尻尾の先がクルンとカールしているのが特徴。尻尾の先が真っ直ぐ伸びているものはメスです。
・「家鴨」は飛ぶことができるの?
「家鴨」は数メートル程度なら飛ぶことができます。羽はついていますが、他の鳥のように高く遠くへは飛ぶことはできません。飛ぶことができない理由は、大きい体に対して羽が小さいからです。または家禽として飼われていたため飛べないように品種改良されたという説もあります。
■「家鴨」の生態とは?
「家鴨」の生態を見ていきましょう。
・生息地は水辺
「家鴨」は水鳥であるため、川や湖など淡水域で生息していることが多いですが、海で生息することも可能です。
・繁殖期は?
「家鴨」は春から秋にかけて繁殖期を迎えます。年間を通して150~200個の卵を産むのが特徴。「家鴨」は生後6~7か月で卵を産むようになり、2~3年経つと産卵はしなくなるようです。
・寿命は?
平均的な「家鴨」の寿命は10~20年だといわれています。しかし、ペットとして飼われている「家鴨」の方が病気やストレスが多く、寿命が短くなるといわれています。
・何を食べる?
「家鴨」は雑食です。基本的に与えたものは何でも食べます。水辺にいる野生化したものは、小型の昆虫や土壌動物などを食べます。
・天敵は?
「家鴨」の天敵にはイタチやキツネ、タヌキやモグラが挙げられます。
「家鴨」は飼うことができる?
水鳥である「家鴨」は、水浴びができる環境が必要です。そのような環境を整えることができれば、ペットとして飼うことができます。「家鴨」は人懐っこく、攻撃性もほとんどありません。さらに犬や猫など、他の動物とも比較的仲良く暮らせることからペットとして飼う人も少なくないようです。
■飼うのに適している「家鴨」の種類は?
ペットとして飼うのに適している「家鴨」の種類は「シロアヒル」、「コールダック」、「アオクビアヒル」です。
・「シロアヒル」
日本で最もみかける種類が、この「シロアヒル」。カモを家禽として品種改良したものです。全長は約60cm、重さは3~5kg低度。真っ白い体が特徴です。人懐っこい性格で、飼い主にもよく懐きます。卵からかえった直後に見た動物を親だと思い、あとを追ってくる「刷り込み」がみられ、卵から育てるとよく懐くでしょう。また見覚えのない人が近づくと鳴く習性があるため、番犬のような働きをすることもあります。
・「コールダッグ」
「コールダック」は、体長は約30cm、重さは600g~1kgの世界最小の「家鴨」です。小さくぽっちゃりとした体は真っ白で、つぶらな瞳に黄色いくちばしをもちます。小さく軽いため活発に動き回るでしょう。賢く人懐っこい性格をしているため、意思疎通ができるようになることもあるようです。
・「アオクビアヒル」
「アオクビアヒル」は、海外から入ってきた「家鴨」を日本で品種改良されたものです。外見はマガモと瓜二つ。見分け方は、「アオクビアヒル」はマガモよりもひと回りほど大きいという点です。体長は約60cm、重さは3~4kg。個体差はありますが、オスの頭は光沢のある緑色をしており、首には白いラインがあります。メスは全体的に褐色をしており黒い斑点模様があるのが特徴です。
最後に
「家鴨」は「アヒル」と読むことがわかりました。丸みのある体に、フリフリとお尻を振って歩く姿は何とも愛らしいですよね。可愛らしい姿と人懐っこい性格で最近ではペットとして飼われる方もいるようです。水浴びができる環境があって、人と違ったペットを飼いたいと思われたら、「家鴨」を飼われてみてはいかがでしょうか?