辛夷清肺湯(しんいせいはいそう)
「辛夷清肺湯」も、鼻づまりや慢性鼻炎、蓄膿症に効く漢方薬です。ただし、「辛夷清肺湯」は「葛根湯加川芎辛夷」と違い、熱感を伴う鼻づまりに効果を発揮。風邪や花粉などで、副鼻腔の粘膜に炎症が起きると、膿や頭重などの症状を引き起こします。こうした膿の排出を促したり、炎症を鎮めたりすることで、鼻詰まりを改善してくれるのです。
配合されている生薬:辛夷(しんい)、枇杷葉(びわよう)、升麻(しょうま)、知母(ちも)、麦門冬(ばくもんとう)、百合(びゃくごう)、石膏(せっこう)、黄ごん(おうごん)、山梔子(さんしし)
辛夷とハクモクレンの見分け方
「辛夷」と「ハクモクレン」はどちらもほぼ同じ時期に、白い花を咲かせます。さらにモクレン科モクレン属と同じ属性であるため、見分けるのが難しい植物のひとつです。
花びらの下に出る「がく片」が辛夷は緑色なのに対しハクモクレンは白いため、花の枚数が多く見えます。花びらが6枚の場合は辛夷、「がく片」を合わせて9枚なのがハクモクレンと覚えておくと良いでしょう。
また、花にも違いがあり、辛夷とハクモクレンを比べると辛夷のほうが小さい花をつけます。また、ハクモクレンの花が上に向いてチューリップのように蕾状に咲くのに対し、辛夷は大きく開き切るため、葯が見えるほど開いている花がある場合は辛夷だと言えます。
葉をつける時期にも違いがあります。辛夷は花と葉が両方見られることがありますが、ハクモクレンは花が落ちてから葉が出てくるのが特徴です。
の花びら(に見えるもの)が9枚あるのに比べ、コブシの花びらは6枚です。
「辛夷」を英語・中国語では何という?
次に、「辛夷」の英語表現と、中国語表現を紹介します。中国語の発音は難しいので、参考程度にチェックしておきましょう。
a magnolia Kobus
「辛夷」の英語表現は、「a magnolia Kobus」です。「Kobus」は、和名がそのまま英語になったもの。これに、モクレン属のことをあらわす英語「magnolia」を組み合わせて、「辛夷」という英語になります。
xīnyí
「辛夷」の、発音記号は「xīnyí」。発音をカタカナであらわすと「シィン イー」が近いでしょう。
最後に
早春に、白くて可憐な花を咲かせ、春の訪れを知らせてくれる「辛夷」。春のお散歩時に、その花を観賞するのもいいですが、秋に、名前の由来となった実を探してみるのも楽しいかもしれません。また、「辛夷」は漢方薬にも使われているので、鼻づまりなどで困った際には、「辛夷」の配合された「葛根湯加川芎辛夷」「辛夷清肺湯」を見つけてみてください。
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