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難漢字

2022.01.07

【読めたらすごい難読漢字】〝蹈鞴〟←なんと読む? ヒントは、ジブリ作品にも出てきた「蹈鞴場」

「蹈鞴」とは金属を精錬する送風装置、またはその装置を用いた砂鉄精錬炉を意味する言葉です。日本の古代から近世の製鉄方法はたたら製鉄と呼ばれます。今回は「蹈鞴」の意味や「たたら製鉄」の歴史をご紹介します。

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「蹈鞴」とは金属精錬の送風装置または精錬炉のこと

「蹈鞴」という言葉を、はじめて目にするという人も少なくないでしょう。読み方を知らなくても、漢字の意味から連想して当てられる場合もあります。でも「蹈鞴」については、それぞれの漢字も日常的に使うものではありません。読めたらすごい難読漢字である「蹈鞴」、はたして何と読むのでしょうか?

蹈鞴

正解は……【たたら】でした!

【蹈鞴:たたら】1足で踏んで空気を送る大形のふいご。鋳物師が用いる。
2(「鑪」とも書く)1の装置をした砂鉄精錬炉。〔慣用句〕踏鞴を踏む

「蹈鞴」とは「たたら」と読み、金属を精錬する送風装置、またはその装置を用いた砂鉄精錬炉を指す言葉です。

「蹈鞴」の「鞴」は「ふいご」と読む、金属精錬のための簡単な送風装置の名称です。そして「蹈」は音読みでは「トウ」「ドウ」、訓読みでは「ふむ」と読む、「踏む、足踏みをする」という意味をあらわす言葉です。「踏」は蹈の書き換え字です。

つまり「蹈鞴」は「足踏み式ふいご」で、鋳鉄溶融用の炉に送風するために用いられた装置を意味します。そこから、さらに足踏み式ふいごを使った砂鉄精錬炉のことも「蹈鞴」と言うようになりました。

「たたらを踏む」という言葉も「蹈鞴」が由来

「たたらを踏む」という言葉には意味が2つあります。そのうち一般的に良く使われる意味は、勢いよく踏み出したものの、そこにあると思っていた足場がないので勢い余ってよろよろと数歩ほど進んでしまうことです。

あると思っていた足場がなくよろめいて数歩進んでしまう姿が、「蹈鞴」を勢いよく踏む様子に似ていることから、このように空足を踏むことを「たたらを踏む」と言うようになったといわれています。

なお、たたらを踏むの意味の1つ目はそのまま「蹈鞴を踏んで空気を送る」ことです。
大辞泉に記載されている意味を確認しておきましょう。

【踏鞴を踏む:たたらをふむ】
1たたらを踏んで空気を送る。
2 勢いよく向かっていった的が外れて、から足を踏む。

「蹈」を含む「蹈襲」

「蹈鞴」は踏む、足踏みをするという意味の蹈という文字から始まります。同じように蹈から始まる言葉には、「蹈襲」があります。

蹈襲」は「とうしゅう」と読み、前例を引き継ぐという意味の言葉です。ビジネスシーンでも良く使われるため、覚えておくと役に立つはずです。蹈には踏むなどの意味がありますが、「前人が開いた道を踏む」へと転じ、そこから「従う」という意味が生まれたとされます。

「蹈襲」の「襲」は「おそう」という言葉の印象が強いですが、「世襲」という言葉があることからわかるように、「継ぐ」という意味もあります。

同じような意味の漢字である蹈と襲を組み合わせ、前人に従い、そのやり方を引き継ぐことを意味する言葉になりました。「蹈襲」するを用いた例文を挙げますので、使う際には参考にしてみてください。

【例文】
・ひとまず、前任者のやり方を【蹈襲】することにした
・必ずしもこれまでの手法を【蹈襲】することを求められているわけではない

【踏襲/×蹈襲:とうしゅう】前人のやり方などをそのまま受け継ぐこと。「前社長の方針を―する」
〔類語〕相続、相承、承継、継承、後継、世襲、受け継ぐ、引き継ぐ

「たたら製鉄」の歴史としくみ

ここからは、日本古代から千年余にわたって続いてきた製鉄法である「たたら製鉄」について、古代から現代までの変遷と、そのしくみについて解説します。意外に知られていない、日本における製鉄の歴史を見ていきましょう。

蹈鞴

当初、精錬炉は屋外にあり「野だたら」と呼ばれていましたが、17世紀頃から屋内に場所を移し、高殿(たかどの)と呼ばれる大型の建家のなかに作られ始めます。この頃から、高殿をたたらとあらわす例も見られるようになりました。

そして近世の文書にあるたたらは「鑪」と表記され、製鉄所全体を指すようになり、さらに現在では「たたら製鉄」のように製鉄技術全体を意味するようになっています。

古代から現代までの変遷

日本では5世紀から6世紀頃にかけて本格的に鉄が作られ始め中世には、質の良い砂鉄が取れる中国地方に集中するようになります。製鉄法が確立され、箱型の炉も大型化していきました。

近世には、川の上流から砂鉄入りの岩石を流し、比重の違いで効率的に採取する「鉄穴流し」(かんなながし)が発明されます。そして江戸時代になると、片方を踏みこむともう片方が上がる、シーソーのような天秤鞴(てんびんふいご)が開発されました。これにより送風できる量が増え、また番子(ばんこ)と呼ばれた作業する人々の負担が軽減され、結果的に鉄の生産量だけでなく質の向上にも寄与しました。この当時、出雲から輸出された鉄は東アジアの約7割を占めていたとされます。

こうして幕末から明治初期にかけてピークを迎えるたたら製鉄ですが、開国後、西洋式製鉄が入ってきたため急速に衰退。日本刀の作成に必要な、たたらで精製された玉鋼(たまはがね)も底を尽きます。しかし、1977年に「日刀保たたら」(にっとうほたたら)が開設され「たたら製鉄」が現代に蘇りました

「たたら製鉄」のしくみ

たたら製鉄」は現在、日刀保たたらでのみ見ることができます。日刀保たたらは江戸時代の中期に成立した「近世たたら」と呼ばれる製鉄法を採用。粘土製の炉が中央に、両側に天秤ふいごが配置され、炉の下には「床釣(とこつり)」という地下構造があります。砂利や花崗岩(かこうがん)が風化した真砂土(まさど)、粘土などを重ねた床釣には、断熱と湿気をシャットアウトする効果があります。

「もののけ姫」にも出てくるたたら場

「たたら場」は、スタジオジブリの国民的アニメーション映画「もののけ姫」に、重要な鍵を握る場所として登場します。「蹈鞴」という言葉は知らなくても、もののけ姫の「たたら場」は聞いた事があるという人もいるでしょう。

もともと足踏みふいごを意味した「蹈鞴」は、やがて製鉄所や製鉄技術をあらわすようになったことは、既にお伝えしたとおりです。もののけ姫の「たたら場」でも武器の材料をつくる鉄を作っています。「たたら場」では自然を利用して鉄を作り、鉄から作った武器でもののけを攻撃していたため、怒りや憎しみによってタタリ神が生まれる原因となっていました。

呪いをかけられていた主人公の少年アシタカは、「たたら場」でエボシという女性に出会い、呪いの正体を知ります。そして、人間ともののけの戦いに巻き込まれていきました。もののけ姫の「たたら場」は、奥出雲地方のたたらをモデルにしているとされています。「蹈鞴」の由来を知ったうえで改めてもののけ姫を観ると、また違った角度から楽しめるかもしれません。

「蹈鞴」の意味を知り造詣を深めよう

蹈鞴」とは、金属を精錬する送風装置である足踏み式ふいご、またはその装置を用いた砂鉄精錬炉を指す言葉です。やがて製鉄所や、製鉄技術全体のことも意味するようになりました。あると思っていた足場がなく、よろめいて数歩進んでしまう姿を「たたらを踏む」といいますが、この言葉も「蹈鞴」が由来です。「蹈鞴」の意味や古代からの製鉄の歴史を知り、造詣を深めましょう。

蹈鞴写真・イラスト/(C) Shutterstock.com

(引用すべて〈小学館 デジタル大辞泉〉より)

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