「蜷局」の意味や読み⽅とは?
まずは「蜷局をまく」の「蜷局」について、基本的なことからチェックしていきましょう。
読み⽅と意味
「蜷局」は「とぐろ」と読み、その意味を辞書で引くと以下のように説明されています。
蛇(へび)などがからだを渦巻(うずまき)状に巻くこと。また、その巻いた状態。また、綱などを渦巻状に巻くことをもいう。
(小学館『デジタル大辞泉』より)
田舎の民家の軒先などで見かけることが多い蛇に、「アオダイショウ(青大将)」がいます。人里近くの山道などで遭遇した経験がある人もいるのではないでしょうか。人間のほうはびっくりしますが、アオダイショウのほうは、のんびりとしていることが多い印象を受けます。
このアオダイショウは毒を持たない蛇で、さほど怖がる必要はありません。しかし、日本には毒を持つ蛇も生息しています。気を付けないといけないのが、ヤマカガシとマムシ。南の島ではハブも危険です。
道で出会うアオダイショウは、多くの場合、細長い状態ではないでしょうか。もし「蜷局」をまいていたら、その蛇は、警戒している、すぐに逃げられる体勢をとっているということです。一方で、安心したい・落ち着きたい時にも「蜷局をまく」ことがあります。細長い体を一所に集めたほうが、体全体に目配りできて、落ち着きそうですね。
「とぐろをまく」は、「蜷局をまく」の他に、「塒をまく」とも書きます。上記で「蜷局をまく」を辞書で引いた結果を紹介しましたが、「塒をまく」で引くと、以下のように説明が少し変化します。
1. 蛇などがからだを渦巻き状に巻く。
2. 何人かが特に何をするでもなく、ある場所に集まっている。「若者たちが道の端で―・いている」
3. ある場所に腰をすえて、動かないでいる。「スナックで―・いて帰ろうとしない」
(小学館『デジタル大辞泉』より)
「蜷局をまく」という言葉は、蛇が胴体を渦巻きにした状態を表しますが、この「塒」という漢字で書く場合は、蛇が胴体を渦巻きにした状態の他、複数の人が用もないのにたむろしている状態も表しています。
語源や由来
「とぐろをまく」の語源はどのようなものでしょうか。これは、「塒」の漢字を使った「とぐろをまく」を調べることで、わかります。「塒」という漢字は、鳥の寝るところという意味。このことから「塒をまく」というのは、休息している状態、腰を落ち着けている状態だということが想像できます。
複数の人がたむろしている状態を「とぐろをまく」と表現するのは、腰を落ち着けているという意味が由来だとも考えられますが、蛇の持つ、あまり好ましくないイメージからきたものとも考えられています。
余談ですが、蛇が蜷局を巻くさまは蚊取り線香に似ています。実は、蚊取り線香の渦巻き型は、蜷局をまく蛇の姿がヒントになっているのだそうです。
「蜷局」の使い⽅を例⽂でチェック
具体的にはどのようなシーンで「蜷局」という言葉を使うのでしょうか。会話の中での例文を紹介します。
蜷局をまいたマムシに注意
「蜷局」をまいたハブやマムシは、攻撃態勢にあります。ジャンプして飛び掛かってくることもあるので、山では注意しましょう。
コンビニの前で若者たちがとぐろ(塒)をまいている
深夜のコンビニや自動販売機の前で、何人かの若い人たちがたむろしていることがあります。このような場合にも「とぐろ(塒)をまく」という表現を用います。
類語や⾔い換え表現にはどのようなものがある?
「蜷局をまく」、「塒をまく」の言い換え表現も紹介します。
渦状になる
ぐるぐると巻いている、渦巻きになるなども、「蜷局をまく」という状態の類語です。
たむろする
用もないのに複数人で集まる「塒をまく」の類語です。
「蜷局をまく」の英語表現は?
「蜷局をまく」、「塒をまく」の両方の英語表現を紹介します。
1:coiled snake(蜷局をまいた蛇)
「蜷局」には「coil」という英単語が使えます。「コブラが蜷局をまいた」だと、「The cobra coiled itself up」となり、蜷局をまいて首をもたげた攻撃態勢のコブラが目に浮かびます。
2:They wasting time at the train station(駅前でたむろしている)
「wasting time」や「kill time」は、直訳すると、「時間を無駄にする」という意味です。「They wasting time at the train station」は、駅前で「塒をまく」、駅前で人が群れている様子を表します。
最後に
「とぐろをまく」という言葉は耳にしたことがあっても、漢字で「蜷局」と書かれると、難しく感じたのではないでしょうか。「蜷局」は「塒」とも書き、人に使える場合があるということも、あわせて押さえておくといいでしょう。
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