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WOMANその後の女妻母たちアフターストーリー

2017.08.31

ひと皮むけばだれでも傷だらけのヒロイン 女妻母~その後のパラダイムシフト~ 板野可奈子さん 後編

秒速で変わりゆく現実や外的要因に、迷い悩みながらも果敢にサーフィンしていくDomani世代の女性たち。そんな働く女性の“今”をキャッチする本誌の巻頭連載がスタートして、早くも5年がたちました。「Web Domani」では、「その後の女妻母たち」への追跡インタビューを試みます

Text:
谷畑まゆみ
Tags:

「その後の女妻母たち」への追跡インタビュー。【母】板野可奈子さん(40歳)の後編をお届けします。

夫との関係性も変化し、自分の世界観も一変

一方で、夫のほうは「会社が認めてくれているんだから、休めばいいのに」という気持ちがすごく強かったみたいです。彼は広告代理店勤務なのでどうしても時間がお客さま都合になってしまうため、何度もぶつかりました。“妻”時代はケンカなんてしませんでしたが、復帰後はすごくぶつかりましたね。

私も私で、これまでは夫が遅く帰ってきても何も思わなかったんです。私もそうでしたから。でも今はものすごく腹が立つんですよ(笑)。「飲んでるひまがあったら、さっさと帰ってきて!」と。夫には「子供ができてからすごく怖くなった」と言われちゃいました。

ところが、ぶつかりあって話し合ううちに、私たちふたりも徐々に変わっていくんですね。夫は毎朝、子供を保育園に送ってくれるようになり、土日は必ず公園で一緒に遊んで、その間私は家を掃除。洗濯は空いてるほうがしています。この体制になってから3か月ですが、夫の中では子供に対して、より愛しさが芽生えているのを感じます。子供も夫によくなついて、それもよかったなと。私のほうは世界観が変わりました。

−−世界観が変わった。

はい。当たり前のことですけど、24時間全部が自分の時間って、すごく貴重なことなんだと気づいたんです。たとえば“妻”時代は勤務中だけが仕事時間だと思ってましたが、実はそうじゃなかった。本を読んだりテレビを見るとき、街を歩くときにも仕事のことを考えていました。仕事中心の世界観だったんです。でも今はそうはできないですよね。道を歩くときは子供連れなので車に注意しなければならず、何かの拍子にやっぱり思うんです。フルコミットできない状況は歯がゆいと。どれだけ自分が仕事のことを考えていたのか、今さらながらに思い知った感じでした。

復職して仕事に対して“もっと”が出てきた

−−今改めて、仕事についてどう感じていますか。

自分は広報という仕事が大好きなんだと、改めて実感しています。極めていきたいし、もっと大きな仕事にチャレンジしたい。今は育児の真っただ中ですが、やりたい気持ちは抑えちゃいけないと思っています。夫の「自分の人生だから、選択したい道をとったほうがいい」という言葉にも勇気づけられました。ワーキングマザーになると“今は守りの時期”と考える人も多いと思いますが、子供が小さい母親でも活躍してほしいと考える企業は年々増加しています。遠慮することはないなと思うようになりました。

“母”になって以降、思っていることがもうひとつありまして。それは「キラキラしたロールモデルなんて、実際にはいないよ」というのを、声を大にして言いたいと(笑)。ロールモデルが見つからないと悩む人って多いと思うんですよ。どの人を目標にしていいのかわからなくて。

でもたとえば、子供がいてもいなくても、人の生き方って、それぞれじゃないですか。そして一見、キラキラして見えるからといって、24時間365日キラキラしているわけじゃない。こんな私ですら、年下の女性たちから「板野さんのようになりたいんです」と言われることがあるんですね。なんで私なんかに?って思うんです。逆に私も「この人素敵だな」と憧れる方はたくさんいますが、みなさん当然お悩みをもっていらっしゃる。いいところだけを見て憧れて、実際には存在しないものを求め続けては、絶対にだめだと思います。

心に刻まれた女性上司の言葉

復帰後、女性上司に言われた忘れられない言葉があるんです。「今後、あなたがキャリアを積んでいくうえで、悔しいことなんて、きっともっとたくさん起こる。だから覚悟をしておきなさい」と。キャリアを積むプロセスでは、諦めざるを得ないものもたくさんあるってことなんですね。

−−現実の厳しさを感じさせる言葉ですね。それを聞いてどう思われましたか。

ああ、人生って取捨選択なんだなと思いました。いつもいつも“取ってばかり”ではいられない。何かを捨てなきゃいけないときもある。そこがジレンマですよね。スピードを出して猪突猛進したいのに徐行運転しているような、悔しさもあるんです。基本的に私は“捨てたくない”人なんですよ(笑)。復帰して、ますます仕事に“もっと”を求めてしまっていますし。でもそこは、これから時間をかけてチャレンジしていくしかないのかなと思っています。

歯がゆさやジレンマの向こうにあるもの

お散歩している間に子供が眠ってしまって、カフェでひと休み。

でもその一方で、子供ができてよかったなと感じることもたくさんあるんです。1か月前にできなかったことができるようになったり、歩けるようになったり、首が座ったり、歩けるようになったりする成長の過程をつぶさに見ることができるんですよ。その様子を見ていると“この歯がゆい悔しさも、一生の中ではほんのわずか”だと思えてくるから不思議です。しんどいことも“思い出づくり”と自分をなだめられるような、長期的な視点や寛容さをもてるようにもなってきました。“ダイバーシティ”って、今の私にとっては、魔法の言葉なんですよ。何かイラっとすることがあっても「ダイバーシティ、ダイバーシティ、あんなこともこんなことも、ぜ〜んぶすべては多様性」って唱えると、すっとします。気持ちが少し軽くなるんです(笑)。

撮影時スタッフ:撮影/嶋野 旭 ヘア&メーク/菊池かずみ(P-cott)


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